かいつぶりの日々

山林関係に強い不動産鑑定士「合同会社鳰不動産鑑定」のブログです
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不動産の鑑定評価・相談・コンサルティング

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【実務】無道路地の評価

2022年05月21日 | 実務
今回は実務のカテゴリーで(^^)/

タイトルは無道路地

公道に接面していない土地のことです。
もちろん建築基準法的には原則として建物建築できないです。

道路に面していないから入れない…→そのまんまか!!と思う前に

民法では公道に面していなくても他人の土地を介して道路までアクセスできる「囲繞地通行権(いにょうちつうこうけん)」というものが認められてます。

上記の権利で一応通行して利用することは可能です、しかし範囲と権利内容がしっかりしていません。
一番の問題はこれだけで建物建てられるのか?ということ。
結論から言えば囲繞地通行権のみで建物建築は厳しいです。

判例などの今までの経緯からみると、囲繞地通行権だけでなく、通路部分の権利を確定する必要があるようです。
つまり、通路部分を購入、賃貸、使用貸借…いろいろありますが、客観的な権利をはっきりさせる必要。特にややこしくない買収が望ましいこととなります。
これにより、上記の法的な問題がクリアできれば建物建築は可能。

鑑定に際しての減価の度合いについてはケースバイケースって言ってしまえば終わりですが(笑)
ザクっと申し上げると
隣の通路用地を買い取る価格を参考に減価率を判断しています。(今回は限定価格要素を抜きで話しますね)

それがあまりに高い場合→つまり鑑定の結果土地の価値がえらく低くなるケースにおいてはそこまでして建物建てたいのか?という「そもそも論」に省みる場合もありますね(つまり隣に買ってもらうことを考慮するなど)

無道路地、いろんなケースがありますが、まずは通路が設置できるかどうかの話から検討しましょう。


【お家探し24】嫌悪施設について(高圧線)

2022年05月18日 | おうち選び、住むとこ選び
短答試験終わりましたね、皆様お疲れさまでした。一息つく間もなく論文式が始まります、体調崩さないように(私は一度やらかした(笑))


家を建てるとき、付近に何があるかすごく気になりますね。

その中でも嫌悪施設というものは土地の価値を減価します。

近接していたらするほどマイナスが大きいとお考え下さい。

我々が実務上住宅の嫌悪施設として列挙するものはたくさんありますが、

その中でも高圧線について

まず、高圧線の鉄塔が家のそばにあると

圧迫感
景観を損なう
倒壊のリスクなど
で減価要因として扱ってしまいます。マイナスの度合いは個別判断になりますが( `ー´)ノ

これは皆さん見てわかる範囲。

高圧線はどうなんでしょうか?

高圧線の下(高圧線下地、以下線下地とします)はいわゆる地役権が設定されている場合が多く、建物の建築が制限されています。(高さ○○Mまでとかそもそも建物禁止とか)

その分かれ目が高圧線の使用電圧
17万ボルトが分かれ目です

①17万ボルト超→
一番外側の電線の垂線下水平距離3m以内
かつ
隔離距離10.05m以内(50万ボルト)
隔離距離6.60m以内(27.5万ボルト)※東京電力資料による

は建築NG


②17万ボルト以下→
隔離距離(A)4.80m以上(15.4万ボルト)
隔離距離(A)3.60m以上(6万6千ボルト )

すなわち「離隔距離」を保てば線下でも建築可である。

このように物理的な制限もあります。
制限の内容については、地役権設定契約に内容を確認してくださいね。
登記簿に記載されていることが多いです。
また、地役権の設定範囲は地役権設定図面(法務局所蔵)にて確認することもできますので合わせて請求しましょう。

間接的には

塩害による電波障害の可能性
騒音(風が吹くとビュービューなる)
心理的嫌悪感
などの住環境に対する影響も大きいですね。

住むにあたって、高圧線下地に該当した場合には、電圧、地役権による建築制限、物理的な環境のことをよく調査したほうが良いです。
様々な天気の日に見て決められると良いでしょう。








【お家探しその23】  賃貸住宅の注意点

2022年05月11日 | おうち選び、住むとこ選び
このシリーズ、お家を「買う」というところばかり注目してましたので、今回は「借りる」をメインに解説してみます。

お家を借りる、アパートにしろマンションにしろ戸建にしろ、手続きが買う時より楽なのでフットワーク軽めで考えてらっしゃる方などは、賃貸を中心に考える方も多いかと。
メリットデメリットは前回のブログで解説してます。
お家探しその2(賃貸か購入か)

借りる場合については賃貸借契約書の内容が多くを占めます。」

まず契約内容をみて本物件が契約物件と同じかどうかを確認。
  • 建物名称
  • 所在地
  • 構造
  • 築年数
  • 間取り
  • 面積
  • 設備
特に設備についてはよく確認しましょう、
大家さんが設置したものは「有り」になってまして、大家さんの修繕義務になるものもありますが、前の入居者の残置物もありますので…
お部屋を見学した際に室内にあった設備が「設備」もしくは「残置物」であるのかを確認しておきましょう。

残置物で多いものは、エアコン、ガスコンロ、照明器具などですね。

残置物は利用してもOKですが、故障は自己責任、また転居する場合は処分しなくてはなりません。
駐輪場、バイク置き場、宅配ボックスなど共用施設の有無も確認しておく必要があります。

