私は練習で、時々辛辣なことを言います。
例えば、
「年寄りくさい」
とか、
「育ちが悪い」
とか。
「年寄りくさい」というのは、
例えば音程が下がる、という現象は、
人間が歳をとり、
引力に逆らえず下へ下へ行くのと似ていると思います。
「老」という漢字は、人が腰が曲がって杖をついた姿だ、
といいます。
音程が下がる、という現象の原因は、
1、今出している音から次の音に移動した時に下がる。
特に、音程が上がった時に上がり切れない。
2、伸ばしている音が下がってくる。
3、音を出した時にすでに低い。
ということが挙げられます。
どれも「年寄りくさい」です。
2、とか3、は特に致命的です。
ではこれは本当に歳をとったらそうなってしまうのでしょうか。
私はそうは思いません。
ただ、筋肉と一緒で、放っといたらそうなってしまうでしょう。
でも筋肉と一緒で、普段の鍛え方、
注意の仕方で変わってくると思います。
腰だって、良い姿勢でいる、
ということを心掛けていると曲がり方が少ないと思います。
そして「育ちが悪い」
というのはどういう事かというと、
1、音の出し方が雑。
2、音の切り方が雑。
3、旋律線が雑。
などという事が挙げられます。
3へ行く程、高度にはなってきます。
そしてこれは「歳をとる」のとは逆で、
「幼稚さ」を示す事でもあると思います。
ただ「幼稚」なだけだと、
「可愛い」で済みますが、
ある程度年齢が過ぎてくると、
もうこれは「イタい」
という部類に入ってきます。
そしてこれも単に「育ちが悪い」からそうなるのかというと、
実はそうではなくて、
つまり音楽に対する「センス」が如何なるものか、
ということが求められます。
だから身なりはちょっと問題があるけれど、
奏でる音楽は素晴らしい、
という音楽家はたくさんいます。
しかし大体において、
そして良い演奏家ほど、
いわゆる「オシャレ」な人が多いのも事実です。
そして食べるものとか、飲むものなどにも拘ります。
いわゆる「ジャンクフード」などは、
どんなにお腹が空いても食べません。
味付けの濃いお店にも入りません。
つまりそれだけの繊細さを求めているし、
求められている訳です。
以上、自分への自戒も含めて書いてみました。