電網郊外散歩道

本と音楽を片手に、電網郊外を散歩する風情で身辺の出来事を記録。退職後は果樹園農業と野菜作りにも取り組んでいます。

「カーオーディオの文化史」が興味深い

2022年03月31日 06時01分50秒 | Weblog
何気なく触れた記事で、速水健朗氏の「カーオーディオの文化史〜ドライブミュージックを支えた、技術の結晶たち」(*1)が興味深いものでした。参考までに見出しを抜き出してみると、

ポップミュージックにたびたび登場した「カーラジオ」
国産カーラジオの誕生とカセットテープの登場
エアチェック全盛時代 密接だったラジオとカセットテープの関係
カセットテープ時代を彩るドライブミュージック
カセットテープからCDへ カーオーディオの主役が交代
カーオーディオファンを夢中にさせたCDチェンジャー
ドライブミュージック史を支えた日本のカーオーディオ

というものです。国産カーラジオの登場のあたりは、私が生まれる前ですので承知していませんが、その後のカセットテープの登場やその進歩、エアチェック等によって自分のマイベスト・テープを編集するとともに、インレタや付録のタイトルカードの利用などは、思わず懐かしくなります。そしてCDの登場。氏はCDチェンジャーを指摘していますが、私はSONYの初代ディスクマンD-50(*2)が登場した直後に、鶴岡在住の某マニアが車載用のスタンドを作ってサイドブレーキ上部に固定し、シガーソケットから電源を供給して出力をカーステレオに流す仕組みを作ったのを見せてもらいました。某SONYの人が見に来たそうで、CDカーステレオの始まりはアレだったんじゃないかと思っています。



今、わが愛車のカーオーディオはUSBメモリーが主流になり、通勤の音楽用に、何種類かのUSBメモリを用意しています。残念ながら、無粋なUSBメモリにカセットテープ時代のカラフルなタイトルカードなどは無縁のようで、どれが何の曲が入っていたかを覚えておくのが困難です。これはまことに困った事態です(^o^;)>poripori

(*1): 速水健朗「カーオーディオの文化史〜ドライブミュージックを支えた、技術の結晶たち」〜BLOGOS, 2022年3月30日
(*2): D-50の登場〜SONY History 第3話「はじめに一つの木型ありき」

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廉価万年筆Preppyにカーキブラック・インクを補充〜いくつかの雑感

2022年03月30日 06時01分38秒 | 手帳文具書斎
愛用しているプラチナ社の廉価万年筆プレッピーPreppyのインクが空っぽになっていましたので、コンバータに同社のクラシックインクのシリーズからカーキブラックを補充しました。前回、補充したのが昨年の9月上旬ですので、3月下旬まで半年以上使ったことになります。記録によれば昨年は年2回、一昨年は年3回補充していますので、概ね通常のペースではないかと思います。用途はもっぱら備忘録ノートのタイトル行を目立たせるためだったり、あるいは図解の色分けに使ったりと、思っていた以上に使っています。これで大量の文章を書いたりはしていませんが。

そういえば、そろそろ別のPreppy(ただしくはプレピーらしい)の黒インクがなくなりそうです。こちらはインクカートリッジの交換で対処する予定。





ところで、当ブログでは時事的な話題は極力扱わず、いたって人畜無害なスタイルで一貫していますが、昨今のウクライナ情勢とロシア国内の状況とを報道でみていると、いくつか気づくことがあります。それは、この戦争を起こしたのはロシアのプーチン政権(大統領とその側近等)であり、ウクライナ側に大きな責任を帰することは難しいということ。一方で、世論調査の結果から見て、ロシア国内ではプーチン政権を支持する層が一定程度いるということです。むろん、世論調査の手法が欧米流とはだいぶ異なり、無作為抽出・無記名の調査ではなくて、姓名を把握された上で支持か不支持かを問われるわけですから、不支持を明確に答えるには相当の覚悟が必要だと言えるでしょうから、実態はもっと支持率は低い可能性がありますが。

