金木犀、薔薇、白木蓮

本と映画、ときどきドラマ。
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40:高見広春 『バトル・ロワイアル』

2007-03-16 09:36:04 | 07 本の感想
高見広春『バトル・ロワイアル』(太田出版)
★★★★☆

今さら感満点ではありますが。
映画化の際に物議をかもした「問題作」。
国家プロジェクトのためにクラス全員が生き残りをかけて
殺しあう……というおっそろしいあらすじだけが
先行していた感もあり、購入してからなんとなく手をつけられずに
放置していたのですが、ようやく読了。

前半のあっけない殺人描写には嫌悪感を感じたし、
映画にR指定がついたのも妥当だと思うし、
この物語に憧れる小中学生が少なくないのも怖い。
だって、大人が読めばそれだけじゃないってわかるけど、
小中学生はこの話のテーマをつかめないと思うもの。
当時の自分を振り返ってもそう思うし、
今身近に見ている小中学生を考えればさらにそう思う。
個々のエピソードやセリフの、ある種のロマンチックな部分には
反応するだろうけれど、俯瞰する目があるかどうかは
かなり疑わしい。
特に映像で見た日には、表面的なインパクトがすごすぎて、
ちょっと怖いなあと思うのです。

しかしストーリーとして見たときに、その緩急の付け方、
なにより発想のすさまじさはやっぱりすごい。
意図してなのかどうかは謎だけれど、わかりやすいし、
ちょっとほろっときてしまうところもあった。
この筆者に次があるのだろうかとは思うけれど……。

生死をかけた状況で、異様に恋愛におけるウエイトが高いなあと
思うのはわたしだけ?
思春期ゆえなのか、筆者のロマンチシズムなのか。
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