暁庵の茶事クロスロード

茶事が好きです。茶事の持つ無限の可能性に魅了されて楽しんでいます。2015年2月に京都から終の棲家の横浜へ戻りました。

燕の向付

2010年04月09日 | 茶道具
新緑が目に柔らかく、燕が渡ってくる季節になりました。

連休頃になると燕は子育てのために巣をつくり、
せっせと餌を運ぶ姿を目にするようになります。
巣には黄色い嘴の雛たちが餌を求めて、大きな口を
開けて待っています。
その光景は初夏の到来と生命の力強さを感じさせてくれます。

燕の絵のある器が手元にやってきました。
三月三日に瀬谷の吊るし雛を見に行った折、
川口邸前にあった武蔵野焼の工房(相陶苑)で買ったものです。
お近くに武蔵野焼の窯元があることを初めて知りました。

相陶苑の川下善靖氏に窯のことをお尋ねすると
「東京郊外から瀬谷へ移って7、8年になりますが、
 そのまま武蔵野焼を名乗っています。
 二階が工房になっていて、陶芸教室もしています」

緑釉が深くきれいな色で、燕の絵がかわいらしく
一目で気に入りました。
「向付(むこうづけ)に使いたいな・・」

向付は四個しかなく、そのうちの1個は燕の絵がありません。
「たぶん描き忘れたのでしょう・・?」
とおおらかな川下氏。
我家の茶事のお客さまは三名~四名なので購入を決めました。

                     

使う時季は4月から6月頃で初風炉の5月がベストでしょうか。
「どんな料理がぴったりかしら?」
レパートリーが少ないのを忘れて、懐石の献立を考えたり・・。

戸棚の中で出番を待っていますが、来年になるかも・・?

平和島 骨董まつり

2009年12月19日 | 茶道具
平和島 全国古民具骨董まつり」へ
昨日、親友と行って来ました。
会場は東京流通センター(大田区平和島)で
18日から20日まで開催されています。

金曜日のせいか、混んでなくゆっくり見れましたが、
会場が広いので、「あとで買おう」と保留しておくと、
そのお店を捜すのが大変でした。

かわいらしい茶籠に出合いました。
傍らに豊楽焼の茶碗、茶入、振り出し、茶筅筒、茶巾筒が
品良く並んでいます。
ちいさな茶籠なので、それらの道具を入れてみせてもらいました。
入れ方を間違えると入らないほどぴったりに納まります。

値段もまあまあ妥当かしら・・と思いました。
「少し考えてから、また後で来ますね・・」
と一旦は店を離れましたが、すぐに引き返し、
思い切って茶籠一式を購入しました。

時間がかかると思うけれど、ステキな着物(仕覆)
縫って着せてあげるからね! 
楽しみが一つ増えました。

他にガラスの小箱、レース飾り、漆器の茶碗を買いました。
漆器の茶碗は根来塗風のタイ製で、とても軽くできています。
山へ持って行き、これでお茶を点てるつもりです。

あるお店で蛸壺が無造作に吊り下げられていました。
信楽焼風の味わいのある一つを選んで購入すると、
「何に使うのですか?」とお店の人に逆に聞かれました。
紐をつけて掛け花入に使うつもりです。

別のお店で同じような蛸壺の花入が10倍以上の値段で
売られていました。
親友と思わず顔を見合わせてしまいました。
ひょっとして蛸壺は掘り出し物だったかな?

骨董市では、ついあれこれ欲しくなりますが、
具体的な使い方がはっきりしない場合は
歯をくいしばって買わないように頑張っています。

                      

   写真は「順天堂(佐倉市)の古いステンドグラス」です

追記
 豊楽焼という珍しい焼物を始めて知りました。
 豊楽焼について知りたいと思い、調べています。
 ご存知の方、お教えください。


骨董市と銅鑼

2009年12月09日 | 茶道具
大和駅プロムナードで第三土曜日に開かれる
骨董市へ出かけました。今回で二回目です。

一軒一軒、掘り出し物を見てまわるのって
宝さがしのようで楽しく、時間があっという間に
過ぎてしまいます。

お店はたくさんありますが、なかなか目に留まるものが
ありません。
無理して買わなくてもよいのに、二つ買い物をしました。
一つは西洋アンティーク風の筆立て。
見立てで蓋置に使えそうです。
もう一つも蓋置で、紫交ちの蝶模様です。

