ぼくは行かない どこへも
ボヘミアンのようには…
気仙沼在住の千田基嗣の詩とエッセイ、読書の記録を随時掲載します。

想い出

2013-11-24 00:19:20 | 肯定する

想い出は美しすぎる

いつもいつも

想い出は美しい

 

残酷なことも

非道なことも

冷酷なことも

 

悲しいことも

泣きたくなるようなことも

淋しすぎることも

 

すべて

透明に

美しくなる

 

美しい

美しくなる

いつのまにか

透明になる

無重力の

内実が脱け落ちて

形だけ残ったような

質量を失って

形相だけになったような

 

ものをつかんだり

ものを食べたり

爪が伸びたり

髪の毛が伸びたり

足あとをつけたり

そんなことはもう決してできないような

 

可愛らしい笑顔とか

見つめている視線とか

 

そう噛むことはできなくても

その視線で見つめることだけはできる

 

遠い記憶の中で

ぼくを

見つめている


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