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著書『芸術家たちの生涯』
『ほんとうのこと』
『ねむりの町』ほか

4月11日・森高千里の実力

2024-04-11 | 音楽

4月11日は、評論家、小林秀雄が生まれた日(1902年)だが、シンガーソングライターの森高千里の誕生日でもある。

森高千里は、1969年、大阪の茨木で生まれた。幼いころに九州は熊本へ引っ越し、熊本で育った。音楽に熱中し、ギター弾き、ドラムをたたくなど、バンド活動に打ち込んでいた彼女は、ショッピングモールの食堂でウェイトレスのアルバイトをして、楽器購入費を捻出するという、典型的なバンド・ミュージシャンの青春を送っていた。
17歳のとき、コマーシャルのイメージガールコンテストでグランプリをとったのをきっかけに上京。東京の高校に編入してタレント活動を開始した。
18歳で映画「あいつに恋して」に主演。その後は歌手活動に力を入れだした。
19歳のとき、みずからの体験をもとに作詞した「ザ・ストレス」を発表。素朴で斬新な歌詞とダルな曲調、ミニスカートのウェイトレス姿でお盆をもって踊る「モリタカ」は一躍コスプレ系アイドルとして人気が沸騰した。
「ミーハー」「非実力派宣言」「臭いものにはフタをしろ!!」「雨」「勉強の歌」「この街」「ファイト!!」「私がオバさんになっても」「ハエ男」など、実感をそのまま歌にする生活詩人のシンガーソングライターとして活躍。はじめは美貌とスタイルのよさ、とくに脚線美を協調したコスプレで男性ファンが多かったが、その素朴な生活感のにじむ歌詞への共感から、しだいに女性へもファン層が広がった。
30歳のとき結婚、出産を機に芸能活動を休業。40歳ごろからドラマーとして、また歌手として、公の場に姿を見せるようになってきた。

「モリタカ」は、女性アイドルが苗字で呼ばれるようになったハシリである。
そして、「モリタカ」といえば、ミニスカートであり、脚だった。
1990年ごろ、女性月刊誌の、
「脚と聞いて、あなたが思い浮かべる有名人は?」
というアンケートでも、森高千里は断トツの一位だった。

いまでも「ザ・ストレス」の振り付けが踊れる。
この曲も衝撃的だったが、「臭いものにはフタをしろ!!」「ザ・バスターズ・ブルース」「うちにかぎってそんなことはないはず」といった歌にも驚かされた。「バスターズ・ブルース」など、OLが自室に現れたゴキブリと延々と対決する歌詞で、それをモリタカがセクシーなコスプレで歌うのである。

モリタカは「非実力派宣言」のなかで、こう歌った。
「始めから私はこんなもんよ。期待をしてたのね、ごめん」
「実力は人まかせなの。実力ないわ」
彼女はいまも、細野晴臣などベテラン・ミュージシャンたちとコラボレーションし、ボーカル以外にもドラマーとしてレコーディングセッションに加わる実力派ミュージシャンである。森高は、その美貌とスタイルのために、あえて実力をないものとして、それを看板に掲げるという、とても屈折した売り出し方をしたアーティストで、ほかにちょっといない、ユニークな存在である。
(2024年4月11日)



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