かいつぶりの日々

山林関係に強い不動産鑑定士「合同会社鳰不動産鑑定」のブログです
お問い合わせ 077-516-8907

不動産の鑑定評価・相談・コンサルティング

不動産に関するご相談についてはお気軽に当事務所までご連絡ください。 合同会社 鳰不動産鑑定(におふどうさんかんてい) 〒520-2331 滋賀県野洲市小篠原2101-2風異音素テナント4B ℡077-516-8907 fax077-516-7541 以下、専用のフォームです、
<ご連絡フォーム(クリック)>お問い合わせ・お見積り等
送信後1~2日程度で担当者からご連絡します。

【整理】投資関係の横文字

2022年04月27日 | 実務
不動産投資について、専門用語がめちゃくちゃ多いですよね、

IRRとかNPVとか何の略が不明ですし、何見てよいのかもわかりません。

今回はそれらの用語の意味を少しずつ整理したいと思いますね。

まず収益不動産について、良いか悪いかを判断するのは、ちゃんと儲けがでるかどうかの話…。

前回、軽く利回りの話をしました。

100万円の投資をして10万円の収入では利回り10%

これをグロス(粗利回り、表面利回り)とすると

経費が5万円かかるとしたら

(10万円-5万円)÷100万円=5%

ネット利回り(純収益利回り)は5%です。これは前回の話でご説明しましたね。

しかし投資採算性をこれだけで把握するのは難しいです(笑)

投資に対してどんだけもらえそうかとか、投資額をどんだけで回収できそうとかを測るのにほかの指標があります。

よく使われるのがIRR(iternal rate of return;内部収益率)です。

これは、初期投資額と賃料収入などを含む将来得られるキャッシュフローの合計の現在価値をイコールにする割引率(パーセンテージ)です。

すなわち、ちゃんと適正な期間でモトが取れるかどうか…。

このパーセンテージが大きければ短期間で投資額の回収が可能であると、認識していただいてOKです(^^)/

【例】
例えば定期預金の場合、一億円預けるとして金利2%としたら
  • 1年目:1億円 × 2% = 200万円
  • 2年目:1億円 × 2% = 200万円
  • 3年目:1億円 × 2% + 1億円 = 1億200万円
単利ならこうなりますね。

キャッシュフローの総和を計算すると以下の通りになります
  • 1年目CFの現在価値 = 200万円 ÷ (1 + 0.02) ≒ 196万800円
  • 2年目CFの現在価値 = 200万円 ÷ (1 + 0.02) ^2 ≒ 192万2,300円
  • 3年目CFの現在価値 = 1億200万円 ÷ (1 + 0.02) ^3 ≒ 9611万6,900円
合計=一億円
ということで、偶然にも(笑)
IRRは2%であるということがわかりました。

ちなみに不動産投資の場合で検討すると

1億円の不動産を購入で3年後に運用完了して1億円で売却。1年目は利回り4%、2年目は利回り1%、3年目は利回り1%で運用。
この場合3年間で得られるキャッシュフローは、以下の通り計算できます。
  • 1年目:1億円 × 4% = 400万円
  • 2年目:1億円 × 1% = 100万円
  • 3年目:1億円 × 1% + 1億円 = 1億100万円
キャッシュフローからIRRをみると
400万円 ÷ (1 + IRR) + 100万円 ÷ (1 + IRR)^2 + 1億100万円 ÷ (1 + IRR)^3

IRRは2.03%であるとわかりました。

この差は直近で得られるキャッシュが大きいことから出てくるようですね。

このように投資については初期の段階で大きく収益が上がる投資の方が、IRRが高く採算性がよいことがわかります。

ちなみにROI(Return on investment;投資収益率)は投資に対する利益率であり、事業の効率とかを把握するのに役立っております。

例えば
  • 10万円を投資して50万円の利益をあげた→50万円÷10万円×100=500%
  • 1,000万円を投資して2,000万円の利益をあげた→2,000万円÷1,000万円×100=200%
利益額は少ないですが、上の投資が効率よいことがわかりますね。

不動産投資で使う収益率は上記のものですが、IRRがよく表に出てます。その時よく使われる数字としては
NPV (Net Present Value 正味現在価値;運用期間のキャッシュフローの現在価値の合計から初期投資額を引いたもの)があります。
IRRではこのNPVがゼロになるように考えます。ぶっちゃけ投資がどのようか効果を出すのかを表してますね(^_-)-☆

上記IRR、ROI、NPVとも、投資に対してどのような効果があるのか、いつ回収できそうなのか?という部分を把握できるので、投資物件の購入の前に、シミュレーションをされると良いかもしれませんね。



【物件購入】山の買い方

2022年04月20日 | 実務
農地の来たので山…、

DMでご質問いただいたのでお答えします。

山林を買って余生を過ごすとか、アウトドアライフを充実したいとかいろいろと夢が広がりますね。

一般に山林を購入するときは農地ほどハードルは高くないです。

農家でないと難しいとか、事業計画を作らないとダメとか…

林業関係者でないと難しいというわけではないので

一般の人でも購入可能です。

普通の住宅のように手続きできると思います。(銀行で融資を受ける場合にはいろいろ審査がありますが…)

購入の際には以下の点を気を付けて

1.所在地がはっきりしているか、場所がある程度特定できるか
→場所がわからない山林は購入しても…トラブルの元です。ある程度特定できる物件を買いましょう(業者、売り主さんによっては現地案内をしてくれない場合もありますのでそこも注意してください)

