まさおさまの 何でも倫理学

日々のささいなことから世界平和まで、何でも倫理学的に語ってしまいます。

先生文化

2009-09-24 10:04:32 | 人間文化論
これも故・宮川透先生から教わったことですが、
「先生」 という敬称は、平民に対して用いることのできる最高の敬称なんだそうです。
生まれつき身分の高い人に対しては、「閣下」 とか 「陛下」 なんていう敬称がありますが、
民主主義の時代においてはそういう敬称を使える相手はほとんどおらず、
そうすると 「先生」 というのがせいぜい用いることのできる
最高位の敬称になるのだそうです。
だから医者や弁護士や国会議員もみんな 「先生」 と呼ばれたがるのですね。

そのことを教わるまでずっと私は、
「先生」 というのは「教師」 のことを意味する一般名詞だと思っていましたので、
先生に向かって 「○○先生!」 と呼びかけるのは、
警官に向かって 「○○警官」 と呼びかけたり、
特捜隊の隊員に向かって 「○○隊員」 と呼びかけるのと同じこと、
つまり職業名、役職名で相手を呼ぶのと同じことだと思っていました。
したがってそれが敬称である、しかも最高の敬称であるとは知らなかったので、
先生に年賀状を送る場合は、わざわざふだんの呼び方とは変えて、
自分の知っている最高の敬称である 「様」 を使い、
「○○○○様」 と書いて送っていました。
それはとんだまちがいで、本当にその人を敬っているのなら、
封筒などの表書きも当然 「○○○○先生」 とすべきであると教わりました。

さらに敬意を表したいなら、こんなやり方もあると習いました。

 ○ ○ ○ ○ 先 生
            玉案下

というふうに 「先生」 の脇に 「玉案下」 とか 「机下」 といった語を添えるやり方です。
これは直接相手に言葉を届けるのではなく、相手の机の下までお届けしますといった意味で、
「閣下」(立派な御殿の下) や 「陛下」(階段の下) と同じ発想の敬語です。
宮川先生に年賀状をお送りするときには、この 「玉案下」 も使ったりしていましたが、
さすがにその後、ここまで敬意を表することはしなくなりました。
しかし、あいかわらず恩師の先生方に手紙やハガキをお送りするときは、
ちゃんと 「先生」 という敬称をつけるようにしています。

とまあ、尊敬する先生に直接そう教わったので、それをずっと鵜呑みにしていたのですが、
その後いろいろな辞書を調べてみても、
平民のあいだで使える最高の敬称である、という部分については確証が取れません。
「学徳のすぐれた人。自分が師事する人。また、その人に対する敬称。」とか
「医師・弁護士など、指導的立場にある人に対する敬称。」という記述はありますが、
最高の敬称であるとは明記されていません。
この点についてなにかご存じの方は情報提供をお願いいたします。

はっきりしない点はありますが、
とにかく 「様」 よりは 「先生」 のほうがはるかに格上の敬称であることは疑いありません。
さて、教師になった皆さん、教師をめざしている皆さん、
皆さんのまわりには 「先生」 があふれていることと思います。
同僚どうしで互いを 「先生」 呼ばわりする必要はないと思いますが (この点はまた論じます)、
いろいろと指導してくださり本当に尊敬できる先輩や上司の先生方、
実習や研修でお世話になった先生などに礼状や年賀状などをお送りすることもあるでしょう。
そういうときには表書きはちゃんと 「○○○○先生」 とするようにしましょう。
「様」 を使うときは、この人のことは大して尊敬していないから 「様」 でいいやと、
自覚的に 「様」 と 「先生」 を使い分けるようにし、
心から尊敬していてふだんは 「○○先生」 と呼んでいるのに、
手紙やメールの時だけわざわざ 「○○○○様」 にしてしまうなんていう、
小学生のようなミスはしないように気をつけてください。
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