暁庵の茶事クロスロード

茶事が好きです。茶事の持つ無限の可能性に魅了されて楽しんでいます。2015年2月に京都から終の棲家の横浜へ戻りました。

淡路島・師走の茶事-2

2013年12月22日 | 思い出の茶事  京都編
                (東福寺庭園)
(つづき)
初炭が始まりました。
ご亭主が「風呂」と銘を付けたい・・という大きな釜は、
大西浄久(2代大西浄清の弟)造の広口釜、鐶はサザエです。
時代を経た蓋や摘みの意匠も好ましく、風格と安心感がありました。
穴や削り跡が残る炉縁は400年前の薬師寺古材、
長い歳月を経てきた木地が愛おしく、そおっと撫でてあげました・・・。

            
             (西ノ京・薬師寺にて

伊勢暦の釜敷に釜が置かれ、畳中央へ引かれました。
小振りの羽箒は青鸞(せいらん)です。
皆で炉縁へ寄り、炉中と炭手前を拝見する一時は大好きな時間です。
主客が呼吸を合わせ、心を一つにする貴重な機会でもあります。
仏道だけでなく茶道の修業も積まれたご亭主はよどみなく、
呼吸(間合い)よく炭手前を進めていきました。

湿し灰が撒かれ、香が焚かれました。
小さな香合は、「古染付 毬挟(まりはさみ)香合」、
型物香合番付西方二段目ですが、初めての出逢いでした。

蹴鞠を入れておく六角形の箱(鞠挟)を表わしていて、
古い年を思いっきり「蹴り飛ばす」の意で使われたとか。
お好みの香は「玄妙」(山田松)、こちらも初めてかしら?

         
                 (薬師寺東塔の水煙)

香合が引かれ、懐石です。

淡路島の特産、3年ものの河豚を使った懐石は、
河豚などめったに口にできない身には夢のようでした。
向付は河豚刺し、河豚真蒸の煮物椀、白子の焼物、八寸は河豚の煮凝りです。

寄せ向うの器がどれも素敵でした。
私は柿右衛門の古鉢、河豚刺しを食べ終わると上品な絵が現われました。
次客は淡路島・眠平焼の皿(染付)、三客は湖東焼の皿(染付)、
この二つは、今は廃窯になってしまった、気になる古陶たちです。

焼物の白子醤油焼が絶品でした。
舌鼓を打ちながら懐石をすべて食し、お酒「而今」をちょっぴり舐め、
次々登場する器を鑑賞し、ご亭主や相客の方々と愉しく語らいました。

この日の懐石は、ご亭主、奥さま、母上さまの合作、
美味しく、温かく、息がぴったりのチームワークがうらやましいです。

もう食べれない・・と思いながら主菓子をしっかりと・・・。
蒸籠に入った、ほかほかの薄皮まんじゅうを頂いて中立しました。
                                      

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