これをどうみるのか。この戦争の責任は、一義的にはプーチン政権にあり、利益を得て(甘い汁を吸って)政権を支える層も二義的な責任を負うことになるでしょう。しかし、一般のロシア国民にまで責任を広げることは、政権の一義的な責任を分散させ薄めることになるでしょう。なんだか、昭和の時代に論じられた太平洋戦争の責任論にも似ている構図ですが、違うのは現代が情報化社会であり、だれがこの戦争を始めたかが世界に広く知られている、ということでしょうか。

諜報機関出身の大統領は、ロシア国内で愛国心に訴えるプロパガンダを展開しているらしいけれど、これも紛らわしいごまかしが含まれているようです。

  • 国を愛するというとき、国土を愛するのと国民を愛するのと政府など国家機関を愛するのと、ごっちゃにされることが多いですが、厳密には内容が違うはず。
  • 国土を愛し、国民を愛する人でも、時の政権を愛するとは限らない。愛されない政権ほど、国土と国民への愛を国家機関への愛もしくは忠誠に結びつけようとすることが多いのでは。

国土を愛し、国民を愛する人が、他国へ行って戦争をしてくるように仕向ける政権まで同様に愛するとは限らないのではなかろうか。

ん? 本記事よりも雑感のほうが重くなった気がするぞ(^o^;)>poripori

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サクランボ果樹園の剪定枝集めは寒さと強風のため敗退

2022年03月29日 06時00分17秒 | 週末農業・定年農業
サクランボ果樹園の剪定枝集めの作業は、あともう少しなのですが、月曜は強風注意報が出ている寒い日で、防風ヤッケ姿でいったんは畑に出てみたものの、とてもじゃないけれど寒くてやってられません。妻と二人、あえなく敗退。家に帰って温かいコーヒーを飲み、ヒーターの前でゴロゴロしました。午後は近所の葬儀の一般焼香のために某セレモニーホールに出かけ、帰ってから横になってうとうとし、休養日となりました。

そういえば、動力噴霧機の点検をしましたが、バッテリーを充電してもセルモーターで始動しません。手動でセルを回すと始動しますので、機能的には問題ないのですが、古い機械だからなあ。機会をみて整備してもらう必要がありそうです。

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新年度も非常勤の助っ人を継続することに

2022年03月28日 06時01分32秒 | 季節と行事
先日、今の助っ人の仕事を新年度も非常勤で継続願いたいとの依頼があり、この年代の有資格者が払底している現状を考えてお引き受けすることにしました。フルタイムの勤務では若い人の職を奪ってしまうことになりますし、体力的にも大変です。非常勤でならば引き続きお手伝いすることもできるだろうとの判断です。



幸いに満で95歳の老母もまだ歩行器を使えば歩ける状況だし、今すぐ介護で厳しい状況になるわけでもなさそうです。サクランボと桃を中心とした果樹園の管理と野菜作りを楽しみながら、時々は仙人生活から離れて浮世の空気を吸ってくるのも良いかもしれません。新型コロナウィルスを吸い込んでくるのは願い下げですが、などと思っていたら、4月からは1日増えることになりそう(^o^)/acha〜





サクランボ果樹園の剪定枝の後片付け作業は、妻と二人でようやく2/3〜3/4くらいまで終えたところです。結婚記念日をゆっくり迎えたいので、残りを今日中になんとか終えたいところですが、午後にはご近所の葬儀が入りました。さてどうなるか。

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三輪郁のピアノでCD「NOVELLETTEN」を聴く

2022年03月27日 06時00分59秒 | -独奏曲
サクランボ果樹園の剪定枝の片付けに忙しい日々ですが、昨日は午後から雨になり、嬉しい休息タイムとなりました。そこで、以前、三輪郁さん(*1)がソリストとして出演した山形交響楽団第296回定期演奏会(*2)で購入していたCD「NOVELLETTEN」を取り出し、聴いています。次第に春らしさが増している時期に、ピアノの音が好ましい。しかも、暗くドヨーンとした音楽ではなくて、ナチュラルであたたかい音楽を聴きたいところです。そんな気分のときに、最近取り上げることが多いのがこのCD。内容は、

