minga日記

minga、東京ミュージックシーンで活動する女サックス吹きの日記

崔洋一監督と「Another Country」の話

2023年11月23日 | 映画、本、芝居関係
崔洋一監督が亡くなってから約一年。
Vシネマ(もう死語かなw?)「襲撃」という作品で私を音楽担当に起用してくださった貴重な監督だった。


2022年、癌を自ら公表し、最後にご自分で撮影、編集、制作した「松田優作メモリアルライブ」を残し、4月にテアトル新宿で7日間に渡る「ラストショー」イベントを行なった。
この時、監督とお別れのご挨拶をさせていただいたのだが、弱々しくなっていた体に鞭打って笑顔で私たちに挨拶をしてくれる優しい監督に
なんと声をかけて良いのかわからずに最後の握手を交わした。。。「監督、本当にいろいろとありがとうございました。」

それから約半年後に本当にいなくなってしまった監督について、1年経った今、私にとっての崔洋一監督のこと、忘れないように書き記そうと思う。





20代の頃、日本映画大好きの利樹に連れられて、映画「十階のモスキート」「友よ静かに眠れ」などを観ていた私にとって、崔洋一さんは大好きな憧れの映画監督の1人。

その頃、原田芳雄さんのブルースバンドに参加することになった私は、ちょうど松田優作さんが亡くなった1年後、追悼コンサートがあるということで初めてサンシャイン劇場に出演。

この公演は台本、構成などを原田芳雄さんと崔洋一監督が行って盟友、松田優作を偲ぶ役者、歌手たちが集まった素晴らしい舞台となった。
この時の映像を撮影していたのも崔洋一監督。
しかし、この映像はずっとお蔵入りとなっていたので映像があったことすら私は知らなかった。
崔監督が癌の闘病中にこの貴重なフイルムを発見し(無くなってたんだw!)、どうしても編集して残したいと思った作品(遺作)となるまでは。。。。



監督との出会いは確か、1988年、下北沢の有名ジャズクラブ「LadyJane」。


松田優作メモリアルライブの打ち合わせで来ていた監督。ちょうどその日のライブは私と永田利樹bass(もう1人?共演者がいたと思うのですが失念、お許しを!)だった。



「さっちゃんって、芳雄さんのところでサックス吹いているんだよね。いや〜、素晴らしい音だなあ。僕の次の映画Vシネマ(東映)なんだけど、音楽をやってみない?」
とそのライブ直後にお声がかかった。

こんな小娘に映画音楽任せてもらえるなんて、本当に良いのでしょうか???と戸惑いながらも大喜びで引き受けさせてもらったのを覚えている。



私もちょうど30歳。平成元年。

利樹と結婚し、NYへ行ったりヨーロッパツアーに行ったりしていた時期だったが、本当に素晴らしい経験をさせていただいた。

新居のマンションに崔監督がやってきて、軽い打ち合わせで「音を聴かせて」ということになり、家にある小さなキーボードとピアニカで音をひっぱり出して「こんな曲です」なんてやってびっくりされたっけw。

当時はパソコンもなくて、音も簡単に作れる環境はなかったので、生演奏中心の私にとっては最大限のプレゼンテーションだったのだ。
今思えば、そんな音楽環境で苦笑いしながらもよく納得してくれたな〜と思う。崔監督の優しさとおおらかさの賜物だった。

映画が完成してからは東映の撮影所に行ったりして音楽を入れていく作業はとても楽しかった。

演奏を張り切りすぎると「そんなに張り切らなくていいよ。映像がかき消されちゃうからね。」


言葉には出さないけれど、やんわり教えていただいたものだ。


初めてのことだらけだったが、利樹との共同作業でなんとかVシネマ「襲撃」は完成。


エンドロールに流れる曲は「Another Country」という私のオリジナル。

大学時代に卒論で取り上げたジェームズボールドウィン著作の本のタイトルをもらった作品。たぶん、プロになって初めて書いた曲かも??

ファーストアルバム(LP)「Free Fight」のラストにも入れたこの曲は当時、池袋ぺーぱーむーんの店主(山本いっきさん)の大のお気に入りでもあったので、店に行くと、この曲がかかっていることも多かった。



この「Another Country」だけは最後のエンドロールなので思いっきり演奏させていただいたのを覚えている。



この映画以降も崔監督はコンサートに来てくださったり、イベントがあるたびに私を招待してくださる律儀な方だった。



以来、この「Another Country」を演奏することをすっかり忘れていた私だったが、先日(11/3)、息子RIOの結婚披露宴が行われた。



「かあちゃんととうちゃんのDUOで何か演奏してくれない?ただし演奏曲は俺たちには秘密でね。」
とサプライズ好きの2人に頼まれ「何演奏しよっか〜?」と困っていたら利樹が突然、



「Another Countryを演奏しようよ。」




息子たちはこの曲をもちろん知らなかった。私だってすっかり忘れていたくらいだからw。



結婚式でこの曲を演奏したとき、会場中に歓声が広がった。
RIOもあいかも大喜び。「なんで今までこの曲演奏しなかったんだよ?」

その時の映像はこちら。



再び生き返った「Another Country」。これからもどこかで演奏することになると思います。ふふふっ。



そして、今日「襲撃」の放映のお知らせが舞い込んできた。。。


<11月28日(火)夜11:40 WOWOWシネマ>で「襲撃」(東映)を放送!!!




おそらく崔洋一監督一周忌の追悼の意味もあるのかな、と思います。

WOWOWでの放映なので、残念ながら私は見れませんが、ご覧になれる方はぜひどうぞ。

若い頃の私たちの音がせきららに入ったギャング映画です。
この映像、録画した方がいたら是非お知らせくださいませ!!!!


天国で芳雄さんや優作さんたちと楽しくやっていらっしゃるかしら。
崔洋一監督、どうぞ安らかに。
































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