栗山求/望田潤監修「パーフェクト種牡馬辞典2024-2025」

先週の雑感・阪神編~自信満々のロングスパート

2012-09-25 20:44:16 | 血統予想

先ほど「望田潤の2歳勝ち馬評価」先週分を2頭更新しました~

夕月のアナスタシアブルーは横綱相撲で抜け出して強い2着だったと思いますが、やっぱりマツクニ厩舎のファルブラヴ×ライラプスでパワーで加速するタイプですから、急坂小回りの1800mがベストでそのぶん差されてしまったかな…という内容
京都内1600mの新馬圧勝で(POGで推奨してた私ももちろん)、これは桜花賞路線で…と色めきたった人は多かったと思いますが(^ ^;)、これで内回り小回りでは2戦2勝、血統表をみるとたしかにそういう馬ではあったかなと
だから繰り返しますがこれはなかなか強い2着で、たとえば中山1800mならもう一クラス上でもいいところじゃないかと思いますよ

ハワイアンウインドはデインヒルをNijinsky的Lyphard手系に背長胴長にした体型で、デインヒル的にガシャガシャ掻き込む走りですから、洋芝急坂小回りでベストパフォーマンスを叩き出す“女エアエミネム”というキャラで、こういう馬が欧州遠征したら化けそうな気はするんですが、秋華賞で一発あるとしたらやっぱり上がり12秒の持続戦になったときでしょう

日曜6Rで2勝目をあげたマーチャンテイマーはベストクルーズの全妹で、「クロフネ×サンデー×チヨダマサコ」の必殺配合(この高確率ニックスについては下記エントリを参照)
ただこのマサコチャンの分枝はNashwanやリマンドをくぐってないので(つまりHyperion的な凝縮がないので)、ホエールキャプチャやシゲルスダチのようにオープン級にまでは突き抜けられないんですよね~
チヨダマサコ牝系との相性が抜群なだけになおさら、クロフネから芝オープン級を出すには相手牝馬からHyperionをシッカリ入れる必要があるのだ…ということが、この牝系図をみれば実感いただけるのではないかと
グローバルハートもデビュー戦の内容は悪くなく走る馬だと思ってるので、エミネントガールの血を引く繁殖をお持ちの関係者は、来年はこぞってクロフネのもとへ駆けつけましょう(笑)

チヨダマサコ(ラバージョン)
├タレンティドガール(リマンド)
│├エミネントガール(Nashwan)
││└グローバルピース(サンデーサイレンス)
││ ├ドリームセーリング(クロフネ)現役4勝
││ ├ホエールキャプチャ(クロフネ)現役5勝
││ └グローバルハート(クロフネ)現役未勝利
│└ライジングサンデー(サンデーサイレンス)
│ └エトレーヌ(ブライアンズタイム)
│  └シゲルスダチ(クロフネ)現役3勝
└マサコチャン(サンデーサイレンス)
 ├サトノロマネ(クロフネ)2勝
 ├ベストクルーズ(クロフネ)現役3勝
 ├マーチャンテイマー(クロフネ)現役2勝
 └ブライダルドレス(クロフネ)現役未勝利

神戸新聞はフミノポールスターが1000m通過60秒7とソコソコ引っ張り、メイショウカドマツが下りからこれを交わしてスパートしたので、道中の最遅ラップが12秒6という緩みのないペースで流れ、私が考えていたよりも持続戦になりました

ゴールドシップはオルフェーヴルと同じステイゴールド×メジロマックイーンで、ノーザンテースト≒The Minstrelのクロスになるところも似ていますが、こちらはPrincely Gift5×5もあるのでオルフェよりも脚は長くなって動きは緩慢になり、なんというかコスモバルクみたいなスピードの乗りなんですね~
Princely GiftはNasrullah直仔でThe Tetrarch4×5ですから、クロスすると脚が長く体質は柔らかくなりやすいですが、現代においてはスピード(俊敏さ)を増すとはいえないです
Princely Giftクロスのスピードがどんなスピードかというと、コスモバルク、サイレントハンター、サンライズマックス、メジロマイヤー、ブルーイレヴン、コスモプラチナと、中距離でしなやかさでゆっくりスピードに乗る感じですね~
オルフェーヴルよりも脚長で緩慢なストライド走法になったのがゴールドシップで、だから本来は東京や外回り向きで、スピードに乗るのに時間がかかるが乗ってしまえば惰性で伸びつづける馬なのだ…と書いてきました
皐月賞はウチパクのファインプレーが大きかったですが、折り合いはつきすぎるぐらいの馬なので、外回りの長丁場ならどこかで外に出してロングスパートでOKで、本番も自信満々に同じ乗り方でくるでしょう

