暁庵の茶事クロスロード

茶事が好きです。茶事の持つ無限の可能性に魅了されて楽しんでいます。2015年2月に京都から終の棲家の横浜へ戻りました。

熊野の旅ー2  熊野本宮大社と湯の峰温泉

2014年12月13日 | 
                大斎原(おおゆのはら)の大鳥居

日本一長い路線バスを下り、熊野本宮大社へお詣りしました。
社殿が4社並んでいて、第3殿だけをパスしたら、説明板を読んで主祭神とわかり、
あわてて引き返しお詣りしました。
主祭神は家津御子大神(素戔嗚尊、すさのおのみこと)です。

   

熊野本宮大社から約5分に大斎原(おおゆのはら)があり、巨大な鳥居が聳えています。人がとても小さい存在で、神妙に見えます。
もともとこの地(熊野川の中州)に本宮大社がありましたが、明治22年(1889)の大洪水により甚大な被害をうけ、現在地へ移されました。
社殿こそありませんが、大斎原は今も神気あふれる熊野の聖地でした。

その日は湯の峰温泉の湯の峰荘に泊まりました。
湯の峰温泉は、1800年前に開かれた日本最古の温泉場です。
硫黄を含む湯が肌に馴染んで心地好く、夕食前、就寝前、朝湯と露天風呂に浸かり、
久しぶりの温泉を堪能しました。

翌朝、宿のご主人に湯の峰温泉バス停まで送ってもらい、「つぼ湯」を見学しました。
「つぼ湯」は、室町時代から伝承されている「小栗判官物語」に登場する薬湯です。

             
              一心不乱に土車を押す照手姫
               伝岩佐又兵衛「小栗判官絵巻」(パネル展)より

「小栗判官物語」では、常陸の国の小栗判官は相模の国の照手姫と恋におちますが、
照手の父の怒りに触れ、毒殺されてしまいます。
地獄に落ちた小栗は閻魔大王の計らいにより餓鬼の姿でこの世に戻されました。
その後、照手と再会するのですが、
「耳も聞こえず目も見えず口もきけない」餓鬼の身となった小栗は、
照手の引く土車に乗せられ熊野・湯の峰温泉をめざし苦難の旅を続けます。

善男善女の助けを受けながら四百四十四日で湯の峰温泉に辿りつきました。
熊野権現の御加護と、「つぼ湯」に浴するうちに四十九日目に奇跡が起こり、
小栗は見事に元の姿に回復したと伝えられています。

   
小栗判官湯治場「つぼ湯」              「つぼ湯」の中

「つぼ湯」は天然の岩風呂で、今も熊野古道が通る川添いにあります。
入湯料200円也、小栗判官にあやかって蘇生したかったのですが、
時間がなかったのが残念! 次の新宮行バスに乗らないと長時間待たなくてはなりません・・・。

              
                  山本玄峰師の顕彰碑「玄峰塔」
              
                  玄峰師揮毫の看板・・・新宮にて

湯の峰温泉バス停近くで山本玄峰師の顕彰碑「玄峰塔」に出合いました。
山本玄峰師が湯の峰温泉出身だったことを思いだし、その数奇で偉大な生涯に思いを馳せました。
新宮市で「熊野(ゆや)」という菓子銘に惹かれて菓子屋さんへ飛び込んだら、
「十紀和屋」という玄峰師筆の看板が店に飾られていて、旅のご縁を感じました。
こんな出逢いも旅の楽しさですね・・・。
                                    やっと 

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