習慣HIROSE

映画・演劇のレビュー

『ゆるせない 逢いたい』

2015-08-06 08:35:18 | 映画
孤独な少女が、ひとりの青年と出逢う。お互いに好意を抱き、付き合う。でも、彼女は母親に知られたくない。厳格な母は彼との付き合いを許すわけもないからだ。ひっそりと、隠れるようにデートを重ねる。こういうラブストーリーはどこにでもある。 だが、この映画が、それらとは一線を画するのは、ほんのちょっとした行き違いから、とんでもない事態を招いてしまうことだ。不可抗力ではない。明らかに過ちであり、暴走だ。だが、 . . . 本文を読む
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『靴職人と魔法のミシン』

2015-08-06 07:47:46 | 映画
これはこの夏の初めに見た映画だ。で、ここに感想を書いていない。そんな映画は多々ある。時間がなかったことが原因なのだが、それだけではなく、書く気が起きない作品も多かった。そんな中で、このとてもチャーミングな映画をスルーしていた事に今頃、気付く。ささやかすぎて、書くことすら忘れていたのだ。きっともうすぐDVDになるはずだから、その前に少し感想を! これは「そんなバカな!」という、とてもバカバカしい法 . . . 本文を読む
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『野火』

2015-08-04 20:24:07 | 映画
塚本晋也監督の最新作が大岡昇平原作『野火』だなんて、本気か、と最初は驚いた。こういう文芸映画に彼が挑むのはなぜだ、と。これは明らか今までの作品とは一線を画する、ように思えた。しかし、実際に映画を見ればそうじゃないことは明白だ。これはやはり、正真正銘塚本映画だ。残酷で、怖い。戦争がそういうものであることなんて、わかりきったことではないか、と思う。なのに、そうは思いもせずに、この映画を「文芸映画」な . . . 本文を読む
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『共犯』

2015-08-04 20:11:53 | 映画
昨年の僕のベストワン映画『光にふれる』の監督チャン・ロンジーの新作である。今回彼は高校生たちの青春映画に挑んだ。しかし、日本のマンガ原作による安直な映画化作品のようなものとは一線を(なんなら二線も)踏み超える作品だ。『あの頃君を追いかけた』のようなパステルカラーの青春映画でもない。どちらかというと、エドワード・ヤン(・ドウチャン)の『クーリンチェ少年殺人事件』に近い。これは重くて暗い映画になる資 . . . 本文を読む
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追加HPF 清風南海『いつか譚』、大谷『新羅生門』

2015-08-04 20:02:29 | 演劇
あと2本、HPF作品を見ることが叶った。これで今年は6本となった。例年並くらいの作品を見ることができてよかったと思う。いくらなんでも4本というのは寂しすぎる。昔はずっとほぼ全作品を見ていたのにシステムが変わって、講評委員は見れるだけでよい(以前は3人ですべて見なければならない、だった)という形になってから、あまり無理して見なくなった。(同時間複数会場上演になったし)その結果、せっかくの、たくさん . . . 本文を読む
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『東京無国籍少女』

2015-08-03 21:38:04 | 映画
この映画を見ながら、『パイドパイパー』と較べている自分に驚く。まるで違うじゃないか、と知りつつも、ひとりの少女が世界を救うドラマという括りをそこに見出して、これは違うとひとりごちている。 押井守のこの最新作は、前作『パトレイバー 首都決戦』に続いて、少女が戦うドラマだ。ヒロインは真野恵理菜に続いて今回は清野菜名。何が起きているのか、わからない。美術専門学校に通うかつての天才少女。しかし、今では . . . 本文を読む
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『サイの季節』

2015-08-03 21:37:20 | 映画
確かに凄い映画だ、と言える。しかし、ここでも中途半端なイメージしか残さない。何かが足りない、と思うのは僕ひとりか? このバフマン・ゴバディの新作を見て、こんな不満を抱くことになろうとは思いもしなかった。それはこの後見た『野火』にもつながる。いずれも渾身の力作であることは疑いようもない。しかも、彼ら才能ある監督が、命を削って作った魂の一作だ。なのに、それらが僕の心には届かない。もうそれって、僕の罪 . . . 本文を読む
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劇団ショウダウン『パイドパイパー』

2015-08-03 21:36:32 | 演劇
これは、彼女ひとりででも、できる。林遊眠一人芝居としても充分上演可能な作品なのだ。要するに、これは他所行きの作品ではなく、いつもと同じなのだ。だから、うれしい。 2時間以上に及ぶ長編を彼女は、たったひとりで何役もこなしながら壮大なスケールのスペクタクルとして見せる。それが今のショウダウンの定石だ。 ただ今回の作品は、サザンシアターからHEPホールに舞台を移して、大きな舞台にちゃんとしたセットを . . . 本文を読む
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