フェノーメノはトモがパンとして明らかに春よりも機動力を増したし、そして燃費のいいトボトボ走法のフェデラルホールも九十九里を見ての通りどこからでも動けますから、今年の菊はステゴ産駒のロングスパート合戦になりそうで、それだけでももう見応え十分で、実は某桃航空で格安のところをポチッとやってきたところです(^ ^;)

ロードアクレイムは「血統クリニック」でも書いたように外回りの持続戦ではしぶといところを春にみせていたし、ディープ×トニービン×Blushing GroomでハイインローとWild Riskのクロスで、こういう配合であまり筋肉質ではないディープ産駒というのは3歳春あたりはまだ未完成だけど、グルヴェイグのような成長曲線で3歳秋~古馬にかけて一皮むけてくる…という傾向もだんだんみえてきたところ

カポーティスターはこれだけ伸びないということは、新緑賞も超スローだったし、ベストは2000mぐらいなのかもしれないですね…

ホエールキャプチャ≒ベストクルーズ≒レジネッタ
http://blog.goo.ne.jp/nas-quillo/e/d7f6472ac0ed4ca142cd202b7aa530e8

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ユウキソルジャーの配合~トーホウアランか、アルナスラインか

2012-09-25 19:58:05 | 血統予想

常連さんにリクエストされたら無下に断ることもできず、「血統クリニック」の1/3ぐらいの労力をかけてわざわざ書き上げましたので、心して読むように…(そして菊の当日淀で私を見かけたら、常連二人はビールでも奢るように…)

父トーセンダンスはダンスインザダークの全弟で、母系にTom Rolfeが入ってRibotのクロス、Nijinsky的な胴長体型で、札幌2600mと京都2400mで勝ち鞍があり、持続力勝負となった神戸新聞で前の組で唯一踏ん張ったユウキソルジャー

さっさん、オメガさん…、大変申し訳ないですが、これだけ揃ったらもう穴人気必至です(^ ^;)

ユウキソルジャーの母オースミエルフはオースミタイクーン×Theatricalでダ1700mで3勝をあげましたが、その母オークアップルがThong=Ridan4×3で、オースミエルフはRuss-Marie≒Nantallah4×5・6と継続したことで、つまりRoberto×Nureyev的な(Nashua≒Nantallah的な)パワーがONになったと考えられます
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2009103720/

Nasrullah
Russ-Marie
│┌Sir Gallahad
└Marguery
 └Marguerite

Nasrullah
Nantallah
│  ┌Sir Gallahad
│ ┌Gallant Fox
│ │└Marguerite
│┌Flares
└△

そこにダンシングキイからNijinskyが入ることで(Nijinskyの母系にはFlaresの全兄Omahaが入るので)、ユウキソルジャーはOmaha=Flaresの薄い全兄弟クロス

ややこしいですがまとめると、ユウキソルジャーの母母はThong=Ridan4×3で、母はRuss-Marie≒Nantallah4×5・6で、自身はFlares=Omahaの全きょうだいクロスと、Nantallah的パワーを代々継続クロスしてきた配合といえます

このように母系にSpecialの血を引くダンスインザダーク産駒は、トーホウアラン(Nureyev)、コンラッド(Nureyev)、ダイシングロウ(ジェイドロバリー)、ストロングガルーダ(Nureyev)と、やっぱりパワーの勝った中距離馬が出ていますね~

ちなみにオースミタクイーンの半兄ジェネラス(KJと英愛ダービー)は、父がNijinsky系CaerleonなのでGallant Fox=Fighting Fox=Margueryの7×4・6

つまりユウキソルジャーの配合は、代々Nantallah的なパワーの血を継続クロスし、またメイショウドトウやフェデラリストが持っていたNijinsky≒トライマイベストのニアリークロスがあり、そして隠し味的にRibotのクロスもあると

だからトーセンダンスからみるとNijinsky的なパワーを主に増幅した配合といえるし、ダンスインザダーク全弟×ジェネラス半弟でジェネラスみたいなパワー型中距離馬が出ました…というイメージも描けるし、配合や血脈構成やレースぶりをすり合わせるとトーホウアランやアルナスラインに近いイメージも固まってきて、結論としては神戸新聞の力走どおり、外回り2400mの持続戦パワー戦でベストパフォーマンスを叩き出す馬…でしょう

3000mでバテることはないし神戸新聞ぐらいの上がりならまた食い下がれるでしょうが、京都でもっと上がりが速くなったらシンドイんじゃないかと…ふう疲れた

コメント (2)
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先週の雑感・中山編~ルルーシュが抱える「バラ一族的ややこしさ」

