暁庵の茶事クロスロード

茶事が好きです。茶事の持つ無限の可能性に魅了されて楽しんでいます。2015年2月に京都から終の棲家の横浜へ戻りました。

奈良の塔を訪ねて

2012年11月12日 | 
                     興福寺 五重塔(国宝)
奈良滞在2日目は塔を訪ねる旅になりました。

朝一番に東大寺二月堂へお詣りしてから、
前日にも訪ねた興福寺の五重塔(国宝)と三重塔(国宝)を再び訪れました。
どうやら、この二つの塔が主人の気持ちを惹いたみたいです。
「興福寺の五重塔がこんなにふくよかだったとは!」

興福寺五重塔(国宝)は天平2年(730年)、光明皇后の発願で創建されましたが、
現存する塔は応永33年(1426年)頃の再建だそうです。
高さは50.1メートル、東寺五重塔に次ぎ、2番目に高い木造の塔で、
高さがあるだけでなく、がっしりとした造りで、ひときわ威容を誇っています。

                   
                    興福寺 三重塔(国宝)
南円堂近くにある三重塔(国宝)は、崇徳天皇の中宮・皇嘉門院により
康治2年(1143年)に創建されましたが、鎌倉時代の再建と考えられています。
北円堂とともに興福寺最古の建物だそうです。
高さ19メートルの三重塔は、きゃしで優美な雰囲気があります。

光明皇后と皇嘉門院、奈良と平安、時代は異なりますが、
どちらも女性の発願によって建立されたのも興味深いです。

                   

                   

続いて、奈良町にある元興寺(がんごうじ)の五重小塔(国宝)へ。
奈良町を歩き、ぐるっと遠回りして元興寺(萩の寺)へ着きました。
本堂(極楽堂)の前庭は明るく、萩がたわわに生い茂り、
エンタシスの太い柱に、古き奈良の大寺の面影を残しています。

平城遷都の折、日本最古の仏教寺院であった法興寺(飛鳥寺)が奈良へ移され、
寺名を元興寺に改められました(養老2年(718年))。
奈良時代には東大塔や西小塔、極楽堂(現存、国宝)、禅室(現存、国宝)などの
大伽藍が立ち並び、隆盛を極めていました。
平安遷都の後は衰退の道を辿りますが、奈良町の町衆に支えられて
伽藍と法灯は今日まで伝えられ、1998年に世界遺産に登録されました。

                  
                   五重小塔(元興寺、国宝)
さて、お目当ての五重小塔(国宝)は、当時の西小塔堂のご本尊そのもので、
今は収蔵庫に安置されています。
この五重小塔は、奈良時代最盛期の塔としては現存する唯一の塔ですが、
元興寺から少し離れて、元興寺小塔院(西小塔堂跡)や元興寺塔跡があることを
「奈良町」マップを見て知りました。
元興寺最盛期の広大な寺域を偲ぶことができます。

もう一つ、本堂と禅室の屋根に残る「天平の古瓦」が印象に残っています。
1300年の時を経て、今なお現役で頑張っている古瓦たちが味わい深く、
時の重み、変遷の歴史、変わらぬ信仰を静かに語っているような・・・。

                  
                       本堂と禅室(手前)の古瓦

庫裏の奥の小子房で呈茶が行われていました。
そこで思いがけなく、主人の抹茶茶椀の質問がきっかけとなり、
ご奉仕されていた席主・N先生と親しく茶の湯のお話をさせて頂きました。

近鉄奈良駅近くにある村田珠光ゆかりの称名寺と獨盧庵(どくろあん)について
教えてくださり、獨盧庵が大変珍しい席であることを知りました。
N先生とのお話しは楽しく、奈良の旅の好い思い出になりました。

次回に、称名寺と獨盧庵を見学できたら・・・と思っています。

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