  1. ドビュッシー 夢 (1890)
  2. シューベルト=リスト編 ウィーンの夜会 第6番 (1852)
  3. シューマン 子供の情景 Op.15 (1839)
  4. シューマン ノヴェレッテ 第8曲 (1838)
  5. プーランク 3つのノヴェレッテ (1927)
  6. ゴドフスキ 古きウィーン (1920)
      三輪 郁(Pf)、2019年4月〜9月、秩父ミューズパーク音楽堂にて収録
      (CD) YUP-3019 山形大学出版会

というものです。添付のリーフレットでは、Novelletten を「ものがたり」と訳しているようですが、Novelle の小さいもの=短編小説あるいは小さな物語というほどの意味でしょうか。



三輪郁さんが出演した山響定期では、シューマンのピアノ協奏曲を演奏し、「ピアノの音がとてもきれいで弱音と間を重視した繊細な表情を見せ」ていたことを記録していますが、このCDでも全く同様に、ピアノの音がとてもきれいで、間が絶妙で、ドビュッシーに始まりシューベルト、シューマン、プーランクそしてゴドフスキに終わるステキな選曲で、何度聴いてもいいものです。簡易なデスクトップPC-audioに接続したミニコンポの音ではなく、メインのステレオ装置で書棚に埋め込んだブックシェルフ・スピーカーによる再生で、現代の最新録音らしく、ある程度音量を上げていくと低音の迫力がやっぱりぜんぜん違います。久方ぶりに「音楽を聴いたぞ〜っ」と満足する時間でした。

(*1): 「自然の豊かさ、美しさに癒やされ指導も演奏もイキイキと」三輪郁〜山形大学WEBマガジン
(*2): 山響第296回定期演奏会でシューベルト、シューマン、ハイドンを聴く〜「電網郊外散歩道」2021年10月

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お天気に恵まれ、サクランボ果樹園の剪定枝を集める

2022年03月26日 06時00分27秒 | 週末農業・定年農業
昨日はお天気に恵まれ、午前・午後ともにサクランボ果樹園の剪定枝集めをしました。自宅裏のほうはなんとか一段落ですので、少し離れたもう一つの園地に軽トラックで運んで焼却し、並行して剪定枝集めを実施。午後からは妻も合流して二人になりましたので、ようやく3分の1ほど片付け終わりました。

ところで、園地の様子がこの1週間ほどで全く様変わりしています。まずは、3月16日の写真から。



一週間後の3月24日、同じ場所をほぼ同じ角度で撮影したものですが、ちょっと距離を取りすぎたかな。



風景としては雪があるほうが絵になりますが、作業のしやすさは断然今のほうがやりやすいです。地面が乾いてポカポカ陽気で、いかにも春だなあと感じます。



ちなみに、作業中のBGMはUSBメモリに保存したモーツァルトのピアノ協奏曲をずっと流しておりました。剪定した枝を1本1本拾い集め、束ねて焼却する場所まで運ぶという、腰が痛くなる短調な、いや、単調な作業ですが、音楽を聞きながらだと気分もだいぶ違います。これが民放ラジオでは「今だけ特別価格」だの「個人差はありますが健康に」だの「今ならあれもこれもお付けして送料無料」だのと、いかにもなラジオショッピングがうんざりですし、NHK第1の高校野球も剪定枝集めの作業にはあまり貢献しないかも(^o^)/
問題は、USBメモリにmp3形式で保存した音楽を再生できるラジオ(SHUSON)(*1)が、やっぱり中華品質なのか ON/OFF のスイッチに不具合があるようで、ちょっとコツが要ります。機能的には便利なのですが、もう少し耐久性のある製品が出ないのかなあと思っているところです。

(*1): 野菜畑や果樹園で好みの音楽を聴くには〜「電網郊外散歩道」2021年4月

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果樹園のネズミ穴の見分け方〜地区で一斉に駆除の時期に

2022年03月25日 06時00分39秒 | 週末農業・定年農業
雪が融けると、果樹園の地面が見えてきます。とにかくぼこぼこ穴だらけです。モグラ穴もありますが、野ネズミの穴もあります。野郎どもを放置するとサクランボや桃、リンゴ等の根や根回りの樹皮をかじるので、立ち枯れや倒壊など大きな被害を生じます。そのため、雪が融けたばかりの時期を見計らって、地区一斉に野ネズミ駆除の期間となります。当方も、野ネズミ穴に殺鼠剤を投入して駆除をはかりますが、実はモグラ穴とは違って、野ネズミの穴は特徴があります。モグラの穴は、いわば空気穴ですので、形は不定形、いびつなものがほとんどです。ところが野ネズミの穴は、実際に出入りするわけですので、真ん丸なものがほとんどです。





