湯・つれづれ雑記録(旧20世紀ウラ・クラシック!)

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☆アイヴズ:ラールゴ・カンタービレ

2017年12月17日 | アイヴズ
○ストコフスキ指揮CBS放送管弦楽団(SCC:CD-R)1954/2/7放送LIVE

バーンスタインの名演で知られるアイヴズの秀作小品である。現代の精緻な演奏様式よりいくぶんロマンチックな感情を込めた演奏に合う。だからストコフスキにも似合う。いくつかの楽想のほんの破片をポリフォニックに重ねていくコラール、無機質なアルペジオを背景に浮いては消える賛美歌旋律、生温いのに、とても透明感ある夢想。この作曲家が哲学に傾倒していたことをはっきり伺わせる思索性は三番交響曲の終楽章に近似しており、四番交響曲の終楽章の構成の基礎となる要素を示している・・・つまりは作曲家自分自身の評価も含めて最高傑作といわれる作品群の「要約」のような二分半だ。力強くやや硬質のコロムビアオケの音でバンスタほど過度の歌謡性は持ち込まず、調和を意識することなくアイヴズらしい乱暴なやり方をあるていど残している。ストコフスキはそのやりかたで交響曲第4番初演盤では半端な前衛性をだらだらと示してしまい聞きづらさもあったのだが、ここでは曲の短さと、元来のロマンチシズムがそれでも首尾一貫したように聞かせている。で、結局面白い。薄く精緻にやると粗さが目立つ、このくらいがいいのだ。ノイズがひどいが力強い録音。これ、学生時分に譜面に落としたなあ。いずれパートも見開きくらいしかないけど、単独パートでもわりと曲になっていた。なつかし。

※2010-04-09 22:20:34の記事です
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