暁庵の茶事クロスロード

茶事が好きです。茶事の持つ無限の可能性に魅了されて楽しんでいます。2015年2月に京都から終の棲家の横浜へ戻りました。

「第2回コラボ茶会」の準備中です

2024年09月23日 | 茶事・茶会(2015年~自会記録)

        (秋は月・・・心づくしの秋は来にけり)

 

9月29日(日)に「第2回コラボ茶会」を開催するので、暁庵はただ今忙しく過ごしています。

ずっ~と前からお近くに住む小堀遠州流Yさまと、気軽でアットホームなコラボ茶会が出来たら・・・と夢見ていましたが、ついに昨年4月に実現し、今回が2回目の開催です。

昨年はYさまの橘楽庵と暁庵でそれぞれ薄茶席を設け、惜春の1日を楽しんでいただきましたが、今年は秋の開催なので風炉の濃茶がテーマです。

同じ濃茶でも点前の所作が全く違いますので、その違いを確認したり、楽しんだり、そして自分の流派の点前やルーツを考える機会になれば・・・嬉しいことです。

 

         (ススキの銀の穂が風になびいて・・・)

2回目なので、座の設えや茶道具の取り合わせを社中の方にお任せして、私はサポートです。

道具組や役割分担はほぼ決まっていましたが、急に気になることが出てきました・・・。

3年前(?)に購入したものの、一度も使う機会がなく、私自身も忘れていた花入がなんと!夢の中に現れたのです( 暑くて寝苦しい夜に寝つく寸前まで茶会のことをあれこれ考えていたせいかもしれませんね)。

「そうだわ! あの花入が使えないかしら?」

探し出して床の間に設えてみると、インパクトと魅力があり、頭に不協和音の教えがよぎります。

籠花入に秋の野の花をいれることになっていたのですが、この花入を使ってみたくなり迷いました。

すると、「コラボ茶会」のお相手のYさまがいらっしゃったので、花入をみてもらうと、

「是非こちらの花入にしてください。橘楽庵も籠花入なので、同じよりこちらの方がお席の違いが出て面白いと思います・・・」

 

         (野辺に咲く野紺菊)

一昨日、Y氏が稽古に来た時、「コラボ茶会」のあれこれをリハーサルしてみました。

一点だけあやふやなこと事が・・・。水屋から濃茶と薄茶を点出しで運ぶ時に男性が古袱紗を使うかどうか・・・と言う点です。

以前、某先生から女性は古袱紗を使うが男性は使わないとお習いした気がするのです。

「本当の所はどうなのかしら?」

考えてもわからないので、S先生に恐る恐るお尋ねしました。すると、

「男性でも女性でも 濃茶でも薄茶でも 水屋からの点出しは 古袱紗にのせます 手盆はいけないの理屈です」とご回答いただきました。

「先生、ありがとうございます!」

これで迷いも吹っ切れ、あとはせっせと庭と部屋の掃除に精出します・・・実はこれが一番の苦手かも・・・です。

当日は、暁庵も午後の2席へ入らせて頂くので、とっても楽しみです!  

 

 


「世界の旅から」茶事へ招かれて

2024年09月17日 | 茶事・茶会(2015年~他会記録)

令和6年9月2日にSKさまから「世界の旅から」茶事へお招きいただきました

すぐに後礼の手紙を差し上げるはずが、奥伝稽古が続いて頭と体のゆとりがなく、1週間以上遅れて投函しました。

心に残る素敵な茶事の思い出として後礼の手紙をこちらへ書き留めます。よろしかったらご一読ください。茶事の写真は全て次客Yさまにご提供頂きました。ありがとうございます!

