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『あと1センチの恋』

2015年01月15日 | 映画(あ行)
『あと1センチの恋』(原題:Love, Rosie)
監督:クリスティアン・ディッター
出演:リリー・コリンズ,サム・クラフリン,クリスチャン・クック,タムシン・エガートン,
   スーキー・ウォーターハウス,ジェイミー・ビーミッシュ,ジェイミー・ウィンストン他

正月三が日が過ぎて、シネ・リーブル梅田にて。
今年最初に劇場で観た映画がこれでした。

『地上5センチの恋心』(2006)のパクリっぽいけど、惹かれずにはいられない邦題。
その邦題に惹かれて年末に観ようとしたら、その日はずいぶん先の回まで満席。
たいして知名度の高い役者は出ていないのに、なぜ?
その後もずっと大入りだったようなので、正月明けにオンライン予約して出かけました。

劇場内はやっぱり混んでいて、しかも女子高生グループがやたらと多い。
誰か人気のある芸能人が本作を褒めたりしていたのでしょうか。う~ん、わからん。
シネ・リーブルへ来るのは初めてという客も多いらしく、
どこでチケットをもぎってくれるのかもわからなければ、トイレの場所もわからないから、
上映開始前の騒がしいのなんのって。その騒がしさはここ10年でいちばん(笑)。

『P.S.アイラヴユー』(2007)の原作者セシリア・アハーンによる『愛は虹の向こうに』を映画化。
ドイツ出身の監督で、これが初の英語作品なのだそうです。
主演は『白雪姫と鏡の女王』(2012)でその凜々しい眉に目が釘付けになったリリー・コリンズ。
こんな愛らしい女性がフィル・コリンズの娘だとは信じがたい。
だってフィル・コリンズは髪の毛も眉毛もないし。

イギリスの田舎町に暮らすロージーとアレックスは、向かいの家に住む幼なじみ。
いつなんどきも一緒に過ごし、高校生になってからも男女の垣根を越えた大親友。
ふたりは進学先としてアメリカのボストンの大学へ行くことを考える。
ふたりとも見事に大学に合格し、前途洋々だったちょうどそのとき、
ロージーは高校のクラスの人気者グレッグとなりゆきで寝て、
意外にも童貞だったグレッグはゴムを装着するのに苦労した挙げ句、避妊に失敗。
ロージーは妊娠をアレックスに打ち明けられず、
アレックスはロージーが後からボストンへ来ると信じて出発する。

アレックスには秘密にしたまま出産して里子に出すつもりが、
生まれた娘を見てロージーは自分で育てると決め、ケイティと名づける。
相変わらずアレックスには言えないままだったが、
ベビーカーを押して町を歩く姿をアレックスの初体験の相手ベサニーに見られて
しまう。ベサニーはすぐさまアレックスに告げ口。
アレックスはたとえ離れていようとも、ロージーの支えとなるのだが……。

口コミだけでこれだけ流行っているのだとしたら、私には「?」。
すご~く凡庸に思えます。
幼なじみ同士で相手から離れたくないのに、それを口に出せず、
遠回りに遠回りを重ねてくっつくという。
しかもその遠回りの間につきあう相手はろくでなしとビッチばかり。
見た目からしてそうなので、ものすごくわかりやすく、眠くはなりません。
『P.S.アイラヴユー』も甘アマすぎてイマイチだったので、
私はこの作家があまり得意でないのかも。

イマイチだったときに文句を書いたうえでよかったところを挙げるのが毎度の私ですが(笑)、
本作でもやはり好きだったところはあります。
ボストンへ行くと言う娘に母親は猛反対、父親は背中を押します。
「欲張りかな」と自問する娘に対して、
父親は「おばあちゃんはよくもったいないと言っていたけれど、
パパは欲張らないほうがもったいないと思う」。

最終的には夢も恋も叶うという、このうえなく頭がお花畑的な展開ですが、
観る人を奈落の底へ突き落とすよりは、こんな作品のほうがいいんですかねぇ。
お花畑と奈落の底どちらも見たいから、こんなのも、ま、いっか。

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