湯・つれづれ雑記録(旧20世紀ウラ・クラシック!)

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☆プーランク:カルメル派修道女の対話

2016年10月23日 | フランス

○サンツォーノ(サンゾーノ、サンツォーニョ)指揮ミラノ・スカラ座、ゼアーニ、ジェンチェル他(Legendary Recordings)1957/1/26初演LIVE

何とも後味の悪い歌劇だが、キリスト教ミステリー流行りの昨今題名で食いつく人もいるかもしれない。長いし言葉の問題もある(これはイタリア語版)ので音だけでは何とも楽しみ(?)辛いところもあるが、劇場の生々しい実況録音として、プーランクの目前で繰り広げられた傑作の「今生まれいづる音」におもいはせると、なかなかどうして、例え放送エアチェックで録音最悪としても、歌のひとつひとつの情感の深さ、あらわな劇性に心奪われないといったら嘘になる。演奏も歌唱も朗誦もとにかく見事。総合力がある。最後のギロチンのドラマが録音のせいでイマイチがちゃがちゃしてしまった感もあるが、プーランクの深い宗教観が、様々な色彩・・・意図的に配された中世宗教音楽につながる擬古典的作風からウィーン世紀末やディーリアス、サティやベル・エポックの群小作家の作風など・・・によって巧みに浮き彫りにされていくところに妙がある。ただ模するのではなく確信犯的にシナリオにそい配置され、しかもどれも擬作ではなくプーランクの流麗な旋律と固い和声によってしっかり味付け直されている。とくに歌の旨さはプーランクならではの真骨頂だろう。スカラ座はそれを的確に捉え熱気をもって応えている。なにぶんかなり聞きづらい録音だし断片的には後日の録音も遺されているので無理して聞く必要はないが、デルヴォー以外にいいものがない、と嘆くなら聞いて損はしない。○。
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