金木犀、薔薇、白木蓮

本と映画、ときどきドラマ。
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73:山田悠介 『パズル』

2012-07-05 09:58:07 | 12 本の感想
山田悠介『パズル』(角川書店)
★★☆☆☆2.5

超有名進学校・徳明館高校の中でも、さらにエリートを集めた
A組に所属する茂央は、勉強にしか興味のないクラスメイトや
成績によって露骨に生徒に対する態度を変える担任教師、
自分に勉強のみを強いる母親に疑問を感じていた。
そんな中、突然高校が正体不明の武装集団に占拠された。
犯人は担任教師を人質とし、A組だけ校舎に残るように要求する。
担任を救うには、校舎の各所に隠された2,000ものピースを探し出し、
48時間以内にパズルを完成させるしかないという。

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この人の本、初めて読んだ。
話題になってた時期に、確か同僚の女の子が『リアル鬼ごっこ』を読んでて、
「おもしろい?」と聞いたら
「登場人物の思ったことを全部書いてしまっている。
 はっきり書いてないことを読み取らせる、という部分がまるでない。
 国語の問題は作れない」
というようなことを言っていたのだが、それが非常によくわかった。
登場人物がステレオタイプで、心情が表面的なので、
「○○は××と思った」だけで説明ができちゃうんだよね。
初版が2004年だということを差し引いても、
今どきこんな人物描写はありなのか??
そして一つだけ除き、かなり初期の段階で真相に見当はついたんだけど、
「まさかこういうオチじゃないよね」というのが
すべて現実になってしまった……。
読み終わった直後は、無駄に時間を使ってしまった、と虚無感に襲われた。

しかし、人物の描き方・設定・オチのまずさを除いても、
遅々として進まない状況やクラスメイト同士の衝突、
タイムリミットが設定されていることによる緊迫感はあって、
真相が明らかになるまでの部分は結構おもしろい。
これを原案にして、うまい人が書いたらかなりおもしろくなるのでは?
小学生向けの「角川つばさ文庫」に入っていたが、
たぶん、小学生なら抵抗感なく楽しめる。



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