志情(しなさき)の海へ

琉球弧の潮風に吹かれこの地を掘ると世界と繋がるに違いない。世界は劇場、この島も心も劇場!貴方も私も劇場の主人公!

「王女御殿」の舞台、一部は舞踊と軽喜劇「首里上り小」、二部に幻想歌舞劇「王女御殿」です!

2019-03-22 19:52:06 | 女だけのうちなー芝居劇団「うない」

ゲネと本番の二回鑑賞しました。舞台の豪華さの前できらびやかに「雨月物語」の翻訳バージョンは見せる「舞台」にはなっていました。地謡の歌唱が良かったので、それも舞台を引き締めました。気になるところもあり、それを指摘しておきたいです。「国立劇場おきなわ」の良さと落とし穴がありそうです。

国立劇場おきなわ、はそこで舞台を鑑賞すればするほど、沖縄芝居にふさわしい劇場だと思えますね。花道を入れて570ほどの座席で手ごろです。組踊を上演するには、もっと三間四方の張り出し舞台を現在より前に突き出してやったら三方から見る事が可能な劇場になります。多良間の8月踊りの舞台のように、客席と身近な舞台になります。

一部の舞踊は、比較ができるという点で、身近な舞台は舞踊家にとっては怖い場であるに違いありません。舞踊では『花車』が面白かったですね。小歌劇のように歌舞になっています。女二人に男二人に老夫婦が登場します。歌舞にぬきんでていたのは佐辺良和さんと安次嶺正美さん。  

二部の「王女御殿」は、劇団乙姫のバージョンをコピーしているが、晴れやかな舞台美術と花道、廻り舞台、ベテランの沖縄芝居女優陣の登場です。どちらかというと新しい演出は加味されていませんね。舞台をどう切り盛りするか、大変だったのかもしれないのですが、逆に舞台機能が優れているゆえに上澄みのよさが残り、稽古不足も補ってくれた大舞台の成功だったでしょうか?劇団「うない」の看板女優の佐和田香織さんは、クールに乙姫の「王女」(うみないび)の美を追求し、比嘉いずみさんは、美形の商人を演じていました。金に目がない商人の狡さや王女に心酔していく変化、家に残した妻子への思いを告げる場面など、かなり演技(心理表現)にリアルさが求められている主役です。表上はうまくその役を演じていたように見えますし歌も聞かせました。声音や歌唱はゲネで鑑賞した時より、見栄えはよかったです。  

ただ背景幕の赤瓦は物語の設定にそぐわず、村人の場面は間の者の滑稽さを出すほどの面白さが出るところで、あまり間になっていなかったですね。ハーメーの仲里松子さんのせりふがすこしぞっとするような第三者の視点を見せていました。村人の「王女御嶽」への恐れは伝わってきました。

和尚の比嘉一恵さん、最後の土壇場の登場、風格がありました。声音の異音化も違和感は起こりませんでした。 最後の終わらせ方に新しい演出があっても良かったのでないだろうか。 黄泉の世界へ戻った後で和尚と商人(兄)だけ残って命拾いを歓ぶでも良かったかとー。

2、3日後、演出の律子先生とお話する機会がありました。「すこしも感動がないのです」のことばに、演出を十分できなかったことがこめられていると感じました。稽古不足で比嘉さんを呼び出し、ご自分の道場で稽古を何度かやったことをお話していました。演出に『納得』していない演出家のもっといい舞台が作れたのだという思いを感じて、それは今後の「うない」の可能性だと感じていました。舞台の晴れやかさに対して『歓びがない』とのことばは、逆に国立劇場の方がどれほど関与したかが気になりました。

地謡は10年以上劇団「うない」の地謡を担ってきた具志幸大さんと大城健太郎さんです。笛の大澤毎里子さんです。歌唱は朗々と場内に響いていました。うむいがこめられた歌唱になっていたのです。  

舞台の装置をいかに使用し作品に深みをもたらすか、演出家は問われているのです。 中曽根律子さま、お疲れさまでした。次回は心から感動できる舞台にぜひ仕上げてほしいです。

(写真は肖像権があります。問題がありましたらすぐ削除いたします!劇団「うない」の広報ですがー。うないを応援しています。)


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