金木犀、薔薇、白木蓮

本と映画、ときどきドラマ。
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235:井上荒野 『しかたのない水』

2006-10-30 10:23:26 | 06 本の感想
井上荒野『しかたのない水』(新潮社)
★★★☆☆

『誰よりも美しい妻』で、わたしの中ではどかーんとヒットした感のある
著者ですが、この本でも底力を見たような気分。
フィットネスクラブに通う男女6人の日常と恋を描く連作短編集。

「運動靴と処女小説」では、女が話を切り出したあたりから
だまされてるよ~とハラハラ。
新しい仕事と恋に舞い上がり、現実を思い知らされる中年男性の
悲しみに気がめいる。
「クラプトンと骨壷」はどんでん返しに驚き。
「フラメンコと別の名前」では全編にわたって触れられていた
フラメンコ教室インストラクターの行方についての謎が
思いがけないかたちで明かされる。

好み度は低かったけれども、一編一編、小説としてのつくりを
楽しめる一冊。

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