2.道路のアクセスは良いか、
車が入れる道に接道していたらベスト、なければ最寄りの道路からどれだけ離れているか、あんまり離れすぎてたらいろいろ大変です。

3.管理の状態
1にも関連するんですが、手つかずのジャングルみたいな山林は大体場所が不明なんで…、特定できない→手入れできないとなっております。ですので、ある程度の手入れされているものが良いですね(これ住宅でもおんなじですよね)

4.傾斜度
がけ地では何もできないので…フラットがベストですが…。

5.行政的条件
4に関連して、造成ができそうか、その前に伐採ができそうか(保安林指定されていたら伐採は難しいですね)、その他都市計画、自然公園法の制限などあるかどうか、土砂災害エリアに指定されていたらさらに利活用が難しくなりますね。また当然ですが、建築基準法の道路に面していないなどの場合は建物(別荘等)は原則建てられません。

6.自身でちゃんと山林を管理できそうかどうか?
これが一番重要です、安いからって飛びついて購入した人が放棄した山林をちょいちょい見ます。山林も生き物ですので…。

少し厳しいことも書きましたが、山林を買って生かすというのは本来あるべき姿です。山林を購入したい、山を買ってこうしたい!というビジョンがある方は是非とも地元の森林組合、または山林の精通者(地元不動産業者、不動産鑑定士)へご相談していただければよいかと思います。

【物件購入】農地の買い方

2022年04月13日 | 実務


原材料高の影響で、小麦、そば、乳製品などが高騰してます。

特に、日本は輸入に依存している部分が多く、海外の情勢を影響受けやすいのは皆さんご存知ですね。

そういった時代に直面しているせいか

「農家じゃないけど農地って買えるの?」
という質問をいただきます。(農地法3条許可の話です)

結論を言えば大丈夫です、ただ、いくつかの条件をクリアする必要がありますね。

すなわち、個人の場合には

1.農地のすべてを効率的に利用すること
機械や労働力を適切に利用するための営農計画を持っていること。

2.必要な農作業に常時従事すること
農地の取得者が、必要な農作業に常時従事(原則、年間150日以上)すること。

3.一定の面積を経営すること
農地取得後の農地面積の合計が、原則50アール(北海道は2ヘクタール)以上であることが必要(※)。
※この面積は、地域の実情に応じて、農業委員会が引き下げることが可能です。(各地域の面積については、市町村の農業委員会に要確認)

4.周辺の農地利用に支障がないこと
水利調整に参加しない、無農薬栽培の取り組みが行われている地域で農薬を使用するなどの行為をしないこと。

という基準をクリアしているかどうかを農業委員会が判断し、OKまたはNGをすることとなります。
農地を借りる場合にも同じような要件が必要となります。

見ていると、

農地法の趣旨では、農業は「業」として運営することがまず大事であり、周りの農業との調和を重視しています。農業経営にあたっても資金計画、事業計画もかなり現実的な数値でないと許可がいただけないという話。
面積要件も市町によって異なりますが、家庭菜園レベルでは中々難しいですね。

令和2年の統計では荒廃農地(ほったらかしの農地)が全国で28.2万ヘクタール、うち再生可能と思われるのが9万ヘクタール。

農業経営の難しさが浮き彫りになってますね。

少しでも多くの方が農業に興味持たれて、空家ならぬ空き土地(農地)の利活用を検討する必要があります。




【おうち選びその22】リースバック契約について

2022年04月06日 | おうち選び、住むとこ選び
最近よく聞きます、
「リースバック」
これは、自宅を売却することで、まとまった資金を手に入れることができる資金調達方法で、売却後も同じ家にそのまま住み続けることができます。

つまり、住宅ローンがきつい→でもこの家住み続けたい→ではこの家誰かに売って買主さんと賃貸借契約して家賃払えばOKだ!、お金も入るし住み続けられる!っという流れのものです。

たしかに、通常売却すると売却代金は入っては来るものの退去しなきゃいけないし新しい住居を探さないと、それに引っ越しも大変…、
ローン返済が滞るなど資金的に少しきつい時にはかなりしんどい話ですね。

所有権から賃貸借に変更するわけですが、

【メリット】

1.同じ家に住み続けられる

2.賃借人になることにより賃料以外の支出がなくなる。所有の際には公租公課、維持管理費、修繕費用などがかさみ出費が大きい時があるが、リースバックにより支出が一定化する。

3.自己所有の際は破損、自然災害に基づく突発的な修繕が発生する可能性のほか、ローン返済中などの場合にはローン金利の変動等のリスクがある。
しかし賃貸であれば管理会社がこういった修繕に対応するのでリスクは軽減される。

【デメリット】

4.リースバックによる売却は適正時価よりも低くなる可能性があり、希望する額の資金調達が難しい場合がある。まぁ、買主が自由に使えないので低くなりがちですね。
5.建て替え・リフォームが勝手にできない。管理業者の許可が必要な場合がある。
6.定期借家契約の場合は契約満了したら退去しなくてはならないこともあり、ずっと住み続けられるとは限らない。

このようにやはりデメリットもありますね。

とにもかくにもリースバックは契約内容をまず注意しましょう。
上記の5.6についての項目についてはしっかりと確認すべきです。

また、賃料についても、現在の自己の資金状況と照合して適正な賃料か、無理なく払えるか、賃料改定の可能性なども確認することも大切です。(賃料高かったら何のためのリースバックかわかりませんw)

また、資金状況が改善した際に買い戻しができるかどうかについても要確認です。その場合の買い戻し金額についても確認しておきましょう。

新しい不動産の在り方かもですが、まだまだ成長中なところもあり、これからの動きに期待ですね