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繋がっていたい

2018年05月23日 10時59分02秒 | Weblog

人は孤独に過ぎると精神的に落ち込むことが多い。であるなら、積極的に知らない人に自分から話しかければ孤独は軽減できる。しかし、実際には孤独を感じる人が後を絶たない。

シカゴ大学教授のニコラス・エプリーとジュリアナ・シュローダーは論文 “Mis-takenly Seeking Solitude”(孤独を招く誤解)でこの問題を取り上げ、「他者との交流で幸福度が増すにもかかわらず、近くにいる知らない人たち同士は、日常的に無視し合う」と指摘している。

通勤で電車やバスを利用する人々を対象に彼らが行った調査によると、知らない人に話しかけることを阻む壁は2つある。

まず、自分から口火を切りたくはない。それは、相手にされなかったらどうしようと不安を覚えているか、「きっと話しかけられたくはないだろう」と考えるかのどちらかだ。

2つ目は、一度話し始めたら切り上げられなくなってしまうと心配になる。しかし、こうした障害を乗り越えて話しかければ確実によい影響が広がることも、この調査で明らかになっている。

人間が社会的動物であるというのは、孤独に関する研究の多くで調べられている。その良い論文の一つに“Creating Social Connection Through Inferential Reproduction”(推論的再生による社会的交流の創出)がある。その副題、“Loneliness and Perceived Agency in Gadgets, Gods, and Greyhounds”(道具、神、グレーハウンドで確認された代理行為と孤独)が端的に孤独の弊害を物語っている。

筆者のニコラス・エプリー、スコット・アカリス、アダム・ウェイツ、ジョン・カシオポは、人間的なつながりが不足していれば、人間は周囲にあるもので代用しようとすると述べている。それは、誰もが気づかずにやってしまうことだ。例えば、神に話しかけてしまうようなことだ。無神論者であれば、道具に話しかけるかもしれない。例えば、無人島に流れ着いた男を主人公にした映画では、バレーボールに話しかけている。また、社会的に孤立した人々は神々に対する信仰心が強く、霊を信じやすい。孤独な人はペットにまるで子供や友達のように話しかける。

つながっていたいという人間の欲求は本能に近いものだから、孤立すれば身体に悪影響が出るのは当然である。孤独は飢餓や喉の渇きや愛と同じく、本質的なものなのだ。