暁庵の茶事クロスロード

茶事が好きです。茶事の持つ無限の可能性に魅了されて楽しんでいます。2015年2月に京都から終の棲家の横浜へ戻りました。

第3回お茶サロン「お茶とハーブティーを楽しむ会」-2

2016年10月01日 | お茶サロン&ご近所さんと茶会
                    


茶会内容の変更があり
、10時30分に待合へ集合です。
板木が打たれ、桜湯を志野の汲み出しに入れ、半東Kさんがお出ししました。

待合の掛物は短冊、
「清風在竹林」 紫野 大亀老師のお筆です。
席入後に正客からお尋ねがあり、次のようにお話したような・・・。
「竹林の竹は今日のお客さまです。
 お茶の年数もお茶への想いもそれぞれ違う一本の竹が暁庵に集まり竹林になりました。
 清々しい秋の風が今日まさに、その竹林に吹いております・・・」

                    

雨が止んでいたので、蹲踞を使って席入りして頂きました。
最初から大失敗、ご案内へ出るのが遅くなったり、蹲踞柄杓を出し忘れたり・・・。
でもまぁ、気を取り直してゆったりと参りましょう。

席入り後、お客さまお一人お一人とご挨拶を交わしました。
正客Sさまは昨年末に大病をなさって、それ以来着物を久しぶりに着たそうです。
本当に楽しみにいらしてくださった様子で満面の笑みでした。
私も今年は風炉のお茶サロンは無理かしら?と思うほど体調不良が続いたので、
元気に開催できたことが嬉しく、その日のお軸
「喜 無量」(紫野 教堂和尚筆)と汲み出しの桜湯にその思いを託しました。

三客のHさまから
「待合で桜湯を頂いて、今日は誠におめでたい日だと思いました。
 おめでとうございます。聴雪の茶会に続いて勇気を出して参加させて頂きました」
嬉しいご挨拶を頂戴しましたが、今日の一会は参加者全員にとってかけがえのないものでした。
それを思うと、身が引き締まる思いが今でもいたします・・・。

   
 
ご挨拶のあと、床の6つの花入に全員で花を生けました。
花台に野の花を乗せ、乗せきれなかった野草を炭台に乗せて持ち出しました。
「今日は秋野を吹く風・・・をテーマにしたいと思いますので、
 できましたら風を感じるように花を生けてください」とお願いしました。
「えっ! 風? そんなの初めて・・・」と驚きながらも、楽しんで挑戦してくださったみたいです。

床はたちまち秋野の風情となり、爽やかな風がひそやかに吹き渡っていました。

          

次いで濃茶です。
1ヶ月前に井戸茶碗を入手し、初使いです。
自分で言うのも変ですが、大きめの井戸茶碗は薄手、碗形や侘びた枇杷色の肌合が味わい深く、
高台のカイラギが控えめなのも好ましく、この茶碗で濃茶を差し上げたくなりました。
たっぷりと5人分を練り上げましたが、お服加減はいかがでしょうか?
「美味しゅうございます」
濃茶をすする音の響きやお客さまのさりげない所作に心中で安堵し頷きます。

古帛紗は、仕覆作家Nさんに作って頂いた19世紀末のモール(莫臥児)裂です。
落ち付いた紅殻色(べにがらいろ)に金糸で精密な刺繍が施されていて、鳥と亀のようにも見えます。

                   

古裂コレクターでもあるNさんが20年前に購入した貴重な古裂に初めて鋏を入れてくださったそうです。
モール裂は精密な繕いがされていて、100個近い大小裂が裏貼りされています。
古裂を何とか形にしたいと願う、Nさんの思いを感じながら初使いしました。
前にも書きましたが、井戸茶碗とぴったりお似合いなのです。

正客Sさまはその古帛紗を使わずご自分のを使われました。
お心遣いに感謝し、はるばる海を渡って来た井戸茶碗と古帛紗に皆で思いを馳せたのであります。

続いて薄茶を差し上げました。(つづく)


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