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『CODE46』

2005年03月17日 | 映画(か行)
『CODE46』(原題:Code 46)
監督:マイケル・ウィンターボトム
出演:サマンサ・モートン,ティム・ロビンス他

監督や俳優の名前をまだよく知らなかったころは、
タイトルだけで直感的に観るものを決めていました。
なのに、レンタルしてきたビデオを確かめてみると
「なぜかいつも借りてしまう監督」がいます。
それがマイケル・ウィンターボトム監督。

この監督は、驚くほど毎回ちがう趣の作品を撮ります。
シリアスな人間ドラマ、軽いタッチの恋愛もの、
80年代のマンチェスター・ムーヴメントに焦点を当てた音楽もの。
パキスタンの難民少年のロードムービー。
そして本作は、「愛した女性が母親のクローン人間だったら?」というSF。

近未来。環境破壊が進み、地球は砂漠化している。
人びとは徹底管理のもと、安全を保障された都市部に暮らす。
都市間を行き来するには、パペルと呼ばれる通行・滞在許可証が必要。
犯罪歴や病歴によりパペルを入手できない者は、砂漠のスラム街で生活する。

シアトルに住むエリート調査員のウィリアムは、
偽造パペルの調査のため、上海へ出向く。
上海のスフィンクス社では、パペルの審査・発行を一手に引き受けているが、
その印刷過程で誰かが偽造しているらしい。

話し手の感情を読み取る能力を持つウィリアムは
すべての工場労働者と面接し、マリアが犯人であることを見破る。
しかし、彼女に興味を持ったウィリアムは、
スフィンクス社の幹部に別人を犯人だと報告する。

その夜、ウィリアムとマリアは食事に出かける。
ふたりは恋に落ちるが、それは男女間の生殖を管理する法規、
「コード46」に抵触する愛だった。

毎回異なるテーマでありながら、
この監督の作品を観るといつも凹みます。
夕暮れの砂漠にひとり放り出されたような気分。

同一遺伝子を持つ者との肉体関係は禁止され、
発覚した場合はその相手との出会い、行為がすべて
記憶から削除されてしまいます。
もし、出会ったことを後悔して、出会わなければよかったと思ったとしても、
それは出会ったときの記憶が、思い出があるから。
そこに存在した愛がすべて消されてしまうなんて。

近未来の都市として、ドバイや上海が巧く使われています。
その街並みとエレクトロニックなサウンドが
余計に私を寂しい気持ちにさせました。
毎回こんな気分にさせられるのに、
やはり借りてしまうマイケル・ウィンターボトムなのでした。

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