また、周囲に草が生えていたりすると、穴の周囲の草をかじって出入りの邪魔にならないようにしていますので、これはネズミ穴だとはっきりわかります。

今回、使った殺鼠剤はラットシードというもので、農協によれば「ヒマワリの種に弱めの殺鼠剤をまぶしてある」ため、単純な殺鼠剤よりも食いつきが良いのだそうな。少しお高いのが玉に瑕ですが、我が家のアホ猫が旅立って以来、昨年は野ネズミ被害が顕著でしたので、今回は「ユルサナイ!」徹底的にネズミ穴に殺鼠剤を投入しました。

で、結果は?




サクランボ果樹園の剪定枝の陰に、小さなネズミの死骸を見つけました。ふむふむ、しっぽの長さや大きさから見て、これはハタネズミ(*1)でしょうか。モグラ穴とは別に、自分でも網目状に穴を掘る習性がある野ネズミのようです。子ネズミではありません。隣接する放置果樹園で増えた「野のギャング」が、我が家の果樹園でねずみ算式に増え過ぎないうちに、なんとか増加圧を低下させたいところです。



そういえば、我が家のアホ猫母娘がのんびりとハンティングをしていた姿がこの季節の風物詩となっていましたが、猫たちの生前の貢献は大きかったのだなあ。古代エジプトが戦略的に他国に猫を持ち出すことを禁じていたという説がありましたが、実際、2匹の猫がサクランボ果樹園の野ネズミ被害を食い止めていたのだと思うと、理解できる話です。

(*1): ハタネズミ〜Wikipediaの解説より

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夏タイヤの更新・交換と古タイヤ処分でかかった経費

2022年03月24日 06時00分26秒 | 散歩外出ドライブ
行きつけのタイヤショップで、愛車マツダ・デミオXDの夏タイヤを購入して新品に更新し、冬タイヤと履き替えました。購入したのはダンロップのエナセーブ EC204 の 185/65R15 タイプで、脱着、ホイールバランス調整、税込で 計 51,320 円。

2015年 3月27日
2016年 3月23日
2017年 3月23日
2018年 3月16日
2019年 3月20日
2020年 4月25日 ※タイヤ交換を忘れていた
2021年 5月10日 ※タイヤ交換を忘れていた
2022年 3月23日

例年はお彼岸を過ぎた頃に交換していたのですが、昨年・一昨年は軽トラックのほうばかりに気を取られ、乗用車のタイヤ交換を忘れていたというボケた事態でした。今年はしっかりと覚えていて、すでに交換を済ませました。

ところで、亡父が残した負の遺産である古タイヤの山ですが、計19本、タイヤショップに自宅まで取りに来てもらい、処分を依頼しました。経費は、

@880円/本 × 19本 = 16,720円 (税込)

でした。予定外の出費ではありましたが、山のような古タイヤは場所ふさぎなだけで何の役にも立ちません。この機会に処分できて良かった。少しずつ不要物を処分していけば、だんだん身軽になっていくかのような気分です。

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愛車マツダ・デミオXDの夏タイヤの更新と古タイヤの処分に思う

2022年03月23日 06時01分04秒 | 散歩外出ドライブ
平地ではそろそろ雪の心配もなくなってきたので、冬タイヤから夏タイヤに交換する時期です。ただし、わが愛車マツダ・デミオXDは、新車で購入時からずっと夏タイヤを更新していませんでした。1年の3分の1は冬タイヤを履いているわけですから、それほど驚くことではないのでしょうが、ずいぶん長く乗ったことは確かです。行きつけのタイヤショップに夏タイヤの更新とタイヤ交換を依頼しました。また、この際なので亡父が残した古タイヤを処分したいのだがと相談したところ、自宅まで取りに来てもらえることになりました。普通車や軽自動車のタイヤですが、作業小屋の奥に積み重ねてあったものを数えてみたら、なんと19本ありました。おそらく、昭和の欠乏の時代を生きた亡父は、「いつか役に立つ」とためこむばかりで、タイヤの処分のことを考えていなかったのではなかろうか(^o^)/

うーむ、私も人のことは言えません。かなりの枚数のLP、CD、LD、DVDなど、クラシック音楽に興味のない人には迷惑な遺産でしょうし、書棚を占領する書籍や資料類も、興味関心の方向が違えばゴミの山でしかないのかも(^o^)/

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東北学院大『大学で学ぶ東北の歴史』を読む〜その5

2022年03月22日 06時01分46秒 | -ノンフィクション
理系で受験科目ではなかったために大きく欠落している近代以前の日本史の陥没を埋めようと読んでいる東北学院大『大学で学ぶ東北の歴史』ですが、基礎がないためにやはり中世はよく理解できません。

  • 鎌倉幕府はなぜ滅んだのか
  • 室町幕府はなぜ続いたのか
  • 戦国時代はいつどうして始まったのか

など、こうした問いは一応脇に置いて、本書を読み進めます。

南北朝時代、室町幕府およびその出先機関である鎌倉府との対立の中で、陸奥国の領主たちは互いに連携し横のネットワークを作って領主支配を進展させていきますが、ここでは伊達氏の伸長が目覚ましいとされています。このあたり、大崎の奥州管領斯波氏と、斯波氏が山形に移り羽州探題最上氏となった中で、後の戦国大名間の緊張関係につながるものだったのでしょう。一方で北東北では安藤氏が北海道にわたり、惣領下国家や有力一族である湊家と対立するとともに、和人とアイヌとの抗争をも引き起こしているようです。

15世紀、東国を支配していた鎌倉府の足利持氏が室町幕府に抵抗した永享の乱により、奥州探題大崎氏や羽州探題最上氏などを中心とする東北各地の領主がいったんは室町幕府側につきますが、15世紀後半になるとそれぞれが自発的に活動するようになる、すなわち勝手に争うようになる=戦国時代に突入する、ということのようです。要するに、

東日本支社の下に置かれていた各支店長たちが、本社と東日本支社の争いでいったん本社側についたけれど、どっちも自分たちを守れる=支配する力はないとふんで、各支店が勝手に縄張りを広げはじめた事態

といったところでしょうか。

おそらくは、15世紀後半の気候不順や、偉い人が守ってくれるはずの私有地、荘園制度の行き詰まり等によって、自分たちの食い扶持は自分たちで守るしかないという状況に至った、ということでしょう。東北各地の戦国大名の割拠、盛衰はその結果であって、登場する人物は大河ドラマや小説等でおなじみの顔ぶれということなのでしょう。最上義光が天童氏、白鳥氏、大江氏、庄内の大宝寺・武藤氏などを破り山形県域を統一することにより伊達・上杉を抑えて徳川の世をもたらす経緯は、先ごろ高橋義夫著『さむらい道』で読んだばかりですし、北東北では九戸政美が豊臣に反抗した事件もだいぶ前に高橋克彦著『天を衝く』で興味深く読みました。小説は史実とは異なるけれど、どういった人たちがどこの場所でどんなことをしたのか、という基本的史実はおさえられているだけに、日本史の常識のバックボーンを作っている面があるようです。

一方で、本書の「戦国時代の東北の地域社会」の節では、

東北地方は在地領主の影響力が強く、村や町は未熟で後進的であったというイメージがいまだ根強い。しかし、近畿地方のような典型的な惣村や町ではないにせよ、武力を保持して隣村や領主と戦い交渉する村の姿や、町衆を組織して遠隔地と活発に交易を繰り広げた町の姿は東北各地にもみられる。(p.94)

としており、同時に出羽三山などの大寺院・霊場が宗教的ネットワークをつくり、その影響力の拡大を指摘しつつ、北奥羽とアイヌとの交流など「北方世界との濃密な関係」にもふれています。興味深いところです。



