金木犀、薔薇、白木蓮

本と映画、ときどきドラマ。
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85:芥川龍之介 『鼻・杜子春』

2007-07-10 10:21:00 | 07 本の感想
芥川龍之介 『鼻・杜子春』(フォア文庫)
★★★★☆

【収録作品】
杜子春/鼻/羅生門/芋粥/トロッコ/蜜柑/地獄変/
大導寺信輔の半生/白/槍ヶ嶽紀行

久しぶりの感想です
このところは仕事で芥川・太宰・井伏の短編をちょこちょこ
読んでいるため、一冊の本として感想が書けないというのもあるし、
とにかく読むのに時間がかかる。
言葉が難しくて読みづらいというわけではなくて、
よしもとばななが以前、
「一週間で書いたものは一週間で読み捨てられていく」
というようなことを言っていたのだけれど、
おそらくはそれと逆のこと。
文体意識とか、美意識みたいなものが、隅々まで
はりめぐらされているので、読み流したり飛ばし読みしたりという
おろそかな読み方ができないという感じ。

で、この芥川の短編集。
フォア文庫というのは児童文学を出している4社によって
協力出版されたものだとかで、収録作品のセレクトも子供向け。
「杜子春」「蜜柑」「白」のような優しい物語や、
比較的毒の少ない作品が中心。
しかし自伝的小説「大導寺信輔の半生」には
暗澹とした気分にさせられる。
なんかこう、痛々しいというか、身につまされるというか……。
そして、女性よりも「美少年」に愛されることに
重きを置いているような表現がしばしば出てくるのには、
やっぱりそういう時代だったのね……と
友情の文学誌』、『超恋愛論』で語られていたことを
あわせ考えて納得。

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