新しい車

「ええっ。美幸さん、もう一台のキューバの旧車、脚本家の
田口源に売却したんだ。有名人をたぶらかしたようにも見える。」
平賀知世は姉貴分の相川美幸が、コレクションしている、車を売ったことを
苦笑しながら見ていた。
電話口で、知世は手が震えていた。
「美幸さんって、結構えげつない事やっているんだね。」
そばにいた朝岡蓮次が苦笑していた。
「ああ。」
知世はヒトコト呟く。
「田口源さんのイメージだったら、フェラーリやランボルギーニの
イメージがあるけれども、あのすごい車に乗っている田口さんはすごい絵面だ。」
蓮次のイメージは彼がsnsなどに公表しているイメージや彼がスタッフを務める
映画やテレビドラマのイメージがあるから、なんとも滑稽に映った。
「私もこれで事故がないから、田口さんも安心だけれども。」
そんなことを言いながら知世はハンドルを握っていた。