金木犀、薔薇、白木蓮

本と映画、ときどきドラマ。
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194:薫くみこ『十二歳はいちどだけ』

2006-09-20 13:29:12 | 06 本の感想
薫くみこ『十二歳はいちどだけ』(ポプラポケット文庫)
★★★★★

シリーズ第一作め『十二歳の合い言葉』で心臓弁膜症と診断され、
唯一のとりえだったスポーツを奪われた梢。
両親やかおり・菜々に支えられて立ち直ったかと思いきや、
中学に入ってから、どうしようもない空しさに苦しめられ、
弱みにつけこまれて不良グループに連れまわされる。
それを知ったかおりと菜々は、梢の心を取り戻すべく
かけずりまわることになるが……。

三人の友情にじーん……
決してご都合主義に走らず、変えようもない条件下で
なんとか活路を見出そうとする話の展開がいい。
もともとこの3作目で終了の予定だったらしく、
クライマックスにふさわしい盛り上がりもある。

三者三様の恋も描かれるのだけれど、いちばんもてるのが
美少女のかおりではなく菜々だってところも、
なんだかわかるなあ。
かおりと梢は年上の男性に片想いなのだけど、
菜々は常に、同級生の男の子に好意を寄せられるか
ほのかな両想いだったりするのね。
そういう相手ではない男の子とのたわいないやりとりも
菜々の場合はちゃんと描かれていて、
親しみやすい感じがあるんだろうなあと納得。
作郎からの手紙の話が好き。

それにしても透おにいさまは、いつのまにあんなにオトナに
なってしまったんでしょうか。
前作じゃあ、マザコン気味の反抗期少年だったのに。

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