 

 秋きぬと 荻の葉風のつげしより
       思ひしことのただならぬ暮
                      式子内親王の和歌

台風10号が迷走し天候を心配していましたが、その日は青空が広がり、安心して世界の旅へ出立することが出来ました。

玄関の掛物、円の中に書かれた「」の墨書、風に乗って颯爽と世界を旅する・・・なんとも雄大で、今日の茶事にぴったりでございました。
居間(待合)へ通るとすぐに庭の芙蓉の大樹を見ました。満開の花を想像していましたが・・・後で芙蓉の花が遅いと伺い、内心がっかりしましたの・・

待合の煙草盆の灰皿やマッチや煙草入れが楽しく、後でお伺いするのが楽しみでした。スダチと炭酸水のスカッとする汲み出しで喉を潤し、味わいのある茶碗に見惚れていると、後で大野鈍阿作と伺いました。

二階の茶室へ席入りすると、「 相見呵々」の御軸、いつもは力強い太玄和尚の御筆がその日は優しい笑みに溢れているように見えました。最近、茶事で「笑い」の大事なことを痛感したことがあり、この御軸にご亭主の「笑いのある楽しい茶事」への想いを感じて、とても嬉しゅうございました。

床には小さな赤い実をつけたジュズサンゴが柄付籠のような花入に生けられていました。花入がアイヌの柄杓と伺って珍しいけれど素朴な花入に野性的なジュズサンゴが好くお似合い・・・と感心しました。

 (ジュズサンゴの花がアイヌの柄杓に)

ロシアの細密画の香合、漆絵の細密画にイコンを重ね、香合を惹きたてている美しい綺羅の仕覆(印度)が相客のUさまのお仕立てと聞いて嬉しかったです。「忘れずにお尋ねできて良かった!」と正客として安堵し、裂地のお話しするUさまのお顔が輝いて見えました。

点前座の水指(ジノリ イタリア)を拝見した途端、雲間を飛び交う飛行機の楽しい絵柄とユニークな形に「あっ!これが世界の旅の茶事で使いたかったものね」とすぐに思いました。

(点前座・・・水指はジノリ(イタリア) (↑クリックしてね)

そして、遠州旅日記が貼られた風炉先屏風、遠州公がそこにいらして茶室と空間を引き締めていたようにも思いますが、茶室の様子を心配しながら(又はニコニコしながら?)見ていたのかもしれませんね。

小堀遠州流のお点前を拝見する度に、濃茶を美味しく点てるための魔法のようなお点前と思いながら、裏千家流とは違う所作の一つ一つに魅入りました。特に帛紗や茶巾のたたみ方、茶入や茶杓の清め方が全く違うので興味津々でした。

ガレを連想する葡萄模様のガラス茶入(新倉晴比古造)から竹の節が多い茶杓(そのように見えました 寛州老師の銘「華栄」)で濃茶が掬われました。
やがて馥郁とした香りと共に濃茶が出し袱紗と共に出され、自分の古袱紗を使って裏千家流の仕方で濃茶を頂きました。
まろやかに練られた濃茶は甘味が残り、美味しゅうございました。茶銘を伺うと、「蓬莱山」(松尾園)とのこと、初めて頂いたように思います。
満月のような主菓子「水月」(末富製)も珍しくつるりと頂戴しました。

濃茶の茶碗は李朝でしょうか。繊細な金継ぎに風にゆれる尾花を想いながら頂戴しました。各服点で次々と古格のある茶碗が出て来て眼福でした。

古曽部焼、古萩、李朝刷毛目、出雲焼が印象に残っていますが、次々と出されたので全部は覚えきれません・・・。

 

階下のガラス張りのリビングでの懐石の時間も美味しく楽しかったです。いろいろお話が弾み、次々と、笑顔と共に手際よく供されるお料理の数々に、一同びっくりするやら、舌鼓を打つやらでした。

最初の膳のトマトの汁が斬新で、ひろうす・小カブ・オクラの炊き合せ、松茸御飯、柔らかいステーキが美味で特に印象に残っています。

 

きっとご亭主様は汗を拭く暇がないほど忙しかったと思うのですが、そんなことを感じさせない素敵な笑顔にSKさま流おもてなしの真髄を見た思いがしました。
本当に美味しく、ご馳走様でございました!

