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『起終点駅 ターミナル』

2015年11月15日 | 映画(た行)
『起終点駅 ターミナル』
監督:篠原哲雄
出演:佐藤浩市,本田翼,中村獅童,和田正人,泉谷しげる,尾野真千子他

観たい映画はいっぱいあるけど、日曜日のわが家の晩ごはんは16時。
映画を観たいからと言って晩ごはんの時間をずらすのは、
ダンナに借りをつくるようで嫌だから、意地でも(笑)その時間に間に合うように帰っています。
そのうちまた出張があったら私は映画三昧してやる~と心に誓い、
先週の日曜日はTOHOシネマズ西宮にて14時までに可能なハシゴを選択。

桜木紫乃の短編集『起終点駅 ターミナル』を先日読み終えたばかり。
6編から成るその短編集のうち、表題作を映画化。
台詞は原作に近いものの、登場人物の年齢設定がずいぶん異なります。

1988(昭和63)年、北海道・旭川で裁判官として働いていた鷲田完治(佐藤浩市)。
法廷に被告人として出廷したのはかつての恋人・結城冴子(尾野真千子)だった。
執行猶予付きの判決を受けた冴子はスナックを経営。
東京に妻子を残して単身赴任中だった完治は冴子を訪ね、逢瀬を重ねるように。
離婚するから一緒になろうと冴子に語った直後、悲劇が起きる。
やがて完治は裁判官を辞め、妻子を捨て、釧路で弁護士の看板を掲げる。

弁護士になったと言っても、引き受けるのは国選弁護人の仕事のみ。
釧路に来てから25年、誰も寄せ付けず、身を潜めるように暮らしている。
独りで暮らすうちに料理の腕が上がり、今では趣味が料理。

ある日、完治は、覚醒剤所持で逮捕された椎名敦子(本田翼)の弁護を担当する。
初犯ということもあり、執行猶予付きの判決。
完治におざなりな礼の言葉を述べ、敦子は立ち去る。

ところが後日、敦子が完治の自宅を訪ねてくる。
媚びるような態度を訝っていると、案の定、敦子は頼みがあると言う。
敦子の交際相手で、覚醒剤を持たせた張本人・大庭誠を探してほしいと。
誠のことは、ヤクザの組長・大下一龍(中村獅童)も探している。
他人と関わる気のない完治は即座に断るのだが……。

最初は細かいことが気になって気になって。
佐藤浩市と尾野真千子が同じ大学にかよう恋人同士って、どうよ。
佐藤浩市54歳、尾野真千子34歳。ぜ~ったい同級生には見えへんっちゅうの。
まぁ、吉永小百合と仲村トオルが同年代だという設定に比べたらマシか。

本田翼にも違和感あり。
原作では敦子は30歳の女性。この配役が尾野真千子なら納得だったのに。
なんだかいろいろとキャストありきの映画化だったのかなと思いました。

と、気になることはあれこれありましたが、
本田翼に関しては、観ているうちにこれもありかなと。
完治の娘ぐらいの設定にしたからこそ、終盤のシーンが生きます。

ラストは原作とは大いに異なり、桜木紫乃の小説ならばこんなラストはあり得ない。
だけど、映画としてはこっちのほうがいいでしょう。
佐藤浩市には覚えているだけで3回、泣かされました。

桜木紫乃の小説が絶望しながらも生きていくさまを描いたものならば、
この映画はそれでも生きていてよかったと希望を抱けるもの。
背負うものがあるから人は生きられるのだと、しみじみ。
素直に涙したい人にお薦めします。

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