2012-09-25 10:33:57 | 血統予想

土曜5Rは「時計のかかる芝1200mの新馬戦」という激走条件にハマってスウェプトオーヴァーボード産駒のワンツー
そもそもスウェプトオーヴァーボード産駒は「新馬戦」というカテゴリだけでも単回値124,複回値115とベタ買いで儲かるほど仕上がり早で実戦タイプなのですが、これを「芝の新馬戦」に限定すると単回値163,複回値131([20.17.10.129])、さらに「芝1200m以下の新馬戦」に限定すると単回値243,複回値154([16.11.4.70])で、芝1200m以下ならどこの競馬場でも万遍なく好走しているのですが、唯一京都芝1200mの新馬戦だけは[0.1.0.5]と不振で、時計に限界があるのはアーバンストリートやキヲウエタオトコのイメージどおり
というわけで「高速馬場ではない芝短距離の新馬戦」では、スウェプト産駒から目を離してはいけません…ということで

フェデラルホールは無駄な筋肉が全くついてなくて理にかなった燃費の良いフォームでずっと走り続けることができ、しかしバーンと弾ける脚はないので決して大勝ちはしないというステイヤーの条件を100%満たしている馬で、たとえばオルフェーヴル兄弟との比較でいうと3000mへの距離適性は全然上だと思ってるので、菊でも◎○▲のどれかは打ちます
ゴールドシップはストライドが伸びるのでトップスピードに乗るまでが大変ですが乗ってしまえばそれを長く持続できるという脚質で、フェデラルホールの場合は同じフォームでずっと走り続けられるというのが最大の長所で、たとえばヒシミラクルだって運動能力は並でしたがフォームの良さだけで、燃費のいいフォームでずっと走り続けられるという長所だけで天下をとったような馬でした

土曜最終を逃げ切ったツインクルスターはバクシンオー×フジキセキですからグニャグニャになりそうな配合ですが、母母キョウエイヨシノは田島裕が乗ってたダート馬でOlympia4×5、Alibhai5×5、このHyperion硬いダート巧者の血がノーザンテーストの頑健さをONにしていることは体型や走りをみれば明白です
ようするにバクシンオー×フジキセキだとステイゴールド的に柔らかいけれど、そこに硬いダートの力馬の血をもってくるとうまくいった…という図式ですね~

外房はレイカーラの頑張りにまずビックリで、道中の行きっぷりも4角の手応えもそんなに良くはみえなかったのにあの頑張りで、これは東京1800mでやったらあと2馬身はやっぱり強いんじゃないかと
これで7/15のラスヴェンチュラス=レイカーラ戦の1~4着馬のその後は[3.1.3.0]と全部馬券に絡んでます
他では4着ディープサウンドに注目で、ピンナのコメントにもあるようにこういう馬場ではやっぱりノメるようで、それでも馬体が戻って見せ場はつくりました
ラスヴェンチュラスの全兄ですがこちらのほうがデインヒル的パワーがONになった走りで、ピンポイントで買うなら中山1800m良とみます

オールカマーは腰に筋肉がついたナカヤマナイトが完勝、しかしダイワファルコンは1800mまでの馬じゃなかったのか、ユニバーサルバンクは道悪はダメじゃなかったのか…というあたりがよくわからんです

ルルーシュは直線追われたらノメってましたが、ま~でもこれぐらいの道悪は我慢するほうでしょう

母ダンスーズデトワールはHighest Honorの娘でSir Gaylord4×5ですから、どんな種牡馬との配合でもナスキロ柔く斬れるストレッチランナーを出す名繁殖レーヴドスカー(レーヴディソール、アプレザンレーヴ、レーヴダムールなどの母)と配合が似ていて、実際ルルーシュもナスキロ柔い体質なのですが、一方でその母Larifoliaはダンシングブレーヴ×Krisですから、ここにサンデー系種牡馬をもってくると「サンデー×Lyphard×ハイインロー」の形にもなるのです
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2008102912/

つまり外回りをナスキロ柔く差したいけれど、Lyphard的に前受けして粘りたい…というちょっと矛盾したところのある血統で、これはバラ一族がMill ReefとSecretariatを引いてナスキロ柔く斬れるのにLyphardも入るのでG1で差しに回ってもなかなかハマらないというややこしさと似ていて、けっきょくローズキングダムは東京と外回りのスローで前受け、つまり長い直線で前受けしながら斬れるという形で最も強い馬だったわけで、ルルーシュも前走後の雑感で書いたように、「東京と外回りの2000~2400mで前受けなら重賞でも◎級の印が打てる」ということになるのかと

3/4兄のステージプレゼンス(父アグネスタキオン)もきさらぎで3着するなど能力はあるんですが(ちなみにこのときの2着はレーヴドスカーの息子レーヴドリアン)、内回りで先行しても外回りで差しても、何をやってもピタッとはまらないもどかしさは戦績を見ただけで伝わってきます(^ ^;)

ルルーシュも能力は高いんですがそういうややこしい血統ではあり、やっぱり一番勝ち味があるのは東京のスローを3-3-2-2とか、そんな感じじゃないですか

コメント (3)
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