湯・つれづれ雑記録(旧20世紀ウラ・クラシック!)

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☆メシアン:世の終わりのための四重奏曲~Ⅴ「イエスの永遠性への賛歌」

2017年11月28日 | Weblog
◎フランセ(P)ジャンドロン(Vc)(PHILIPS)CD

同曲中2楽章あるデュオによる賛歌の最初のほうで終楽章「不滅性への賛歌」(Vn)と対をなすが、そちらがオルガン曲の転用であるのに対してこちらは「水の祭典」からの転用曲でもある。独特の散発的な和音による伴奏、独特の旋法的な旋律、前者ピアノ後者チェロによってひたすら歌い上げられる。伴奏と旋律が完璧に別れてしまうところはフォーレと同じなのに何故か単調さを感じないのは伴奏旋律共にメシアンにしか書き得ない独特のものであるところから来ている。個人的にこのフランス・チェロ曲集の白眉。ドビュッシーでも感じたがこの人のハイポジは飛び抜けて巧く、低音から跳躍しても常にはっきりと完璧な音を出せる。しかもハイポジだけで弾いていても全く無理無駄がなく低音で弾いているときとほとんど変わらない歌をうたえる。音が裏返ったりかすれたりすることは全く無い(まあそれはそれで味になるのだが)。この曲も高いポジションのくだりがあるが、ヴァイオリンで言えばシゲティやメニューインのような苦しさがなく、それがかえって救われる。もう決して手の届かないものに、それでも精一杯手を伸ばす。そういった絶望的な憧れを感じさせる曲、演奏だ(そんな意味の曲かどうかはわからないが)。◎。冒頭に述べたが同曲は真ん中にチェロ、最後にヴァイオリンがピアノ伴奏付きでひたすら平易な旋律を歌う楽章が配されていて、前衛的な楽章の中にあって非常に高い効果を挙げている。収容所内で響いたことを思うと絶句する。

CD化された。

※2004年以前の記事に一部加筆したものです
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