金木犀、薔薇、白木蓮

本と映画、ときどきドラマ。
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23:薫くみこ 『きらめきの十二歳』

2007-02-08 10:37:54 | 07 本の感想
薫くみこ 『きらめきの十二歳』(ポプラポケット文庫)
★★★★★

気になる同級生・和也の意外な一面に戸惑う奈々、
海外に行った小野さんに女性の影を見て涙するかおりに、
初川の浮気現場を目撃してしまう梢。
それぞれの恋につまずいて、中学の入って初めての夏休みを
気の晴れない状態で迎えた3人は、同行をしぶるかおりの姉・洋子を
保護者にして軽井沢の別荘へでかける。
彫刻家・雲野氏と出会い、かつて終焉を迎えた洋子の恋を知り、
大人の世界を垣間見る夏の終わりの物語。

自分が中学生のころをふりかえってみても、中学生のころって、
家と学校という二つの世界しかない子がほとんどだったせいか、
恋愛のしめるウエイトがとっても大きくて、
今思えば「なぜそんなことで……」と考えてしまうような
ささいなできごとで一喜一憂。
おとなの女のつもりで小野さんに執着するかおりや
ひとり相撲のあこがれに苦しむ梢の恋心を、なにやら怖いとも
思ってしまうのだけど、中学のころってそうだったよなあ……と
なつかしく思い出す。
解説にもあったけど、「キスってどんなもの?」と話すだけでは
飽き足らず、カップルの集う公園へ「見学」に行っちゃうところが
おもしろい。
夜お化粧して出かける小さな冒険、かつての恋人と向かい合う洋子の
シーンは、初めて読んだ小学生のときから覚えているくらい印象的。
自分の見ている顔だけがその人のすべてじゃないんだよ、というのが
今回のテーマでしょうか。

そして今回は、洋子お姉さまにときめき
大人で、優秀で、ほころびのないと見えたお姉さまのもろい一面に
胸キュン
初めて読んだ小学生のころは気づかなかったけれども、
はっきり言葉にされている部分以外にも、
洋子と恋人との間にあった事情がところどころにほのめかされている。
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