金木犀、薔薇、白木蓮

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63:寺田寅彦 『柿の種』

2009-12-04 09:40:59 | 09 本の感想
寺田寅彦『柿の種』(岩波文庫)
★★★★★

初・寺田寅彦。

物理学者で俳人、随筆の名手。
漱石の弟子で、『吾輩は猫である』水島寒月や
『三四郎』の野々宮宗八のモデル……
ということくらいしか知らなかったのだけど、
この短文集を読んだかぎりでは、
この人の文章、すごく好み!
文章表現の硬さと詩情のバランスが良いよね。
忠犬ハチ公が生きていて、関東大震災が起こって、
足尾鉱毒事件のあった時代、
チューリップやヒヤシンスを自ら植え、
飼い猫の死を悼んで作詞作曲する著者にときめく。

「自分の欠点を相当よく知っている人はあるが、
自分のほんとうの美点を知っている人はめったにないようである。
欠点は自覚することによって改善されるが、
美点は自覚することによってそこなわれ
亡われるせいではないかと思われる。」(P.225)

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