雪の日曜の朝、何気なくラジオでNHK-FMを選んだところ、聴きなれたドヴォルザークの「四つのロマンティックな小品」(*)が聞こえて来ました。ヨゼフ・スークの追悼番組でした。諸石幸生さんと石川静さんが対談する形で、ヨゼフ・スークのエピソードを紹介します。熊のような太い指で出てくる音は、大きなヴィヴラートであったこと、演奏会では、この曲の三番と四番の順序を入れ替えて演奏することもあったことなどは、たいへん印象的な話でした。それにしても、この曲のこの演奏!今更ながら、聴き惚れてしまいます。
石川静さんは、スークの代役でブラームスの協奏曲を演奏したこともあったわけですので、ご縁の深いヴァイオリニストと言えます。スークと石川静のデュオで、タルティーニのトリオ・ソナタも素敵な演奏です。1995年の録音時には、レディ・ファーストで紳士で、でも収録時に女性同伴で来たりしたのだとか。今だから話せるエピソードでしょうか。弦の国と呼ばれるチェコには、弦楽器の演奏家の伝統があり、馬車で移動したという、ラファエル・クーベリックのお父さんのヤン・クーベリックの演奏旅行の話などは、正しく時代を感じさせます。
亡くなったヨゼフ・スークのお祖父さんも同名のヨゼフ・スークで、こちらは作曲家です。その奥さんがドヴォルザークの長女だったそうですので、ドヴォルザークはいわば祖母方の曾祖父にあたるという関係です。ですから、ヨゼフ・スーク作曲の「四つの小品」と表記されていても、どちらのスークかわからないですね〜、NHK さん。
大柄なスークはヴィオラも得意とし、石川静さんはクーベリック・カルテットで共演したそうです。ヴァイオリンとヴィオラと、柔軟にボウイングも変えていたそうで、そういえば、モーツァルトの弦楽五重奏曲では、スメタナ四重奏団にスークがヴィオラで加わっていました。スークは楽器もたくさんコレクションしており、ストラディヴァリウスのほか、シュピルレンという新しいのも使っていたそうです。
続くドヴォルザークのピアノ四重奏曲第2番の第2楽章は、ホールの音が独特のものでしたが、どこか大聖堂のようなところで録音したものらしい。なるほど、と納得でした。
スーク・トリオを率いて室内楽を演奏していたのは、ソロを演奏していたのだけではできない、音楽の醍醐味を感じることができるから。演奏会の後でも楽器を手にしていろいろ試してみることもあったとか。
ベートーヴェンの「大公」トリオは、1970年代のデジタル初期の録音ではなく、1983年の録音を放送していました。このころは、DENON のデジタル録音も安定していましたからね〜。
その後は、妻の「お茶だよ〜」の声で茶の間に移動し、一時帰省していた娘と老母とアホ猫と一緒に「お茶しました」ので、聴き逃してしまいましたが、番組の大半は聴くことができました。ヨゼフ・スークも亡くなりましたが、たくさんの録音が残されました。私の手元にも、相当数のLPやCDがありますので、折に触れて接することができます。記憶に残るだけではなく、音楽が心に残る演奏家でした。
(*):
ドヴォルザーク「4つのロマンティックな小品」を聴く〜「電網郊外散歩道」2008年7月