里の家ファーム

無農薬・無化学肥料・不耕起の甘いミニトマトがメインです。
園地を開放しております。
自然の中に身を置いてみませんか?

4年目の3.11

2015年03月11日 | 日記・エッセイ・コラム

井口 裕右 フリーライター・プランナー

4年前のあの日、世界はひとつになった

投稿日: 2015年03月10日 13時47分 JST 更新: 2015年03月10日 13時47分 JST
 2015-03-09-1425925527-6323885-20150310_yusukeiguchi_01.jpg

東日本大震災が発生したあの日から、早くも4年の歳月を迎えようとしている。被災地では、多くの人々が未だ厳しい仮設住宅生活を強いられ、生活・地域経済の復興のために尽力している一方で、被災地以外の多くの人にとって、あの震災は過去のものになり、あのとき日本が直面した苦難や、多くの人が感じた思い、そして震災をきっかけに議論された社会の様々な課題は、既に忘れ去られようとしてしまっている。4年という時間が長いか短いかは、人それぞれの価値観に委ねられる。しかしこの4年で、あの日の記憶やあの日多くの人が感じた様々な気持ちは、確実に風化しているのだ。

このような風化を食い止めるために、3月11日を『つながる日』にしようという動きがあるという。これは、東北地方で復興に尽力している企業や団体を支援しているNPO法人ETIC.(エティック)という団体が発足したプロジェクトで、「あの日多くの人が感じた"人と人の絆"を、すべての人に関係があることとして、ずっと残していこう」という思いが込められているのだという。

このプロジェクトは、3月11日に「つながる」というキーワードの様々なアクションを全国に広めていくことを目指して活動していくのだという。今年は、東北各地の人々と全国から集まった有志が手を繋ぎ、"絆の大切さ"を訴える動画を公開したり、スマートフォンで「つながる」をテーマに3月11日に寄せたメッセージを書いてスマホを振ると、同じ思いでスマホを振る全国の誰かに届けることができるアプリ「シェイク・ハンズ311」を公開したりしているのだそうだ。

<iframe src="https://www.youtube.com/embed/s33VeTTRskE" frameborder="0" width="560" height="315"></iframe>

東日本大震災が発生したあの日を思い出してほしい。みんなが被災地の人々を案じ、それぞれの立場で被災地のために何ができるかを真剣に考え、被災地を支える大きなエネルギーを生み出した。首都圏では、大地震による混乱の中、帰宅難民に陥った人々が、停電で不安な夜を過ごす人々が、それぞれにとっての大切な人のことを心配し、この困難を乗り越えようとみんなで助け合い、支え合った。そして、「Pray for Japan」の合言葉のもと、世界中の人たちが、日本が直面した困難を心配し、復興への祈りを捧げ、そして支援のためにできることを考えた。

多くの尊い命が失われた東日本大震災は、悲しい出来事であることは間違いない。しかし一方で、東日本大震災は私たちに、人類はひとつの"絆"で結ばれているのだということを、気付かせてくれるきっかけになったのではないだろうか。人種、国籍、宗教、イデオロギーに関係なく、あの日の出来事は世界中の人々の思いをひとつにしたのだ。

しかし、4年という歳月は、多くの人々があの日に感じた"絆"さえも風化させようとしている。3月11日を『つながる日』にしようという動きが生まれたのも、こうした課題が背景にあるはずだ。3月11日は、東日本大震災の犠牲者や被災地に祈りを捧げる「だけ」の日になってはいけない。その時点で、既にこの震災を"他人事"にしてしまっている。

重要なのは、あの日に自分自身が何をしていたか、自分の周りで何が起きたか、そして心の中で何を感じていたかを振り返り、 "わたしの東日本大震災"を風化させないことだ。あの日に多くの人が体験した "誰かに助けてもらった有難さ"、"誰かを助けたいという強い気持ち"、"知人・友人や近所の人々と声を掛け合い支え合った記憶"、"人と人とが繋がり支え合うことの大切さ"を忘れないことが、東日本大震災の風化を食い止める一助になるのではないだろうか。