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『レイルウェイ 運命の旅路』

2014年04月25日 | 映画(ら行)
『レイルウェイ 運命の旅路』(原題:The Railway Man)
監督:ジョナサン・テプリツキー
出演:コリン・ファース,ニコール・キッドマン,ジェレミー・アーヴァイン,
   ステラン・スカルスガルド,サム・リード,石田淡朗,真田広之他

前日の映画と甲子園のハシゴでなんとなく腰が痛い。
座っていられるかどうか不安になりながらも、
シネ・リーブル梅田にて3本ハシゴの1本目。

オーストラリア/イギリス作品。
原作はエリック・ローマクスの自叙伝『泰緬鉄道 癒される時を求めて』。
第二次世界大戦中、タイビルマ(現・ミャンマー)を結ぶ泰緬鉄道の建設に
日本の捕虜として従事させられた連合軍兵士が語る実話です。

かつて英国軍の中尉だったエリックは、終戦から何十年経とうとも心の傷が癒えないまま。
軍人仲間が集まる場に顔を出しても何を話すでもなく、
昔から大の鉄道オタクの彼は、ただひとり、時刻表を眺めている。

そんな彼がある日、列車の中で向かいの席に座った女性パトリシアに恋をする。
軍人仲間らに珍しく口をきいたと思ったら一目惚れした彼女の話で、皆びっくり。
パトリシアにただちに想いを告げに走るエリック、その想いに応えるパトリシア。
ふたりはほどなくして結婚する。

しかし、一緒に暮らしはじめてから、時折エリックが見せる苦悶の表情。
幻影におびかされるかのような行動に、パトリシアは戸惑う。
彼が第二次世界大戦のトラウマに苦しみつづけていると知ったパトリシアは、
なんとかその苦しみから解放されるよう力になりたいと思うのだが……。

列車関連のことならばいくらでも楽しそうに話してくれるエリック。
けれども泰緬鉄道の建設の話に至ると、そこからは何も話さなくなってしまいます。

日本の勝利を信じ込まされ、連合軍兵士に対して拷問をくり返した日本軍。
太平洋戦争終結直後にブラジルで起きていた事件を描いた『汚れた心』(2011)を思い出し、
さまざまな国での情報操作に、戦争が本当に憎くなります。

自分に拷問を働いた日本人通訳・永瀬がまだ生きている。
旧友のフィンレイからそれを聞いてしまったエリックがどんな行動を取るか。
役者が替われば、もしかしたら偽善的になってしまうかもしれないシーンを
コリン・ファース真田広之はしっかり重く見せてくれます。

「実話だから感動する」という流れはあまり好きではありませんが、
拷問された側が書く実話だと思うと、やはり心が揺さぶられます。
『あなたを抱きしめる日まで』を観たときにも考えさせられた「赦す」ということ、
ただただ凄いことだと思わずにはいられません。

若き日の永瀬役を演じた石田淡朗、由緒正しい俳優さんらしいのですが、
彼の表情からは良心の痛みのようなものは私にはまったく感じ取れなくて、
いくばくかでも良心はあったのかと疑問ではありました。
それとも良心そのものさえ失わせてしまうのが戦争なのか。

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