指揮者 神尾昇の一言

日々の生活の中でちょっとした事などがあったら、ちょろっと書き留めて行く、そんなブログです。

言うは易し、行うは難し。

2012年09月01日 | Weblog

エンターテインメントとアートはどう違うか。
私の思う意見を述べてみたいと思います。
エンターテインメント性が高い、というのは日本語で考えると、
「娯楽性が高い」という事になると思います。
同じく、アート性が高い、というのは、
「芸術性が高い」
娯楽性が高いというのは、引いてはつまり「人を楽しませる」
ということです。
例えば道化や、マジシャンや、大道芸などはこの要素が強いのではないでしょうか。
一方、演奏会、演劇、演芸、または映画などはこのどちらに要素を強く置くか、
ということで内容も考え方も変わってきます。
 
では、「芸術性が高い」ということはどういうことなのか。
私の考えるそれは、「いかに自分の魂に近づくか」だと思っています。
演奏をする、ということも、何かを演じる、ということも、映画を作る、ということも、
人に対して行う、つまり観たり聴いたりする人のために行う、
という事に変わりがありませんが、
一方で「自分自身をいかに突き詰めるか」は、人に対して行うものではありません。
美術の世界はどちらかと言うとそういう要素が強いと思います。
作曲家や作家は、そういう要素が強い人と、エンターテインメントの要素が強い人に分かれると思います。
紙やキャンバスに向かう人はある意味孤独な世界ですから、
「自分自身を突き詰める」ことをしないと書くべきものが浮かんで来ないと思いますが、
「人を楽しませる」という事を念頭に置いて制作されたものはエンターテインメント性が高いです。
例えば雑誌などは特にそうだと思います。
 
「芸術性の高い演奏」というのは、人に向けられた精神より、自分に向けられた精神、
の方が要素として強い訳ですが、下手をすると独りよがりな、押し付けがましい演奏になってしまう危険も伴います。
 
だから結果的にこの辺のバランスが上手く穫れる人が「一流」と呼ばれる人になっていくのでしょうが、
言うは易しで、そんな領域になかなか達する事なんて出来ません。
だから日々精進、これにつきます。 
 
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