 

中立のあと、再び二階の茶室へ席入りすると、襖を開けた途端、
あっ!!」と大きな叫び声が出ました。正面点前座には長板に背の高いガラスの水指が置かれ、ボールのような氷が浮いていました。

床には、中国奥地の少数民族のパッチワークの額が掛けられ、何と形容して良いやら、細長いオブジェに青い蜜柑が一つ枝もたわわに生けられていました。

後でお伺いすると、圧倒的な存在感を放っているガラス水指はバカラ(ステキ! 垂涎でした)、そして花器は帝国ホテルを設計したロイドフライト作の鉄製オブジェと嬉しくお聞きしました。

小堀遠州流の氷点前で頂戴した薄茶がとても美味しく、喉を潤し、お代わりをしてしまいました。代点されたIさま夫妻も各服点やお代わりいっぱいで大変だったと思いますが、美味しいおもてなしをありがとうございました。

また、詰Fさまには随所でお世話になり、とても頼もしい詰(半東?)でございました。
どうぞよろしくお伝えくださいませ。
最後に、皆様の世界旅行の物語りをお伺いできたことも「世界の旅から」茶事の好き思い出になっています。

笑顔が溢れる温かなSKさま流おもてなしが忘れられません・・・そして気の置けないご連客の皆さまとの素敵な一座建立も今なお心に残っております。

本当にありがとうございました!
拙い正客でございましたが、これに懲りずにお付き合いくださいますよう、よろしくお願い申し上げます。        かしこ

令和六年 菊月吉日          暁庵

 


ステキな招待状

2024年09月02日 | 茶事・茶会(2015年~他会記録)

 (春は花 夏ほととぎす 秋は月 冬雪さえて冷しかりけり・・・道元禅師)

 

台風10号が日本列島を迷走しています。

台風情報に注意を払っていた最中のこと、茶事へのステキな招待状が届きました。

 

 (芙蓉の花・・・季節の花300提供)

 

 こんにちは 毎日お暑いですネ

 「世界の旅から」お茶事、快諾頂きありがとうございます

 また大役 お正客を宜しくお願いいたします

 

   SK100便 2.9.2024

   9月2日  10:30 搭乗口(寄付)

         11:00 出発 (席入)

   フライトチケット代(会費)  〇〇 円

   ドレスコード  アロハ ムームー チマチョゴリ 麻の着物 

           浴衣(半襟、足袋)etc  皆様のアイデァで

   「Bon  Voyage!」 

         See  you  soon!!

 (芙蓉の花・・・季節の花300提供)

 

なんて!ユーモアたっぷりのお便りなんでしょう!

読みながらお茶事へ伺う楽しさにワクワクしてきました。

短い文面からSKさまが茶事の支度を楽しんでいる様子が目に浮かび、思わず笑みがこぼれ、たとえ台風でも行く気でおりまするぅ~。

一番の悩み(楽しみ?)はドレスコードでしょうか。

アロハ、ムームー、チマチョゴリは手持ちがないし、浴衣しか思い浮かびません。

長いこと着ていない浴衣を探すこと数回、やっと綿絽の浴衣を見つけ出し、帯や下着、帯揚げや帯締めを揃え、SKさまのお気持ちに応えられて先ずは安堵です・・・。

折しも台風10号のため空の便の欠航が相次いでいますが、SK100便は予定通リ出発するそうです。 

それでは、行ってまいります        つづき)

 

 


令和6年夏休み・・・自主稽古中です(2)大円真

2024年08月30日 | お茶と私

 

つづき)

令和6年の夏休みもあとわずかとなりました。

そんな或る日、茶室に掃除機をかけ畳を拭き上げると急にスィッチが入り、稽古支度にとりかかりました。

先ずは御軸を「白雲抱幽石」から「雲月去来閑」に変え、真台子を出し、唐銅の皆具一式を莊りました。

稽古科目は奥伝の大円真(だいえんのしん)です。

大円真は裏千家の相伝種目の一種目で、格は真之行台子と同じです。

大円盆の点前は古くからあったようですが、利休さまが大円盆を長盆に変えたそうです。その後、裏千家13代圓能斎が大円盆の点前(大円真と大円草)を再考されたと伺ったことがあります。

8月終わりから大円真の稽古が入っていますし、9月の奥伝は大円真なのです。

1回目の自主稽古は夜の8時過ぎでした。

ようやく暑さが凌ぎやすくなる時間帯で、一人茶室に籠り2時間ほど大円真の稽古に励みます。「茶室に籠る」が心地よい自分一人の空間と時間となり、とても大切なことだと思います。

