夜な夜なシネマ

映画と本と音楽と、猫が好き。駄作にも愛を。

『わたしは生きていける』

2014年09月03日 | 映画(わ行)
『わたしは生きていける』(原題:How I Live Now)
監督:ケヴィン・マクドナルド
出演:シアーシャ・ローナン,ジョージ・マッケイ,トム・ホランド,ハーリー・バード,
   アンナ・チャンセラー,ダニー・マケヴォイ,ジョナサン・ラグマン他

日曜日、評判散々の『ルパン三世』を観に行く気満々でしたが、
この日はダンナがサッカーの試合から帰宅するのが17時頃らしい。
通常、日曜日のわが家の晩ごはんは16時頃なので、
せいぜいハシゴできる映画は2本、15時には家に帰ってごはんの支度をします。
ダンナの帰宅が17時ならばもうちょっとゆっくりできそうな。
にもかかわらず『ルパン三世』を選択すると2本しか観られない。
他作品を選択して少々無謀なスケジュールを組めば3本ハシゴ可能なので、
『ルパン三世』は見送って本作を観ることに。

TOHOシネマズ梅田にて、今回はシアター5
シアター4とシアター5に限って、端っこの席に座りたくありませんが、
無謀なスケジュール(後日に書きます)を組んでいるため、仕方なく端っこの席に。

メグ・ローゾフのベストセラー、ヤングアダルト小説(児童文学と文学一般の間)の映画化。
原作は2004年のガーディアン賞と2005年のマイケル・L・プリンツ賞の受賞作で、
前者はイギリスまたは英語圏の著者によってイギリスで発表された児童文学、
後者はアメリカで出版されたヤングアダルト作品が対象だそうです。
イギリスとアメリカの両方で優秀だと認められた作品だということですね。

ニューヨークに暮らす16歳のデイジーは、生まれたときに母親を亡くした。
そのせいで、自分は疫病神だと思い込み、人を寄せつけない態度を取る。
そんな娘が手に余るのか、ある夏、父親はスコットランドに住む亡き母親の妹、
つまりデイジーの叔母のもとへデイジーを送り込む。

ロンドン、ヒースロー空港に降り立ったデイジーを迎えにやってきたのは
従弟に当たる14歳のアイザック。
免許もないのに堂々と車を運転するアイザックに呆気にとられるデイジー。

郊外の自然に囲まれた叔母の家では、アイザックの兄エディと妹パイパーが待っていた。
特に、まだ幼いパイパーはデイジーの到着を心待ちにしていた様子だが、
誰とも関わり合いたくないデイジーは徹底してすげない。
それでもしつこく釣りに行こうとか泳ぎに行こうとか誘いにくる3人に、
デイジーの心は解きほぐされ、笑顔を見せるようになる。
やがてエディと恋に落ちるデイジー。

ところが世の中は第三次世界大戦に突入、イギリスには戒厳令が敷かれる。
アメリカ大使館の職員が緊急帰国のための航空券をデイジーに渡しにやってくるが、
デイジーはエディと生きられないならば意味はないと、イギリスに残ることに。
森の中の小屋でデイジーたちは生活をつづけるも、
突如現れた軍に拘束され、男女別々の施設へと移送されてしまう。
必ずここへ戻る、デイジーとエディはそう誓うのだが……。

終末世界下でのラブストーリーは不思議な趣。
『わたしを離さないで』(2010)の雰囲気に似ていると思ったのは、イギリスの気候ゆえなのか。
それとも過去と未来、両方の世界を想像させるからなのか。

『つぐない』(2007)のシアーシャ・ローナンがデイジーを好演。
ゴスっぽいメイクだった序盤から打って変わり、
エディと再会したい一心でパイパーを連れて脱走。
このパイパー役のハーリー・バードがときに生意気、ときに健気で可愛いのなんのって。
アイザック役のトム・ホランドはどこで見たんだっけと思っていたら、
『インポッシブル』(2012)の頼れる長男役でした。

個人的にはラブストーリーの面よりもサバイバル劇のほうに興味を惹かれました。
先日読んだ角田光代と三好銀の『西荻窪キネマ銀光座』にあった一文、
「大人になって気づくことはいろいろあるけれど、年齢を重ねていって強烈に気づいたことのひとつに、
この世界に弱い女なんかひとりたりともいない、というものがある」が思い出されます。
「さみしがりの女とか涙腺の弱い女とか、依存心の強い女とか精神的に難のある女とか、
そういう女の人は種々見てきたが、弱い女のひとなんかいない。ほんとうだ」と続く一文です。

さて、無謀なスケジュールは如何に。

この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 『イントゥ・ザ・ストーム』 | トップ | 『グレート デイズ! 夢に挑... »

映画(わ行)」カテゴリの最新記事