パパと呼ばないで

再婚した時、パパと呼ばないでくれと懇願した夫(←おとうさんと呼んで欲しい)を、娘(27)「おやじ」と呼ぶ。良かったのか?

街結君と太郎君④

2016年07月09日 | 野望
「今日、一緒に晩飯食わないか?」と突然太郎が言った。
結構うちでも太郎のことはママ猿に話していたので、会ったこともないくせに優秀な太郎への信頼度は高い。
ましてや「太郎と勉強してから帰るから、メシ要らない」なんてメールしたら「今夜はまちゆいの好きな○○だったのに・・・orz
さて○○に入るのは何でしょうか?」
と、ご機嫌な返事。
めんどくせーなと思いながらも、「ハンバーグ」と返信してから、太郎と校門を出る。
「正解!でも明日のお弁当に入れるから大丈夫。じっくり太郎君と勉強しておいで。」と、また絵文字満載のメールが届く。
無意識に駅の方へ歩こうとするオレに「こっちなんだ!」と駅とは反対の方へ歩き出す。
急な坂道を下りながら、小さなボロアパートの二階を指差し「ちなみにオレんちはここ!」
太郎んちからさらに5分くらい歩いたところにある喫茶店に入る。
喫茶「スマート」
「太郎んちって、学校にめっちゃくちゃ近いなあ。
あそこからだったら、8時半のチャイムが鳴ってから走っても間に合いそうだな。」とうらやましがるオレに、窓際の席を指差してから、カウンターにいるマスターのほうへ歩いていき何かしゃべっている。
アイツ、高校生の分際でここの常連なのか?
マスターは、いかにもマスターという感じ。年の頃なら50くらいか。
「イケメン君!コーヒーでいいかい?」と話しかけてくる。
「はい」
いつの間にか黒いエプロンをした太郎が「お待たせ致しました。」とコーヒーを2つ運んでくる。
状況が飲み込めず、キョトン顔のオレの前に座り、ノンキにコーヒーを飲んでいる。
いつも、学校が終わると同時に、太郎はここでバイトしているのだと言う。
太郎の母親とマスターが幼なじみで、そのツテらしいのだが、太郎によると、マスターは太郎の母親のことが好きで、どうやら母親からの心証を良くしたいがために太郎を雇ってくれてるのだとか。
幸いなことに、年がら年中閑古鳥が鳴いてる店なので、一番端のカウンター席で勉強して良いということになっている。
マスターは、ここらへんの地主さんで、マンションをいくつも持ってるから、喫茶店は儲け度外視の、趣味のようなものらしい。
だから、常連になるとコーヒー代も払わなくていいというウソかホントか分からない話や
「食べたい」ものを何でも作ってくれる話、
女たらしかと思いきや意外と一途で、太郎の母親ラブのことは常連さん周知の事実だとか、そんな話をしてるうちに、カレーのいい匂いが漂ってくる。
太郎が厨房から運んできたのはドライカレーだ。
上にはぷるんとした温泉卵がのっかってる。
マスターが「初顔君には、こういうのが無難かなと思ったんだけど、どうかな?
男子でカレーが嫌いなヤツっていないだろ?
目玉焼きは好き嫌いが別れるけど、温泉卵嫌いなヤツってのは、オレはお目にかかったことないからね。
ドライカレーにはナンのほうがいいなっていうなら、すぐ焼くけど、どう?」
「いや、ご飯でいただきます。」オレはもう待ちきれずに温泉卵を崩しながら答える。
結局、コーヒー飲んで、カレー食べて、プリンアラモードを食べて、巨人阪神戦を見終わってから「スマート」を出た。
太郎はいつも12時の閉店までいるらしい。
この間に、コーヒー飲みにきたお客は8人。
そのうち6人は常連らしく、カウンターでコーヒー飲んで、そのまま帰っていく。
よって、太郎はオレとテーブル席に座ったままだ。
間違って入ってしまった感じのカップルの時だけ、太郎は立ち上がってコーヒーを運んだり、レジに立ったりした。
今日は、オレとずっと喋ってたが、いつもはこの時間ずっと勉強してるらしいから、
そりゃ、9割の男にもなるよなあ、一日8時間も勉強すれば。
そんなことを思いながら、オレは二時間かけて家に帰った。


街結君と太郎君①
街結君と太郎君②
街結君と太郎君③

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