暁庵の茶事クロスロード

茶事が好きです。茶事の持つ無限の可能性に魅了されて楽しんでいます。2015年2月に京都から終の棲家の横浜へ戻りました。

淡路島・初風炉の茶事-3

2014年05月15日 | 思い出の茶事  京都編
(つづき)
濃茶の後、障子が開け放たれました。
すると、庭の緑が眼に映り、爽やかな風が広間を吹き抜けていきます。
これぞ初風炉の醍醐味でしょうか。

後炭になり、待望の風炉中拝見です。
二文字押切の端整な灰形はいろいろなことを語りかけてくれました。
灰は少なめに入れられ、五徳の鉄柱がすっきりと襟足のよう・・・。
火床が広く取られ、小さめの風炉なので理に叶っています。
苦手な灰形に挑戦してみよう・・・よい刺激を受けました。

薄茶になり、先ほどの瀬戸水指が運び出されました。
「素」を感じる設え、墨染の衣のご亭主、背景の緑の庭、
なにか映画のワンシーンか、一幅の絵を見ているようでした。

             
                    (京都市大田神社にて)

和やかにいろいろなお話が飛び交いました。
茶の修行、卒業茶会、黄梅院の茶会など、興味津々で伺いました。
薄茶が点ち、干菓子3種を頂きながら、茶碗を替えて二服味わいました。

主茶碗は高麗堅手、歪みがあり、手取りも好く、好みの茶碗でした。
替の、フランス製カフェボールで二服目を頂戴しました。
西洋アンティークに凝っていた時期があったとか・・・遊び心が嬉しいです。
三碗目は尾戸焼、業平菱の模様が珍しい、小振りの茶碗でした。
四椀目は萩、三輪寿雪(休雪)作、手取りも雰囲気もさすがですが、
特に茶碗の内側が・・・。

どの茶碗もそれぞれ違う魅力があり、「一服ずつ頂きたい・・・」
皆、そう思ったに違いありません。

              
                 (ちいさなサクランボが・・・疏水にて)

最後に、薄茶の茶杓を記しておきます。
「幾千代」とは大違い、座りの悪い茶杓で、置くとそっぽを向いてしまいます。
ご亭主のお話では横を向いてしまう「うたたね」という名杓があるそうですが、
こちらの銘は「たいへい」。
今まで避けていた座りの悪い茶杓が急に愛おしくなりました。

のどかな初風炉にふさわしい茶杓銘で、茶事の幕が閉まりました。

さりげなく、ステキなおもてなしをしてくださったご亭主さま、
素晴らしい相客の皆様とのご縁に感謝いたします。

書きながら、四国遍路を思い出し、胸が張り裂けそうになりました・・・。
「そうだ! 私はこういう出会いを求めて(茶の湯という)遍路の旅へ出たのだ」

                                        

      淡路島・初風炉の茶事-2へ戻る      1へ戻る


コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。