11月30日は、文豪マーク・トウェインか生まれた日(1835年)だが、作家ルーシー・モード・モンゴメリの誕生日でもある。『赤毛のアン』の作者である。
ルーシー・モード・モンゴメリは、1874年、カナダの大西洋側のプリンス・エドワード島の、現在のニューロンドンで生まれた。スコットランドとイングランドの血をひく一族で、母親はルーシーが1歳のとき結核で亡くなった。すると父親はルーシーを彼女の母方の祖父母に預けて、カナダの中西部へ引っ越してしまった。
ルーシーは祖父母の農場で、昔話や物語を聞いて育った。
15歳のころ、彼女は中西部にいる父親のもとへ行ったが、父親の再婚相手とそりが合わず、1年ほどでプリンス・エドワード島へ舞いもどってきた。
このころからルーシーは詩やエッセイを新聞に投稿し、掲載されていた。
プリンスエドワードアイランド州の州都シャーロットタウンのカレッジへ進学したルーシーは、20歳で教員の資格をとり、となりの州の大学で聴講生として文学を学んだ後、プリンス・エドワード島へもどってきて学校教師になった。
その後、彼女は地元の郵便局長や新聞記者などをしながら、雑誌に短編小説を投稿していた。そうして、32歳で長老派の牧師と婚約。
34歳のとき、初の長編小説『赤毛のアン』を発表。出版されるとこの作品はたちまち世界的ベストセラーとなり、モンゴメリはただちに続編『アンの青春』にとりかかった。
36歳のとき婚約相手の牧師と結婚したモンゴメリは、その後も「赤毛のアン」シリーズを書きつづけ、1942年4月にトロントで没した。67歳だった。
死後百年たった後に、死因はうつ病による自殺だったことがわかった。
プリンス・エドワード島のとなりのニューファンドランド島。この島出身のニューファンドランド犬は、水を怖がらないので、昔から救助犬として使われる。
現代の若い人はどうか知らないけれど、かつては日本の女性たちの多くが「赤毛のアン」シリーズを読んでいたものだった。人口に膾炙した作品とは、まさにこういう作品をいうので、拙著『名作英語の名文句』でもとり上げた。
最初の作品『赤毛のアン』は、原題が『緑の切妻屋根のアン』の意味で、タイトルから広々とした農場に建つ農家の景色が目に浮かんでくる。ここに暮らす老いた兄妹が、跡継ぎのことを考えて、孤児院から男の子を譲り受けようとして、まちがってアンという女の子がやってきてしまうところから物語ははじまる。いまさら変わるはずもないが、邦題は『みどり屋根のアン』でもよかった気がする。
アンや、彼女を取り巻く人物も魅力的だけれど、まずロケーションがすてきな作品である。この作品にひかれて、プリンス・エドワード島を訪ねる世界各国の女性旅行者は多い。都会に住む人には逆立ちしても得られない種類の「豊かさ」がそこにはある。
(2022年11月30日)
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ルーシー・モード・モンゴメリは、1874年、カナダの大西洋側のプリンス・エドワード島の、現在のニューロンドンで生まれた。スコットランドとイングランドの血をひく一族で、母親はルーシーが1歳のとき結核で亡くなった。すると父親はルーシーを彼女の母方の祖父母に預けて、カナダの中西部へ引っ越してしまった。
ルーシーは祖父母の農場で、昔話や物語を聞いて育った。
15歳のころ、彼女は中西部にいる父親のもとへ行ったが、父親の再婚相手とそりが合わず、1年ほどでプリンス・エドワード島へ舞いもどってきた。
このころからルーシーは詩やエッセイを新聞に投稿し、掲載されていた。
プリンスエドワードアイランド州の州都シャーロットタウンのカレッジへ進学したルーシーは、20歳で教員の資格をとり、となりの州の大学で聴講生として文学を学んだ後、プリンス・エドワード島へもどってきて学校教師になった。
その後、彼女は地元の郵便局長や新聞記者などをしながら、雑誌に短編小説を投稿していた。そうして、32歳で長老派の牧師と婚約。
34歳のとき、初の長編小説『赤毛のアン』を発表。出版されるとこの作品はたちまち世界的ベストセラーとなり、モンゴメリはただちに続編『アンの青春』にとりかかった。
36歳のとき婚約相手の牧師と結婚したモンゴメリは、その後も「赤毛のアン」シリーズを書きつづけ、1942年4月にトロントで没した。67歳だった。
死後百年たった後に、死因はうつ病による自殺だったことがわかった。
プリンス・エドワード島のとなりのニューファンドランド島。この島出身のニューファンドランド犬は、水を怖がらないので、昔から救助犬として使われる。
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アンや、彼女を取り巻く人物も魅力的だけれど、まずロケーションがすてきな作品である。この作品にひかれて、プリンス・エドワード島を訪ねる世界各国の女性旅行者は多い。都会に住む人には逆立ちしても得られない種類の「豊かさ」がそこにはある。
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