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著書『芸術家たちの生涯』
『ほんとうのこと』
『ねむりの町』ほか

8月30日・キャメロン・ディアスの嫉妬

2016-08-30 | 映画
8月30日は、シンガーソングライターの井上陽水が生まれた日(1948年)だが、映画女優キャメロン・ディアスの誕生日でもある。

キャメロン・ミシェル・ディアスは、1972年、米国カリフォルニア州のサンディエゴで生まれた。父親はキューバ系で石油会社の現場監督、母親はネイスィブ・アメリカンのチェロキー族、黒人、イングランド人、オランダ人などの血を引いていた。キャメロンは2人姉妹の妹で、男の子がほしかった父親は妹に男の子のような名前をつけ、育てた。
キャメロンは高校ではチアリーダーとして活躍した。動物学者か海洋生物学者志望だったが、16歳の女子高生のとき、ロサンゼルスのハリウッドのパーティーにはじめて顔を出し、そこでカメラマンにスカウトされて、雑誌のモデルになった。しだいに売れっ子になり、モデル業のかたわら、21歳のとき映画「マスク」のオーディションを受け、映画デビュー。大胆で濃厚なキスシーンを演じて注目された。
25歳のとき、ジュリア・ロバーツ主演の映画「ベスト・フレンズ・ウェディング」に助演し、音痴で歌いはじめ、終わりには大喝采を浴びる奇跡的なカラオケシーンを演じ、この映画は彼女の出世作となった。
その後、自分がなにをしたいのかわからなくなり、仕事を休んで1年ほどたったころ、代理人から脚本が送られてきた。ベッドに寝ころがって脚本を開いた彼女は、3ページ読んだところで、笑いすぎ、ベッドから転げ落ちたという。即座に出演を決めたその脚本がラブコメディ「メリーに首ったけ」だった。結果、この映画は大ヒットし、彼女の代表作となったが、脚本を送った時点で代理人は周囲から、この役は女優にとって命取りになるから出演させるべきでないと忠告されていたという。
28歳のときの映画「チャーリーズ・エンジェル」では、香港の武道家の指導のもと、毎日8時間、3カ月間にわたってカンフーの修行をした。
そのほか「マルコヴィッチの穴」「バニラ・スカイ」「ギャング・オブ・ニューヨーク」などの映画に主演し、40歳を過ぎた女優には急に出演依頼がこなくなると言われるハウッドで、いよいよ真価を問われる年齢にさしかかった個性的な演技派女優である。

かつて「メイキング・オブ・ギャング・オブ・ニューヨーク」というような大型本が出版されて、自分は一部を訳した。翻訳を担当した部分のなかに、キャメロン・ディアスのインタビューが入っていて、それ以来、彼女をひいきして見るようになった。

キャメロン・ディアスの出演作品を、自分は半分くらい観ていると思う。存在感が大きい、白い歯のほこぼれる笑顔がすてきである。ファラ・フォーセット以来のネイティブ・アメリカンの血を引く大女優で、存在感が圧倒的、かつ演技力があると思う。セクシーな美女から、軽薄な不良娘、性格異常者まで、どんな役でもみごとにこなす。彼女は言う。
「役作りとは、想像力によって役を理解し、物語を語る一員になること」

以前、女優の釈由美子が、来日したキャメロン・ディアスに英語でインタビューするのをテレビで見た。そのとき釈が、
「どうしたら、あなたみたいになれるんでしょうか?」
と訪ねると、ディアスはこう答えていた。
「わたしをうらやましがらないで(Don't envy me.)。キャメロン・ディアスでいることで、つらい思いをすることもあるのだから」
Never envy others.
(2016年8月30日)



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