気候不順による農作物への影響はローカルな範囲にはとどまらず、近畿でも東北でも同様で、むしろ東北により厳しく現れただろうと思われます。自治の惣村だったら収穫が保証されるわけではないでしょうし、大きな収穫減にどのように対処するかは村落の形態の違いを超え、武力交渉などかなり共通の姿で現れたのではなかろうか。それが、戦国時代という乱世を生み出した背景なのではなかろうか。

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NHK高校講座「日本史」で「武士の誕生」と「院政と荘園」

2022年03月21日 06時00分33秒 | Weblog
最近、「理系の日本史知らず」を実感する日々です。東北学院大『大学で学ぶ・東北の歴史』を読みながら、高校日本史の基礎の欠落を自覚、これではならじとNHK高校講座:日本史で「武士の誕生」と「院政と荘園」を観ました。当地もかつては荘園の一部だった時代があるようで、特に「荘園」に関心があります。

律令制というのは、刑法に相当する律と行政法や民放に相当する令からなる、天皇・朝廷を中心とする国家体制だそうですが、「公地公民」すなわちすべての土地が国家に属し、土地の私有は禁じられていたのだったけれど、墾田永年私財法により土地の私有が認められていったなかで、これを奪われるのを防ぐために地方領主が武力を磨き武士となり、武士は血縁・地縁をもとに武士団を形成していきます。武力の基本は馬と弓で、騎馬武者の集団戦が基本スタイルだったようです。

一方で、自分の力が弱いときには土地の所有権を維持したいと有力者を頼り、年貢を出す代わりに庇護を受けるという形で荘園が発達します。時代を経て荘園を多く蓄積したのが大寺院で、そのバックには上皇がいたのだそうな。これが院政というわけですが、当方はあまり朝廷の動向には興味がなく、もっぱら別の方向に関心が向きます。

  • 荘園の中では、どんな暮らしをしていたのか。住居、衣類、食物、身分、年貢など。
  • 荘園の中で作られていた作物はどんなものだったのか、また農業技術はどんなものだったか。
  • 古代と中世の交通はどんなものか。特に荘園と他所を結ぶ道路や舟運はどんなものだったのか。

残念ながら、NHK高校講座では平氏と源氏に話が収斂していき、これらの疑問に答えるものとはなっていません。おそらくは、文書に文字で記録を残せた人々、すなわち権力者とその周辺については比較的わかっているけれど、文字で記録を残すことができない一般の人々の暮らしはよくわからない、というのが正直なところなのでしょう。これ以上は、たぶん専門分野の解説書など、別な形で調べてみるのがよさそうです。

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春の淡雪とはいうものの〜復旧工事は大変だろう

2022年03月20日 06時00分53秒 | 季節と行事
前夜から湿った雪が降り、昨日の朝は一面に真っ白な雪景色となりました。ただし、最高気温はプラスとなり、お昼ころにはほとんど融けて、一部にシャーベット状に残るばかりとなりました。当地では文字通り春の淡雪。




ただし、先日の地震被害を受けた地域では、おそらく春の淡雪などと風流なことを言ってはいられない。せめてお天気が良ければ片付けにも気合が入るでしょうが、冷たい風が吹く雪混じりのお天気では無情さに気も滅入りがちになるのではと恐れます。お彼岸にもかかわらず、道路や鉄道、水道や電力などの復旧工事に携わる方々には、さぞや難儀なことでしょう。それぞれに仕事とは言え、ただ応援と感謝です。

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同じボトルのインクを使っているのにペンにより色が違う理由

2022年03月19日 06時00分36秒 | 手帳文具書斎
私が万年筆で主として使っているインクは、プラチナ社の古典ブルーブラックインクです。当ブログでは何度も言及していますが、たいていの紙で裏抜けしないという点で、備忘録ノートの両面筆記をはじめ、各種のノートやメモでたいへん便利に使っています。インクはボトルからコンバータで吸入したり、場合によっては空きカートリッジにスポイト等で注入したりして、同一のインクボトルから様々なペンに補充しながら使っているところです。

