夜な夜なシネマ

映画と本と音楽と、猫が好き。駄作にも愛を。

『わたしたち』

2017年10月19日 | 映画(わ行)
『わたしたち』(英題:The World of Us)
監督:ユン・ガウン
出演:チェ・スイン,ソル・へイン,イ・ソヨン,カン・ミンジュン他

観てから10日以上経ってしまいましたけれども。

3連休前日の金曜日から始まり、土曜日も日曜日も飲み倒し、
よれよれと起きた連休最終日の「体育の日」。
シネコンで上映中の作品はほぼ制覇してしまい、
これは絶対に観逃すまいと思っていた本作を観に、シネ・リーブル梅田へ。
少女たちのけなげでひたむきな演技に、ギュギュッと心が絞られました。
観に行って大正解の韓国作品。

小学校にかよう10歳の少女ソン。両親と幼い弟の4人家族。
父親はアル中だか暴力をふるうでもなく、
食堂を切り盛りする母親は忙しいけれど、明るくたくましい。
両親に代わってやんちゃな弟ユンの面倒を見るのはソンの役目。

家に帰れば明るくふるまっているソンだが、学校ではいじめられっ子
リーダー格の少女ボラとその取り巻きに何かと絡まれる。
友だちがほしくてたまらないのに、いつもひとりぼっち。

明日から夏休みという日、ボラから掃除当番を押しつけられたソンは、
ひとり学校に残って教室の掃除をする。
そこへやってきた少女ジア。彼女は転校生で、新学期から同級生らしい。

両親の都合で祖母宅へ引っ越してきたというジア。
富裕な家庭らしく、ソンとは金銭感覚がまるでちがうが、ふたりはたちまち仲良しに。
ソンの家に泊まりにきたジアにユンもすぐになつく。
はじめてできた友だちに、ソンは嬉しくて仕方がない。
しかし、ジアがボラと同じ塾にかよい始めたと聞いて、不安がよぎる。

新学期になり、ソンの悪い予感は的中。
ソンがいじめられっ子だと知るや、ジアは露骨にソンを無視。
ふたたびソンはひとりぼっちになったどころか、
ボラと一緒になってジアまでもがソンに酷い仕打ちをして……。

なんとも辛い物語です。
物理的にものすごいいじめを受けるわけではないけれど、
ソンは何も悪くないのに、投げつけられる言葉の暴力が辛すぎる。

ネタバレになりますが、ユンの言葉にハッとさせられます。
友だちから殴られてもその友だちと遊ぼうとするユン。
実際に殴られたあとに仲良く遊ぶユンをソンは叱咤します。
「殴られたら殴り返さなきゃ。どうして遊ぶの」。
「殴られて、殴り返したら、いつ遊ぶの。僕は遊びたい」。

何も台詞のないラストシーンに救われる。
そうだ、一緒に海に行こう。

  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする