実務家弁護士の法解釈のギモン

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再度の取得時効の完成と抵当権の消長(2)

2017-08-01 09:45:13 | 民法総則
 典型的な二重譲渡と取得時効に関する事案、つまり、AがBに譲渡して引き渡し不動産の占有をし、さらにその後AがCに譲渡してC名義の登記をしたという事案では、登記時からBが取得時効に必要な期間占有を継続すれば、取得時効の効力を認めてBはCに勝てるというのが過去の判例である。さらに、A名義の不動産をBによる取得時効が完成した後、A名義不動産がCに売却された場合も、それからさらに取得時効に必要な期間占有を継続すれば、再度の取得時効が完成するというのも判例である。
 なので、これら判例との比較で考えれば、上記判例の事案も、Cへの譲渡をCへの抵当権設定と置き換えれば、大きな違いではなく、Bは抵当権者Cに勝てるという結論にさほどの問題はなさそうにも思える。

 が、問題なのは、ではCはBの取得時効を中断させる方法があり得るか、という点なのである。もし、時効中断措置を執りようがないとすると、Cにとって酷となりかねないことになる。

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