ところで、過日、購入したパイロット社の「ライティブ」万年筆(*1)で書いた文字の色が、他のペンとやや異なっていることに気づきました。備忘録ノートでは、記事のタイトルと日付をノートのはじめのページに目次として列記していますが、これがだいぶインク色が違って見えるのです。具体的にいうと、パイロット社の「ライティブ」で書いた行はより黒っぽく、プラチナ社のプロシオンやプレッピーで書いた行は、より青く見えます。プラチナ古典ブルーブラックのボトルインクの本来の色はだいぶ青い(*2)ほうですので、パイロットの「ライティブ」のほうが保管中にインクが黒っぽく変化していることを意味します。

古典ブルーブラックというのは、鉄(II)イオン(Fe2+)の水溶液に没食子酸などを加えたもので、空気中の酸素により鉄(II)イオン(Fe2+)が鉄(III)イオン(Fe3+)に酸化され、これが没食子酸と結合して黒色の物質に変化することから、青色色素の色と相まってブルーブラックに見える、というものです。したがって「ライティブ」は保管中にインクが空気酸化されやすいことを意味し、逆にプロシオンやプレッピーは空気を遮断することで乾燥も防いでいると考えられます。

パイロット社の「カクノ」白軸を便利に使いつつ、保管時の「乾きやすさ」を欠点と感じ、より乾きにくい製品として「ライティブ」を購入したのでしたが、どうやら同社比では乾燥防止対策を行ったようではあるけれど、他社比、すなわちプロシオンやプレッピー、あるいは#3776ブルゴーニュなどスリップシール機構を持つ製品のような密閉度ではない、ということなのでしょう。逆に黒っぽい色を利用するという考え方もあり、通年で使ってみてどうなるかを試してみたいと思います。

(*1): パイロットの万年筆の新製品「LIGHTIVE」を試す〜「電網郊外散歩道」2022年1月
(*2): プラチナ社のブルーブラックはボトルとカートリッジでは色合いが異なる〜「電網郊外散歩道」2015年1月

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山響サンクスコンサートでベートーヴェン、J.シュトラウスII世の音楽を聴く

2022年03月18日 06時00分53秒 | -オーケストラ
突然の地震のため、一日遅れとなった記事です。16日の午前中にサクランボ果樹園の剪定をして庭木の雪囲いを一部外し、午後は老母の通院の付き添い、夕方から山響サンクスコンサート2022に出かけました。サンクスコンサートというのは、天童市に工場を構える日新製薬が企業メセナの一環として地元オーケストラ山形交響楽団の演奏会を開催し、これに希望者を無料招待するというものです。2016年、2017年、2018年と続けて参加できましたが、ここ数年はコロナ禍もありチャンスがありませんでした。今年は山響の定期演奏会でチラシを入手し、往復はがきで申し込んで聴くことができたものです。開演前の主催者挨拶で、西濱事務局長の紹介で登場した日新製薬の会長さんは、昨今のウクライナ情勢から音楽の共感へと話題をつなぎ、なかなか硬派の挨拶。

今回のプログラムは、休憩をはさんで前半がベートーヴェンの交響曲第7番、後半がJ.シュトラウスII世の「名曲の花束」というものです。



天童市民文化会館のステージには、左から第1ヴァイオリン(8)、チェロ(5)、ヴィオラ(5)、第2ヴァイオリン(8)、左後方にコントラバス(3)というふうに、対抗配置の弦楽セクションが並び、正面後方にフルート(2)、オーボエ(2)、その奥にクラリネット(2)、ファゴット(2)、さらにその奥にホルン(2)、トランペット(2)、ティンパニという二管編成。もちろん、ホルンとトランペットはバルブのないナチュラル・タイプでティンパニもバロック・ティンパニを用い、弦もヴィブラートを多用しない古楽奏法を取り入れたものという具合に、作曲当時の時代考証を踏まえたものになっているというあたりが山響の独自性と言えます。

団員の皆さんは黒のスーツ又はドレスで、男性はそれぞれの色のネクタイを締めて、いつもの定期演奏会よりはフォーマルでない雰囲気です。コンサートマスター席には犬伏亜里さんが座り、指揮は常任指揮者の阪哲朗さんです。管楽器奏者はノーマスクでしたが、弦楽器奏者はみなさん白または黒などのマスクをしての演奏。このあたりも、コロナ禍の中でいたって普通の風景になりました。

