そりゃおかしいぜ第三章

北海道根室台地、乳牛の獣医師として、この国の食料の在り方、自然保護、日本の政治、世界政治を問う

「足るを知る」農民と「欲望は拡散する」の資本主義経済

2018-01-06 | 格差社会
正月に届いた農民連盟の新聞のトップタイトルは、「足るを知る」という見出しであった。農業には際限ない拡大はありえない。ひと時の効率は持続的にならないことを、真の農民は知っている。
同じく正月にみた、「欲望の資本主義2018」は背筋の凍るような内容であった。昨年にも放送された同名の番組の、今年版という所である。資本主義は、”欲望”によって支えられている。更に恐ろしいのは、”欲望は満たされることはない。拡散する”というものである。資本主義は発展することによって、制度が支えられているといって良い。ところが無限の発展などはありえないことである。所詮、地上の富は有限である。金銭に変えてみたところで、空間の広がりがなければ発展などできない。
いち早く近代化して、国家体制も経済体制三科学技術も軍事力も勝った国家が、アフリカやアメリカに富の空間を求めたのである。富が有限であれば、それは麻雀同じである。相互に取り合うことになる。強いものが戦うのではなく、弱い者を取り合うことになる。
奇才の経済学者のヨーゼフ・シュンペーターが述べた、「資本主義は成功するであろうが、自滅する」という予言は正しい。欲望は満たされることがないからである。
産業革命は、賃金の高騰によって市場の欲望が拡大したためといわれている。先進国の賃金は、1975年からほとんど変わっていない。
イノベーションによって市場は拡大すると言われているが、これも極めて疑問である。イノベーションは労働者から労働を奪ってきたからである。こうして賃金格差をノーベル賞経済学賞のステグリッツは、、富の再分配こそ求められるというのである。高所得者から税金を高く徴収して再配分することを主張している。
日本の国立大学から、マルクス経済学の講座がなくなって久しい。マルクスは、労働を商品化することによって、資本は大金をられるようになり、資本主義は発展したと述べている。経済学の中に、商品の固有価値と兌換価値を分けて考え、労働者の存在意義を求めた。価格と価値は自由主義経済の下では一致しない。
番組では、結論を出そうとはしていない。しかし、農民連盟の、「足るを知る」ことこそ必要なのである。欲望の抑制である。
農民作家の山下惣一さんは、「昨年と同じ今年今年と同じ来年、これを農民は”安定”と呼ぶが、経済学は”停滞”と呼ぶ」と述べている。日本は高齢化人口減少時代に突入した。資本主義は今こそ農民の教訓を理解するべき時であると言える。
コメント (3)
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