志情(しなさき)の海へ

琉球弧の潮風に吹かれこの地を掘ると世界と繋がるに違いない。世界は劇場、この島も心も劇場!貴方も私も劇場の主人公!

女性だけの組踊「執心鐘入」と「執心鐘入縁起」(少し追記)

2010-11-27 23:50:59 | 琉球・沖縄芸能:組踊・沖縄芝居、他
佐藤孝子先生演出の女性だけの「執心鐘入」は澄んだ声音の女性だけの地謡の歌・三線が、劇場を清らかな空気に、凛とした雰囲気に包んだ。シンプルな清らかな、女性ならではの艶、コミカルさ、呼吸が感じられた。宿の女比嘉いずみのあの妖艶さ、蝋燭を吹き消し、自らの匂いを若松に注ぐかのようなしぐさ、着物の裾がそっとなでるように若松の足元に触れるさま、んんん、これは新しいセンスだと感服していた。そして女と男の応答の場 . . . 本文を読む

折口信夫は「組踊」をよく理解していなかったのでは?

2010-11-27 08:20:01 | グローカルな文化現象
『執心鐘入縁起』のテキストを読むと、折口はどうも愛人(後の養子)藤井春洋をイメージしてこの作品を書いたことがうかがわれる。終戦後の焼け野が原に戻る玉城朝薫(1684-1734)と譜久原里之子の設定である。しかもその作品の中で「上り口説」を挿入している。作品の中で歌い踊る筋書きである。それもおかしい。朝薫が「上り口説」を作曲しているわけではない。屋嘉比朝寄(1716-1775)が江戸で流行したのを伝 . . . 本文を読む

組踊を巡る危険な兆候!折口信夫は愛人「藤井春海」を伴い沖縄行脚!尾類(じゅり)の芸をけなした!

2010-11-24 10:36:43 | グローカルな文化現象
来る11月27日、28日に「国立劇場おきなわ」で女性だけの『執心鐘入』と折口信夫の『執心鐘入縁起』が上演される。すでに田中英樹が【華風】11月号に「愛しきかな、組踊」を書いている。組踊誕生の秘話として、どうも折口信夫が愛人で後に養子とした藤井春洋への思いを重ねて創作したのが、「執心鐘入縁起」である。 不思議なのは、田中が引用しているのだが、「見わたす限りの焼石原。緑の木もない赤土山」「ただこれだ . . . 本文を読む

沖縄県知事選挙、伊波洋一と仲井真弘多の違い!

2010-11-21 10:10:02 | 政治の潮流
選挙の争点は、普天間や辺野古に関する限り、伊波洋一(58歳)と仲井真多(71歳)の主張は、変わり映えがしないように見える。今、誰が勝っても辺野古移設はない、と鷹の目になっていたことを反省せざるをえない。しかし、県民党を訴え、イメージカラーの黄色で先取りして、まさに県民の心を一つにと、ポスターでも目に優しげなコピーをバラ撒く仲井真陣営の問題が、例えば、目取真俊のブログ≪海鳴りの島から≫や、今朝の新報 . . . 本文を読む

「組踊」 世界の宝に!

2010-11-20 19:46:23 | グローカルな文化現象
「沖縄タイムス」と「琉球新報」の組踊ユネスコ登録記念特集の取り上げ方の差異が興味深いと感じた。「琉球新報」はかなり力を入れ、予算も多く割り当てた様子がうかがえる。対してタイムスはシンプルに現在の視点を感じさせるように新作組踊をすでに18作も創作した大城立裕氏のエッセイ「組踊の魅力」を掲載している。新報は座談会記事を両面見開きで載せる力の入れようである。しかし不思議と座談会のメンバーの島袋光春、西江 . . . 本文を読む

「組踊」ユネスコが世界無形文化遺産に登録!新作組踊は沖縄の粋を極めた現代演劇!

2010-11-17 08:42:00 | グローカルな文化現象
地元の新聞によると、11月16日、1719年に初めて玉城朝薫によって創作され、清王朝時代の冊封使歓待の席で上演された「組踊」が、国連機関の一つ、ユネスコにより、無形文化遺産に登録が確定された。2006年に始まった制度で、無形文化遺産の保護や国内外で無形文化遺産への相互理解を深めることを目的とする。2010年10月までに世界で178件、日本では16件が登録されていた、と紙面が伝える。新聞のトップを飾 . . . 本文を読む

「AICT国際シンポジウム・オン・アジア」のご紹介

2010-11-15 13:50:18 | 表象文化/表象文化研究会
今朝、西洋比較演劇研究会回覧でメールが届いたのを紹介したい。 できれば11月19日夜には那覇から東京に飛んで20日に早稲田大で開催される『沖縄文化協会』の研究発表を拝聴し、(組踊の中の儒教思想などについての発表に興味がある)21日から24日までは以下のシンポジウムに参加し、可能な限り歌舞伎座のある舞台公演についての資料を逍遥する。急な情報だったので、フライトがうまく取れるか気になるが、何とか参加 . . . 本文を読む

再び、池上永一『テンペスト』批評を読んで感じたこと!(追記)

2010-11-13 11:21:46 | グローカルな文化現象
漫画論や比較文学論の研究者本浜秀彦の「呪術少女たちの琉球・沖縄」ーー[テンペスト」現象を読むーは面白かった。マンガとの親和的な語り、徹底した「エンタメ」小説、[観光地物語」の域出ず、娯楽小説に歴史認識問う、などの新聞見出しのコピーも「なるほど」である。 マンガ論を比喩しながら、リボンの騎士やベルサイユの薔薇など、男装する美少女物語の系譜にあると指摘し、「開発された歴史」のフレームワークにおさまる . . . 本文を読む

池上永一『テンペスト』をめぐってーー琉球史研究応用特論クラス

2010-11-11 21:23:38 | 表象文化/表象文化研究会
琉球史のテーマで修論に取り組んでいる松川莉奈さんがとてもいい報告をした。修士の学生たちにいつも関心している。学部時代から卒論を通してよく鍛えられている。彼女が発表のために用意した資料は新聞のコピー資料も含めてA4用紙の12枚に及ぶ。凄いですね。 琉球史特論のクラスは討議があるからいい。受け身的に学生の声を響かせない授業は面白みがない。大学院の授業には討議を必然とした方がいいですね。ことばの響きの . . . 本文を読む

きらきら輝く目をした岡本祐子先生のご本

2010-11-10 23:24:26 | グローカルな文化現象
一番厳しい博士課程後期の総合演習IIの授業から戻ってきた。ちょうど世界女子バレーの試合が実況中継中で、テレビの前でロシアと闘う日本代表の試合を見た。中味汁を食べながら、そしてすでに店頭に出たまだ少し酸っぱいクガニーをデザートにしてーー。三セット目と四セットを見た。2m以上の選手が二人で交互にアタックするロシアである。槍のように日本選手を突き刺す勢い。それでも彼女たちの身長のプラスを攻める隙間はある . . . 本文を読む