奥の方にタイ製品を売っている出店がありました。
宋胡録(すんころく)でしょうか、
古い壷やキンマの塗物もあります。

大小の銅鑼が吊るされているのを発見。
早速、打たせてもらい、音を確かめていたら
「お茶に使うのですか?」
男の方に声を掛けられました。

思い切って一番大きな銅鑼を買いました。
見た目は良くないのですが、音が良かったのと、
お値段に惹かれたのです。
お値段はナイショですが、1500円まけてくれました。
値引き交渉も骨董市の楽しみの一つです。

我家の茶事で活躍してくれそうですが、
「安物買いの銭失い」にならないようにしなくっちゃ。

今、銅鑼打ちにはまっています。
茶事では打ち直しができないので、
毎日一回だけ真剣勝負で打つ練習をしています。

打った後に銅鑼をゆすると、音が良くなる(余韻が出る?)と
聞いた事があるので、これも試し中です。
大・・・小・・大・・小・・中・中・・大
の七点打ちです。

当分、ご近所迷惑が続きそうです・・・。

               

茶の湯釜に恋して  二代 畠春斎さん (2)

2009年09月30日 | 茶道具
京都の町家に似た、とても情緒のあるお宅でした。
中庭に面した奥座敷にいろいろな釜が並んでいます。

畠春斎さんが現れて、釜を手に取らせてくださいました。
四方釜、真形釜、新しい感覚の筋文八方釜・・どれも素晴らしい釜です。
製作工程の話、製作の苦労話、「糸目の筒釜」で
初めて賞をもらったことなど、興味深く伺いました。

急に雨が降り始めました。
「夕立でしょう。
 雨が止むまでゆっくりしていってください」

お話しながらも、あの糸目の筒釜が気になります。
こちらへたどり着くまでの経緯をお話してから
思い切って値段を尋ねました。

「これは佐藤美術館で見られたのと同型の糸目です。
 ××万円です」 
「う~ん?」 約二倍の値段でした。
「先ほど○○万円とお聞きしたのですが・・」
「母が間違って言ったのです。
 ときどき間違えるんですよ。
 その時にお買いになれば良かったですね」

・・という訳で、他の釜も勧められましたが、気に入りません。
「糸目に惚れこんでここまで来られたのですから
 他の釜では駄目ですね」

そうなのです・・・。
夕立も上がり、やっと諦めておいとましました。

その後ご縁があって、初代畠春斎造の「波文尻張釜」と
二代畠春斎造の「雲竜釜」が私の手元にあります。

一昨年、畠春斎さんがお亡くなりになったことを知りました。
私が恋した「糸目筒釜」ではありませんが
「波文尻張釜」と「雲竜釜」、大事に使わせて頂いてます(合掌)。

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     写真は、近くの畑の「オクラの花」です。    

茶の湯釜に恋して  二代 畠春斎さん (1)

2009年09月28日 | 茶道具
茶道を再開してまもない頃のお話です。
夏休みの旅行で、黒部から立山、そして富山へ出かけました。
富山に一泊し、城址公園にある佐藤記念美術館へ行きました。

展示作品の中に糸目の筒釜がありました。
すっきりとシンプルで、糸目がはっとするほど美しく、気品を感じる釜でした。
「このお釜でお茶を点ててみたい・・」と思いました。
他の展示品を見てもその釜が気になって、また戻ってしまいます。

作者は二代畠春斎、1944年生まれ、高岡市金屋町に住まうとありました。
高岡といえば鋳物が盛んな土地で、富山から1時間くらいのところです。
主人に頼んで、高岡でもう一泊することに予定変更しました。
翌日、国宝・瑞龍寺、高岡古城公園、大仏を見てから、
千本格子の古い家並みが続く金屋町を訪れました。

すると、「釜師 畠 春斎」の看板を見つけたのです。
「ここだわ!あのお釜の作者さんの家だわ」
恐る恐る中を覘くと、店のような玄関のような一角に
棚があり、釜が並んでいました。

佐藤美術館で見た糸目の筒釜に似たものがあります。
夢中で中へ入り、奥へ声を掛けました。

年配のご婦人が出てこられたので、早速お値段を尋ねると
「○○万円です」
「はぁ~」
お茶を再開したばかりの私にはとても手の届かない金額でした。
そのご婦人に
「実は富山の佐藤美術館でこれとそっくりのお釜を見て
 急遽高岡へやってきました」
と言いますと、
「まぁ、それはそれは・・・。ちょうど春斎もおりますし、
 休憩の時間ですからどうぞ上ってください」

その方は畠春斎さんのお母様でした。
御本人と交渉すれば、もう少しお安くなるのでは・・・
という思いもあり、図々しく二人で上りこんで、
奥様が点ててくださった抹茶と菓子をごちそうになりました。

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     写真は、秋の七草の一つ「オミナエシ」です。