前半のベートーヴェン「交響曲第7番」イ長調Op.92は、作曲者41歳のときの作品だそうですが、最近は「のだめカンタービレ」のテーマ曲としておなじみの曲です。やわらかい優雅さを持ちながら、活力と推進力を持った音楽を楽しみました。

後半のJ.シュトラウスII世の音楽は、トロンボーン(3)とハープが加わり、ティンパニも現代ティンパニに代わります。また、ステージ右側にパーカッションがずらりと並び、華やかさ、にぎやかさを添えます。
演奏は、いかにも幕開けにふさわしい、喜歌劇「こうもり」序曲からです。続いて愉しいポルカ・シュネル「チクタク・ポルカ」。舞台裏での「ティクタク」の声は、ステージマネージャーの南條さんだそうです(^o^)/good job

恒例の「指揮者に挑戦!」は、ビゼーの「カルメン」第1組曲より「闘牛士の行進」です。1人目、9歳の小さな男の子は、恥ずかしそうにゆっくりとしたテンポで指揮棒を振り、オーケストラはそのテンポにきっちりと合わせて「闘牛士というよりは牛の行進」を完奏しました。さすがプロ(^o^)/
2人目は年代不詳の女性の方で、こちらも最後にテンポを追い込んで盛り上げますが、オーケストラはきっちりと合わせて演奏(^o^)/ この女性にはきっとすごくいい記念になったのではないでしょうか。

J.シュトラウスの音楽は、ワルツ「春の声」、ポルカ・シュネル「狩り」と続きます。「狩り」では最後に銃声が見せ場となりますが、ステージマネージャーの南條さんたちがピストルを撃ち、そのタイミングがぴったりでした!
最後に、トロンボーン(2)が退いてテューバが加わり、ワルツ「美しき青きドナウ」を演奏します。曲の紹介で西濱事務局長は「天童市で言えば倉津川」と紹介していましたが、いえいえ、天童市は乱川と立谷川に挟まれた扇状地に成立しており、温泉街を流れる小さな川が倉津川ですので、「美しき青きドナウ」をイメージするにはやはり最上川でしょうね〜(^o^)/ しかし、いつ、何度聴いてもこの曲、ステキな音楽ですね〜(^o^)/

トロンボーン(2)が再び加わり、最後はみんなで「ラデツキー行進曲」で締めました。いや〜、今年も楽しかった。ヤンネさんや矢口さん、倉田さんなど、黒マスク組はオシャレに決まっていましたし、ウィーンフィルのニューイヤー・コンサートは実際はリアルタイムでなくて15分遅れで放送しているとか、今年、阪さんが振ったNHKニューイヤー・オペラコンサート(*1)は実際にリアルタイムの生放送だとか、舞台裏の話も興味深いものがありました。企業メセナで始まったであろう演奏会も回を重ねてすっかり定着したようで、聴衆のマナーもずいぶん成熟したものになってきていました。

(*1): 「ニューイヤー・オペラコンサート2022」を観る〜「電網郊外散歩道」2022年1月

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大きな地震でした

2022年03月17日 06時47分30秒 | Weblog
昨夜11時36分頃、大きな地震がありました。1度目のかなり大きな揺れで目をさまし、少し間を置いて2度めの揺れが来たときに、これは大きな地震だと感じました。幸いに停電していないようでしたので、書斎に降りてテレビを確認すると、震源は福島沖とのこと。家族はみな無事、室内も特に異状はなく、書棚もCD棚もそのままでしたので、とりあえずまた寝ました。今朝になって家の外観を確認しましたが、東日本大震災で土蔵の土壁に入った亀裂はそのまま拡大した様子もなく、当面大きな問題はないようでした。縄文遺跡に近い当地の地盤が比較的安定していることと、屋根上の積雪が融けてほとんどなくなっていたのが幸いした面もありそうです。

東北および関東各県の太平洋岸にお住まいの皆様にはお見舞いを申し上げますとともに、被害が最小限でありますようにお祈りいたします。

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