電網郊外散歩道

本と音楽を片手に、電網郊外を散歩する風情で身辺の出来事を記録。退職後は果樹園農業と野菜作りにも取り組んでいます。

モーツァルト「協奏交響曲」K.364を聞く

2006年01月11日 22時17分31秒 | -協奏曲
大雪の晴れ間、ありがたい休息日です。モーツァルトの「ヴァイオリンとヴィオラのための協奏交響曲」K.364 を聞きました。1779年、モーツァルト23歳のときの作品です。19歳の時にまとまって書いたヴァイオリン協奏曲も、後半の三曲はずいぶん充実していましたが、4年後に書かれたこの曲はほんとうに充実した立派な音楽です。

第1楽章、アレグロ・マエストーソ、変ホ長調。コンチェルト・グロッソを思わせるオーケストラの充実した響きの中で、ソロ・ヴァイオリンとヴィオラの対話が始まる。特にヴィオラの響きがとても印象的で、雰囲気がいい。
第2楽章、アンダンテ、ハ短調。モーツァルトの嘆き、訴えは、母の死か、アロイジアとの別れか、それとも就職ならずザルツブルグに戻った失意か。(だが、若者の失意はまだ未来を夢見ることができる。)
第3楽章、プレスト、変ホ長調。はつらつとした音楽。ヴィオラ奏者は嬉しいだろうな、こんな素敵な曲が演奏できて。

演奏は、LPがクリーヴランド管の首席奏者だったラファエル・ドルイアン(Vn)とエイブラハム・スカーニック(Vla)、ジョージ・セル指揮クリーヴランド管弦楽団。ゆったりしたテンポの第2楽章、モーツァルトの嘆きが胸をえぐるが、しかし気品を失わない、堂々たる演奏。終楽章のプレストは、はつらつとした表情で、オーケストラの高性能を遺憾なく発揮する。これは、セルとクリーヴランド管の残した名演奏の一つだと思う。CBS-SONY 13AC-805。
CDはジェラール・ジャリ(Vn)とセルジュ・コロ(Vla)、ジャン=フランソワ・パイヤール指揮パイヤール管弦楽団。響きがとても美しい。日本コロムビア、My Classic Galleryシリーズより、GES-9235である。

参考までに、演奏データを示す。
■セル盤
I=13'00" II=12'03" III=6'05" total=31'08"
■パイヤール盤
I=13'03" II=10'07" III=6'45" total=29'55"
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10 コメント

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美しい曲ですね (mozart1889)
2006-01-13 06:25:28
モーツァルトの協奏交響曲、とても美しい曲だと思います。第2楽章の痛切さは、モーツァルトにしては珍しい感じがします。

でも、おっしゃるように「若者の失意はまだ未来を夢見ることができる」と思います。

クレーメル盤をよく聴きます。TBさせていただきますね。
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ヴァイオリン協奏曲の発展と考えると (narkejp)
2006-01-13 20:44:06
わずかの期間に、ほんとに充実した響きに変貌していますね。ヴィオラの役割もいいですね。私も大好きな曲です。

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素敵です☆ (おさかな♪)
2006-01-13 21:31:44
雪の具合はいかがですか?

モーツアルトの協奏交響曲って素敵な曲ですよね。

TBさせていただきました♪
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TBとコメントをありがとうございます (narkejp)
2006-01-13 22:11:39
雪の具合は一段落で、ほっとしています。私が幼い頃は、暖かいコタツの中で、新雪にミルクをかけて、アイスクリームみたいに食べたんですよ。あれはおいしかった。今はちょっと・・・雪もきれいじゃなくなりました。

モーツァルトの協奏交響曲、お好きな人が多いんですね。ちょっと嬉しい。

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わたしも・・・ (親父りゅう)
2006-01-15 00:41:10
この曲、好きです。

ずぅぅぅっと以前にアバドとウィーン・フィルが日本でやったのが出会いでした。

その後、スゥイトナー、ベーム、セルと聴いてきて、最近はグリュミオーです(指揮は???忘れました。隣の部屋に行けばあるのに、モノグサなもんでして・・・。)

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グリュミオー盤というと (narkejp)
2006-01-15 19:20:40
ハイティンクあたりですか?落ち着いた美しい演奏になりそう。親父りゅうさんのパソコンは、ステレオのある部屋とは別なんですね。

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ヴィオラは作曲者自身が演奏!? (望 岳人)
2006-01-16 11:13:30
少々気難しいモーツァルティアン 石井宏氏によると、このヴィオラパートは、ほとんどヴァイオリンパートに張り合っており、初演ではヴィオラ好きの作曲者自身が受け持ったのだろうとのことです。エコーのようにまったく同じパッセージを弾くことが多い曲なので、ヴィオリストが相当の技巧の持ち主でないともたついた感じがしますね。



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ヴィオラパートは本人が (narkejp)
2006-01-19 17:58:47
受け持って演奏したのだろうという考えは、とても魅力的ですね。ヴァイオリンのメロディーを受けて、同じ嘆きのパッセージを弾いているにも関わらず、ヴィオラの音色は、より印象的に悲嘆を感じさせます。あんたの言うとおりにやったのに・・・ということか(^_^)/

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ありがとうございます (stonez)
2006-08-29 23:07:11
こんばんは、コメントとTBをどうもありがとうございました!

私はこれほど素晴らしい音楽を手元に置きながら、聴いていなかったことをもったいなく思ってしまいました(^^ゞ その上この音楽は、聴けば聴くほどビオラの存在が大きいと感じますし、味わいが増してきます。私にとっても大切にしておきたい一曲となりそうです。
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stonezさん、 (narkejp)
2006-08-30 19:38:29
こんにちは。コメントありがとうございます。モーツァルトの協奏交響曲、いい曲ですよね。私も大好きです。

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