また、お金がらみの話ですが…以下の事項はもちろん注意。
  • 賃料
  • 駐輪場など付属施設の使用料
  • 契約期間
  • 支払方法
  • 支払い先
特に支払方法、期間、支払先は、
「4月末に4月分を振込」
「4月末に五月分の前払いを振込」か
によって扱いが異なります(特に退去の日)
また、締め日、家賃自動引落の利用可否などを確認しましょう。

賃貸借契約書の契約は基本的に賃貸借契約の期間は2年契約で、2年ごとに更新する必要となります。その際に更新料や手数料がかかる場合もあるため、契約時にしっかりと確認しておきましょう。

さらに以下はトラブルになりがちなので注意しましょう。
  • 町内会費
  • ケーブルテレビ代
  • インターネット代
  • 使用した分を家賃と一緒に請求される水道代
  • 使用した分を家賃と一緒に請求される電気代
家賃(または共益費)に含まれるか、それとも別添で支払うのか、電気代、水道代は毎月か二カ月ごとかについても、地域の実情に合わせてることが多いので注意です。
インターネット、ケーブルテレビは無料!って広告に書いてますが実は共益費にオンされてましたって、話はよく聞きます。内容を確認しましょう。

貸主・管理会社はいざって時にどこに連絡すれば良いか記載しています。
出来れば、契約書記載の連絡先とは別に夜間休日の連絡先も教えてもらいましょう。
以下のようなアクシデントやトラブルなどの際にはどこに連絡をしたら良いのかを確認しておきましょう。
  • エアコンが故障したなど、設備トラブルがあった場合
  • 上の部屋の入居者が夜中にうるさいので注意してもらいたい場合
  • 契約を更新・解約したい場合
借主・同居人

借主、同居人、(借主の)緊急連絡先の名前・年齢・電話番号などが記載されています。


連帯保証人または保証会社
いわゆる保証会社の所在地と電話番号が記載されています。また、保証会社ではなく連帯保証人が記載されるケースもあります。これも地域の実情によりますね。

特約条文
条文における各項目の注意点は以下の通りです。
  • 更新:更新料の他に更新事務手数料が別途かかる場合があります。
  • 解約について:解約通告期間。一般的には30日前(1ヶ月前)ですが、中には40日前や2ヶ月前通告という物件もあります。
  • 違約金:解約時の違約金等があるかなど、違約金の有無や発生する場合の条件などを確認しましょう。
  • 禁止事項:ペットの飼育について、楽器の演奏について、石油ストーブの使用などです。違反した場合は退去を求められることもありますので事前にしっかりと確認をしておきましょう。
  • 特約:個別の取り決めなどは後になってトラブルにならない様に必ず特約に入れておきましょう。
原状回復について
退去時の原状回復に関する費用(修繕費)の負担について記載してあります。
国土交通省が定めたガイドラインがありますので事前によく読み、原状回復と敷金返還に関する特約が不利な内容になっていないか確認をしておくと良いです。

以上が大まかな留意点となります、
特にトラブルになりそうなのが

設備
賃料以外の支払い
原状回復
が大きなところかと思います。

契約の前に重要事項説明も行われますので、どんな細かい点でも不明な点は担当の宅建士の方にお聞きしましょう。

【資金調達】不動産ノンリコースローン

2022年05月04日 | 実務

先日から投資の話をちょくちょくしてますね、

先日は不動産証券化のお話をしました、

今回はこの資金調達について、関係する論点ですね。

一般的に良くお世話になります銀行の借り入れ、
大体が担保有借入(住宅ローンとか)になります。

【通常借入(リコースローン)】
通常の銀行の借り入れは、借り手の信用に基づいて融資を行い、返済の原資は借り手の全財産が返済責任を負うことになります。
これがリコースローンと言われます。

借入金がちゃんと返済出来れば問題ないんですが、返済が滞ると、

債務者の財産、もしくは担保に出した不動産、もしくは連帯保証人などを巻き込んで弁済となります(こっから先はダークな話なんで省略)
会社で借入してもし返済が滞ったら連帯保証の社長の個人財産にも影響するとお考え下さい。

【ノンリコースローン】

不動産ノンリコースローンは不動産を対象とした場合、返済の原資は対象となる不動産の産み出すキャッシュフローのみに限定するものです、すなわち不動産から得られる収益と運用期間満了後の不動産売却額にのみ返済の対象とするものです。
銀行などの貸し手も、借り手に対し、対象の不動産以外の財産をもって返済することを要求できず、不動産運用終了後の不動産売却額が返済金額を下回っていても、それ以上は借り手に請求できないローンです。

すなわち、資金調達において、SPC(不動産証券化の特別目的会社)は、その保有する不動産の証券を発行するわけですが、不動産の証券=SPCの有価証券であるため、投資家に対して少額の証券を発行して資金調達を効率的に行います、このため、SPCにとっても効率の良い資金調達手段としてノンリコースローンが利用されます。

これはSPCが事業者個人の信用とかリスクに依存した形ではなく、投資不動産の収益を返済原資とすることにより事業者個人へ返済リスクをかぶらず、
また事業者の倒産リスクも回避できることから証券化不動産の資金調達方法として評価されています。

他方、思ったような条件で資金調達ができないことから(返済額を下回っても遡及しないので)、まぁ一長一短ですね( ´∀` )