新宿少数民族の声

国際ビジネスに長年携わった経験を活かして世相を論じる。

大谷翔平自身による記者向けの見解発表を聞いて

2024-03-27 06:34:57 | コラム
記者会見ではなかったが、言うべき事は言えていたと評価する:

水原一平元通訳の一件が明らかになってから1週間近くも経ってしまった。「大谷翔平がハッキリと経過報告なり見解なりを表明するのが遅い」という批判もあったようだった。だが、ある程度の時間をおいて、経過を観察した後で見解を表明することにしたのは寧ろ賢明な策であり、止むを得なかったのだろうと見ている。本稿の趣旨は、あの大谷翔平自身による見解表明の方式についての私の意見を述べて行くことにある。

私には大谷君が昨26日に表明した内容を云々する意図はなく、その点については弁護士さんや評論家や専門の方々にお任せするべきだと思っている。
なお、私はあの会合は言わば大谷翔平自身による見解の声明の発表であっても、記者会見(通称プレコン)ではなかったと見ている。この点については後でまた触れることにする。

大谷翔平はアメリカの方式に順応したのでは:
Dodgersにとしては大谷翔平が今シーズンのWシリーズ制覇の為に高額な契約をして採用した重要な選手であり、その大谷翔平の名誉の為にも、何としてもこの難局(なのだろう)を乗り切らねばならないと判断したのだろうと見ている。

故に、アメリカ式の発表の方式に従って万全の準備を整えた上で、大谷をあの場に送り出したのだろうと、私は読んでいる。という事は「Dodgers球団事務局の見解が入っていると見るのが妥当だろう。経験からも言えることで「アメリカの企業社会では何らの事前の備えもなく、何らかの公式の発表することなどない」のが常識である。

発表する内容を充分に練り上げてあったのではないか:
大谷翔平は大部分を(何処かの総理大臣のように)下俯くことなく、正面を向いて語っていたのは良かったと思う。周囲の意見を聞いて原稿を練り上げ内容を極力暗記して、リハーサルなどを行った上で、あの場で語ったのではないかと推察している。

と言うのは「アメリカの企業社会ではプリゼンテーションだろうと何だろうと、その場での即興(インプロビゼイション)で語ることなど先ずあり得ないからだ。発表の原稿を仕上げるだけでも一仕事なのである。今回は非常に重要な問題を語るのだから、大谷の即興に任せて語らせることなど想像が出来ない。記者たちに聞かせるのである以上、英訳が大谷の語り以上に非常に重要な役割を果たすことになる。

しかも、大谷を担当して未だ1週間にも満たないアメリカ人の通訳が、事前に大谷と原稿を充分に推敲した上で読み合わせをして発表に至ったと思う。そうするのが、経験上からも常識的な方式である。英語の部分が流されなかったのでその辺りが不明だが、あの通訳さんが時々メモを取っていたのは「何をしているのか」と思った。

そう言う根拠は「経験上もメモを取っていると、それに神経が集中して、内容を記憶し損なう危険性がある」のだ。短期間に大谷の日本語の言葉遣いに十分に慣れるとは思えないので、事前に練習を繰り返した上での発表だっただろうと思いたいのだ。

あれは記者会見ではなかったのでは:
記者会見は英語ではpress conferenceである。あのように大谷が話して通訳されただけでは、conferenceではないのだ。記者会見であれば討論(discussions)を伴うべきなのであるから、あのように大谷が語って質疑応答もなかったではないか。ではinterviewかと言って、何処にもインタビューする者もいなかったのだから、それでもないようだ。

私は大谷が優れた野球選手であっても、アメリカの企業社会のプリゼンテーションや討論を伴う記者会見のような場や習慣に慣れていないと思うので、堂々とあのようによく無難にこなしたのは立派だったと評価している。最後に矢張り英語のカタカナ表記に触れておくとconferenceは「コンフェレンス」ではなく「カンフェレンス」が最も原語に近いのである。故に通称も「プレカン」であって欲しいのだ。


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