夜な夜なシネマ

映画と本と音楽と、猫が好き。駄作にも愛を。

『きみはいい子』

2015年07月31日 | 映画(か行)
『きみはいい子』
監督:呉美保
出演:高良健吾,尾野真千子,池脇千鶴,高橋和也,喜多道枝,
   黒川芽以,内田慈,松嶋亮太,加部亜門,富田靖子他

3連休最終日だった「海の日」。
某試験を受けるダンナを送って9:10に会場である豊中の大学に到着。
蛍池のコインパーキングに車を駐めて梅田へ。
試験終了時間に合わせて迎えに戻るまでに映画を2本観たい。
梅田に何時に着けるかわからなかったので事前に予約はせず。
テアトル梅田で9:40からの本作には到底間に合わないだろうと思っていたら、
9:35に梅田着。これ、間に合うんとちゃうん。間に合いました。

『そこのみにて光輝く』(2013)がものすごく良かった呉美保監督。
封切り早々に観に行こうとした日は監督の舞台挨拶付きの日で満席。
観に行けないかもしれないと思っていたので、嬉しいです。

岡野匡(高良健吾)は桜ヶ丘小学校4年2組を担任する新任教師。
希望に満ちて教職に就いたはずが、生徒とうまく信頼関係を築けず、
モンスターペアレントにも悩まされる日々が続いている。

水木雅美(尾野真千子)は夫がタイに単身赴任中で、3歳のあやねと二人暮らし。
公園に集うママ友たちとそつなくつきあい、良いママを演じているが、
あやねと二人きりになると折檻してしまう。

佐々木あきこ(喜多道枝)は学校近くの一軒家に一人で住まう老人。
お金を払わずに品物を持って退店したところをスーパーの店員・櫻井和美(富田靖子)に呼び止められ、
もしや自分は認知症なのではと不安に駆られる。

こんな3人を中心に描かれる日常。
それぞれに別の毎日を送り、何のつながりもないように見えるけど、
人と人を通して少しずつ繋がってゆきます。
それは知らずに観たほうがいいでしょう。

凄いなぁと思ったのは、池脇千鶴。彼女の役柄は、雅美のママ友・大宮陽子。
気取ったママ友が多いなか、陽子はまるでそんなところなし。
幼い子ども二人を連れて、おしゃれとはほど遠い姿の彼女は、実におおらかです。
終盤に彼女が見せる包み込むような優しさに涙。
もはや呉監督作品のミューズと言っていい存在かと思います。

『ぼくたちのムッシュ・ラザール』(2011)を観たときに、
教師が苦しむ生徒を抱き寄せたり頭を撫でたりすることは禁じられている国があると知りました。
なんでもかんでも訴えられる世の中では、
教師も自分たちの身を守るためにそういうルールを作らねばならないのでしょう。
だけど、本作を観れば、ギュッと抱きしめて背中をポンポンとすることが
こんなにも人の心を穏やかにするんだなぁって。

私は完璧な終わり方だと思ったのですが、隣に座っていた二人連れのおばちゃんが、
「何これ!?これで終わり!?」と呻いていました。
あの後を描けば偽善的になりそう。想像するからいいんです。もちろんいい方向に。

この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 『ターミネーター:新起動/... | トップ | 『インサイド・ヘッド』 »

映画(か行)」カテゴリの最新記事