茶道点前の三要素「順番、位置、所作」はもちろんですが、気になる細かいところを確認したり、所作がスムースにいくまで何度も繰り返しました。

 

 

8月に入ってから山積みのノートの整理をしています。

ばらばらに書かれているメモを科目別や項目別に整理し書き写しています。

エクセルで整理しようと何度も試みましたが、その度に挫折したので、今はノートに自筆で書き込んでいます。

そうすると、イラストを入れたり、メモをそのまま貼り付けたり、とても分かり易いような気がしています。メモを読み直したり、整理したり、疑問の箇所を調べたりすることが一番の勉強になりますが、小さい時からノートをとるのや整理が苦手でして・・・全然はかどりません。

 

 

2回目の稽古は午前10時から1時間余。1回目の稽古で迷ったり、もたもたしたところを気を付けながら点前してみるとスムースに出来ましたが、今度は別の所で疑問が出てきたりします。(奥伝なので詳しく書けずに残念ですが・・・)

疑問をそのままにしておけないので、茶友YKさんに電話でお教え願い、無事解決しました。

・・・それは、自分でこうと思い込んでいたところを7月のS先生のお稽古で間違いに気が付いた箇所でした。(ありがとう!早速、生徒さんに訂正しなくては・・

同時に、自主稽古を一人でやらないでどなたかと、あれこれ談義しながら出来たらどんなに素晴らしいことかしら・・・と思ったりします。

眉風炉の灰を一部だけ入れかえて灰形を作ります。5月以来なので灰を全部篩い直したいところですが、台風10号の影響で風雨もあり、片目をつぶって省エネです。

こうして今年の夏休みが終わりつつあります。

なかなかアップできないでいたら、明日でも今日ではもなく昨日が誕生日 (願望?)でした。やっと

 

 


「點笑」に思う

2024年08月27日 | お茶と私

 

「點笑」(てんしょう)という御軸を持っています。

「笑いを点(點)てる・・・笑いを絶やさないこと」という意味だそうです。

東大寺別当・清水公照師の御筆です。ちょっと読み難いのですが、一目で気に入り意味を知って益々気に入っています。

茶事や茶会の時に主客共にニコニコと和やかに過ごして頂ければ・・・そんな思いでこの御軸を掛けています。

 

       (高知県幡多郡入野の浜ベ)

その昔、敬愛する茶事の師匠から「茶事(茶の湯)」についていろいろお教えいただきました。今なお、いくつかのお教えが耳に残っています・・・。

〇 茶事では心を込めて・・は当たり前ですが、その思いをどのように表現するかが大切

〇 茶事には不協和音が必要だ

〇 自分のお茶を心がけるように

〇 茶事には笑いが大事、笑いのある茶事を心がけるように

〇 茶道具は自分で買うこと。自分で買って使ってみて、自分の眼(センス)を養いなさい。

数々の有難いお教えが昨日のことのように思い出されますが、一番難しいと思ったのが「笑い」でした。

「笑い」のテーマは難しく、せめてにこやかに笑顔を絶やさずに・・・を心がけています。

時折、緊張のあまりお顔が険しくなっているお客さまがいらっしゃると、何とかお帰りまでにお顔がやわらぎ、笑顔になって欲しい・・・と、ついおもてなしに力が入ります。

 

 

ある茶事へお招きされた時のこと・・・帰ってから気になったことがありました。

その方のおもてなしはとてもお心がこもっていて、しかもその方らしい個性がにじみ出ているので、いつも楽しみしていました。

コロナもあり久しぶりにお会いしたのですが、最後まで笑顔が無かったように感じられたのです・・・もちろん、おもてなしは非の打ち所がないくらい素晴らしく、連客も素敵な方でした。

人間ってとても正直で、特に茶事では亭主のあり様が全て明るみに出てしまいます。

理由はわかりませんし、わかる必要もありませんが、とても良い経験だったと思っています。

どんな理由であれ、笑顔が出ない時には人をお招きするものではない、してはいけないのだ・・・と心に刻みました。

大声で笑い合うほどでなくっても、ニコニコと穏やかな気持ちで愉しく茶事をしたいですし、お客として笑顔を心がけてお伺いしたいと思います。 

 

 (雨後の大欅と水たまり・・・台風10号が来ています)