前回の夏目漱石の紹介で正岡子規と森鴎外との関係に触れましたが、正岡子規と森鴎外にも意外な巡り合わせがありました。
子規が活躍した頃、日本は海外に盛んに進出していました。子規も1894年(明治27年)夏に日清戦争が勃発すると、翌年4月、近衛師団つきの従軍記者として遼東半島に渡たりました。しかし、上陸してから2日後に下関条約が調印されました。そのため、同年5月、第2軍兵站部軍医部長であった森鴎外らに挨拶をして帰国の途についたのでした。その帰途の船中で喀血して、重態に陥って神戸病院に入院し、同年7月に須磨保養院で療養したのち、松山に帰郷しました。松山に帰ってからは、松山中学校に赴任していた夏目漱石の下宿で静養していました。
すでに、10年ほど前から吐血は始まっており、船中での大量吐血で肺結核と診断されて死を覚悟しました。そして、「ホトトギスは血を吐いて鳴く」という俗説から、自分とホトトギスを重ね合わせ、ホトトギスの漢名である「子規」を俳号としました。
子規は日本文学に多大な足跡を残していますが、言葉にも新しい意味を付け加えました。例えば、月並みという言葉は、本来、毎月や月ごとなどの意味でしたが、当時「月並み句会」と呼ばれる月例の句会で和歌や発句の詠み合わせをすることが多かったので、子規がありふれた俳句や短歌を「月並み調」と批判し、その後「陳腐、平凡」という意味も含まれるようになったと言われています。
当初、子規は、諧謔的で言葉遊び的なものでしかなかった俳諧を、俳句として文学にまで育て上げた松尾芭蕉の深遠さを高く評価していました。しかし、明るく写実的な西洋画を知ってから、言葉にもその「写生」の精神が生かされるべきだと考えるようになりました。眼前の風景をそのまま素直に映し出そうとするもので、単純明快な万葉の世界を尊ぶものでした。そうなってくると、芭蕉の俳句に関して「巧妙さ」「思わせぶり」を感じるようになり、これを批判するようになりました。こうして、芭蕉の批判者として俳句界に登場したのです。
西洋の哲学にも接した子規は、文学や美術においても、簡潔な描写が表現として大きな効果を上げると確信し、このような考えから、子規の俳句は視覚的なものとなり、かつ明快なスタイルを持つようになりました。子規の俳句革新は日本中に大きな反響を巻き起こし、低迷していた俳句界は活気を取り戻すことになったのです。
芭蕉の余りに有名な俳句に「古池や蛙飛び込む水の音」というのがあります。子規は、「古池の句の弁」(『ホトトギス』1898年10月号)において俳句の神秘化を否定し、この句の再評価を行っています。「蛙が水に飛び込む」というありふれた事象に妙味を見いだすことによって、俳諧の歴史に一線を画したことは評価していますが、この句の重要性はあくまで俳句の歴史を切りひらいたところにあり、芭蕉第一の佳句ではないと記しています。
次に、子規の代表的な俳句をいくつか載せておきます。
ーあたたかな雨が降るなり枯葎
ー氷解けて古藻に動く小海老かな
ー大砲のどろどろと鳴る木の芽かな
ー涼しさや松這ひ上る雨の蟹
ー蓮池の浮葉水こす五月雨
ー汽車過ぎて烟うづまく若葉かな
ー半日の嵐に折るる葵かな
ー月も見えず大きな波の立つことよ
ー蔦さがる岩の凹みや堂一つ
確かに、芭蕉の墨絵ような幽玄な雰囲気ではなく、西洋油絵のような色鮮やかな風景を観ているように感じます。皆さんはどちらの世界が好みでしょうか。
こんなときは英語でなんて言うの
”You're very perceptive."「すごく察しがいいね」
perceptive は「知覚が鋭い」「洞察力がある」などの意味です。鋭い発言をしたり、物分かりのいい人を表すとき使います。
1. お勧めの映画
A. This is a good movie.
(これいい映画だよ。)
B. Not really. I already know what's going to happen.
(そうでもないよ。何が起こるのか察しがつくもの。)
A. Do you? You're very perceptive.
(そう?なかなか察しがいいんだね。)
2.嘘がつけない人
A. Are you seeing someone?
(誰か付き合ってる人でもいるのかい?)
B. Wow! You're very perceptive.
(ええ!すごく察しがいいんだな。)
A. Well, it's very obvious.
(だって、顔に描いてあるじゃないか。)
【おまけ】
「パンはパンでも食べられないパンはなあ~んだ」なんていう子供の頃によくしたナゾナゾがありますよね。英語にも似たようなナゾナゾがあります。
"What pet is always found on the floor?"
"What truck can be driven only by men?"
答えは分かりましたか?