ぼくは行かない どこへも
ボヘミアンのようには…
気仙沼在住の千田基嗣の詩とエッセイ、読書の記録を随時掲載します。

空の色は青

2009-02-04 21:54:49 | 寓話集まで

空の色は青
と決まっている

シャボン玉の色は空を映す
ものだ

亜鉛のように重たく暗い灰色の空は存在しない
ことになっている

世の中はすべからく明るい
はずだ

この原則に例外はない
と思われる

落ちた天使が海にドボン!

海の色は青
と決まっている

黒い海などあってはならない
土色の海はもってのほか

紺碧の海は青くなくてはならない
そうであってもそうでなくともそうでな
くてはならない
真っ赤であってはならない
そうであってもそうであってはならない

みどりって言われたらどうしようか

そうかもしれないし
そうでないかもしれない

森の色は青
と決まっている
紅葉は
あってもないことにせねばならぬ
茶色の枯れ葉は
もう終わったもの
ものの数に入らないもの

みどりって言われたらどうしようか

萌え始めた若葉のみどり
といわれたらどうしよう

森はみどり
萌え始めた若葉の薄みどり
青はみどり
あおあおとしたみどり

森はみどりに決まっている

だれに聞いてもそう言うに決まっている
暗闇の黒い森など存在しない
明け方の赤い森など存在しない
美しい紅葉の谷間の森など幻想だ

森の色はみどり
と決まっている
青い森などどこにもない


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1 コメント

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青いのか灰色なのか赤いのか ()
2009-04-03 22:59:46
 亜鉛のように重たく暗い灰色の空から天使が黒い海にどぼんと落ちるというのは、ランボーの詩にあったはずだが、手元の堀口大学訳の文庫本にも、本箱に入ったハードカバーの粟津則雄訳にも見当たらない。小林秀雄訳と、大学のときの奥本大三郎先生の原典購読のテキストだったペーパーバックが見つからない。ガリマール書店版だったか。明日明後日、仙台のアパートの片付けに行くのだが、そちらに持って行ってたような気もする。
 全体は、まあ論理学めいた言葉遊び。意味や論点の微妙なずれ、不整合。
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